秀歌side2



 そのとき、海堂さんが立ちあがった。 海堂さんはの瞳には何の感情も無かった。
ただ、じっと3人を見つめている。
“言いたい事は、それだけ? なら帰る。”
 そうスケッチブックに書いて、海堂さんは急ぎもせずに去って行った。
教室内は、何とも言えない空気に包まれた。

 「ねぇ、何があったの?」
「え?だからぁ……。」
 葵依の問いに、新島さん(華って言う名前だったと思う)が答えようとすると、葵依は
「ごめん、華には聞いてない。あたしは、知亜紀と華と菫以外の
人から聞きたいんだ。」と言った。
 「……秀歌。何があったの?」
クラスの視線が私に集まった。
話をふらないでよ、急に。

しぶしぶだけど、私は葵依にすべてを話した。
 「ふーん。」
「ちょっと、あーちゃん、ウチと青樹さんの話、どっちを信じるってわけ?」
 言うと思った。
佐藤さん達はよってたかって私の話を嘘だと言っている。
ちら、と紬と芯に視線を向けると、紬は苦笑し、芯は相変わらず仏頂面で立っていた。
「誰を信じるかって?秀歌に決まってるじゃない。」
「へ?!ちょっと、親友を裏切る気?」
 ギャンギャンと、佐藤さん達はまた吠えだした。
あー、うるさい。
もう、クラスの人たちも“なに、こいつら”という、むしろ憐れみの視線で見ていた。

「あたしは実際の状況を見たわけでも無いけれど、秀歌はこんなことで嘘なんてつかないし、
陰口をたたいたのは知亜紀たちじゃない。海堂さんは一言も言わなかったんでしょう?」

じゃぁ。と続けた葵依の瞳は冷めきっていた。
「あなた達と話す価値は無いってことよ。そう判断してるの。
皆も、海堂さんも、…………あたしも。」

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