希望はない。 | ナノ

(01)


「ほーん……合宿、××山になったんか…」

休憩時間を迎えた体育館内。汗を拭っていた友人が、溜息を吐きながら隣に腰かけた。

「一応主将のお前に伝えておけって監督から言われたんだが…何か問題あるか?」
「いやあ、煩わせて悪かったなぁ。委員会で行けなくてすまん。…にしても××山なあ……」

あそこには何回か行った経験がある。合宿所は山中にあり、場所は郊外から離れたほどほどの田舎。運動部の合宿を行うにはもってこいの場所だ。
しかし、と今吉は考え込む。
正直なところ、個人的にはもう死んでも行きたいとは思わない場所だ。これは以前の話であるが、特に、夏だけは絶対に行くなとも言われている。
考え込むようにして、内心やってしもた…と頭を抱える。こんなことになるのだったら、委員会の会議を蹴ってでも、監督との合宿についての話し合いに参加すべきだった。今更後悔するも、既に後の祭りだ。

「ダメもとで交渉してみるか…」
「今吉?うおっ」
「諏佐、先に練習再開させといてや。ちょい監督んとこ行ってくるわ」
「は?……あっ、おい今吉!」

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