葵依side2



 生徒会室のドアを開けようとしたら、開きにくくなっていた。
…てゆーか、サッシ歪んでるし。こうなったら…
 
がっしゃーん!!

 蹴り開けるしかないよね。

 なだめるように、優しく声をかける。
「はいはい、陸〜〜?」
「……。」
 隣で、芯が溜め息をついている。多分「また猫を被っている」
と思っているんだろうな。 素なんだけど。多分。
視線の真正面に入る赤色のツンツン頭。
「おぁ?あ、なんやぁ、葵依かぁ。
お、芯もおるやぁん。おはようさん!」
 全く悪びれた様子も無い。そんなこと分かってたけど、さぁ…
「陸?どーしたのよ、このあたしの城の惨状!!!」
「……会長の城では無いと思うが…」

 陸(桃井陸)は、日本人としては珍しい
赤色の髪をしている。(地毛)
そのせいで、からかわれたり先生に叱られたりしてた。
その度に暴れる事は……あった。
うん、もうはっきり言うとね、かなりの問題児だったわけですよ。
けど、もうずいぶん人懐っこくなってきたと思ってたのに。
なんだ、この惨状はぁぁぁ!!!!
「会長、落ち着け。」
「芯も何か言ってよ!」
「……………………。」
 しんは、長い事黙った後、ぼそりと言った。
「怪我がなくて、良かった。」
「へへへ。ありがとな、芯。」
 芯、甘いんだから…
「芯が許してもあたしは許さないからね。」
「あぁ、もぉ…しゃーないやろ。
今日入学式やったし、わしが式に出てもしゃぁ無いやろ?」
「て言うか陸、全然言い訳になって無いからね?」
「はぁ、しつこいやっちゃなぁ。
葵依、そんなんやけん、紬が振り向かんのやで〜〜?」
「バッ………」
 あぁ、もうこいつ(陸)誰か回収してくんないかな?
 
「何の騒ぎ?」
 凛とした声が響いた。 秀歌、だ。
「葵依ちゃん、声が廊下まで聞こえてきたよ〜〜」
 それとは対照的にほわほわした声。 鈴香だ。
「…はぁ。間に合った。悪い悪い。遅れなかったか?」
「…まだ、大丈夫。」
 低くて、落ち着いた響きの声が聞こえた。
思わず顔をあげると、やっぱりそいつだった。
 紬。
紬だった。


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