紬side2



廊下へ出ると、陸にあった。

「おー、紬ぃ〜〜」
「陸。よぉ。」
「ちょぉ聞きたいことあるんやけど、紬、海堂海月って、知っとぉ?」
「カイドウクラゲぇ?」
 あぁ、確かさっき葵依とぶつかって、スケッチブックで筆談してた子か。
「その、カイドウさん?が一体どうした訳?」
「紬と同じクラスなら安心やな。」
「?」
 ますます意味が分からない。
「んじゃ、さらばい!!(^_-)-☆」
「ちょぉっとまてぇぇぇぇえええ!」
 陸の後ろ襟をガッと掴んだ。(弾みで陸は盛大にむせた。)
「ゲッホゴホッッ…… なんやねん、紬。危ないやんか。三途の川が見えたで?」
「そんなヤワな体じゃねぇだろ? んで、どうして、その……カイドウさん?を気にするんだよ?」

「あ、海月に嫉妬してんのかぁ?」
「俺は男に嫉妬するほどめめしくない。」
「ひょー、色男。」
「いいから、なんでだよ?」
 そう問い詰めると、陸は散々渋った後いった。
「海月とわし、いとこやねん。」

 意外な事実。俺は自分でもびっくりするぐらい間抜けな声が出てしまった。
「はぁあぁぁあ?」
 
 陸と別れて、教室に入ると、
葵依が友達と談笑しているのが視界に入った。
もう大体女子のグループは出来上がっていて、どのグループにも属さない人もいた。

例えば、秀歌。秀歌は大勢で群れることを嫌う。
また、海堂さん。たぶん、誰とも言葉を交わしていない。
ずっと、窓の外の風景を見ているだけ。
あーぁ。どうして女子は横の繋がりが好きかねぇ。めんどくね?
心底、男でよかったと思う。
「ふーい、授業始めんぞー。」
 こっちも心底だるそうに藤先生が入ってきた。
担当科目は、意外にも家庭科。
「今日は来週の調理実習の参考ビデオ持ってきたからなー。ちゃんと見ろよー。」
 ビデオって、古っ!!!(笑)
またたく間に時間は過ぎて休み時間になった時、それは起こった。

「ねぇ、カイドウさんって、怖くない?」
 どこかから、そう言う声が聞こえた。

 誰だ。 探しても、分からない。

「なんでホータイ巻いてんのぉ?」
あぁ、やっぱり俺は男子でいたい。


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