私は暗闇に居た。
光もなく音もない。
そこには恐怖と怒りがあった。
とてつもなく居心地が悪い。
気持ち悪く吐き気と頭痛が酷い。

私はフラフラとその空間を歩き続けた。そろそろ歩くのが限界かも知れないと思った時、小さな光をやっとの思いで見つけた私は手を伸ばす。まるで夜空に光る星に子供が精一杯背伸びをして手を伸ばす様に。

もう少しで届きそうな時
ぞくっと背筋が凍った。



「ここにいたんだね」



鳥肌の立つニヤつき声が耳元で聞こえた。




「いやっ」

「ぐおっ!」



あまりの恐怖に飛び起きる。やっぱり夢だったのかと額の痛みで気づいた。よく周りを確認するとここは屋上だった。

お昼休みに昨日と同じメンバーで集まったのだが私が屋上に着いた瞬間倒れた事を思い出した。昨日は眠れず夜も今日の朝も何も食べていなかったから貧血だったのだろう。

そしてこの状況は多分仗助君が膝枕してくれていたのだろうと推測がつく。何故なら私が起き上がった瞬間、彼の顎と私のおでこがぶつかり合い仗助君は顎を抑えながら震えているのだ。石頭の私は冷静に考えた。



「お、起きてくれてよかったっス」



と顎をさすりながら涙目で彼はそう言った。そして続けて説明してくれた。



「ミヤさん倒れてから昼休み終わっちまって…みんな最初戻らないって言ってたんですけど、俺だけ残るから大丈夫だっつって行かせたんス。だから…あー、寝心地悪かったかもしれないけど…」



そう言いながら頬を染めて申し訳無さそうにしている彼を見て本当に少しだけ重い心が軽くなった気がした。



「ありがとう」



そう言って微笑むと仗助君は私を見て固まった。目をまん丸にして。どれくらい固まってただろうか…凄い勢いで私から顔を逸らして「いいんスよ」そう言った。

仗助君の耳が赤くなってるのに気づいて私も少し気恥ずかしくなり、私と仗助君は少しの間無言で時を過ごした。

なんだか少し変な感じだなーっと思いながらも私は昨日の事を考えてた。手紙の事もあるし、由花子や仗助君達を絶対に巻き込みたくない、と。

もしあの手紙が本当の犯人の物ならば私は手紙の内容通りに殺される。しかもあんなに憎んでいた奴は自分では殺しに来ない。雇った人か仲間かに殺される。あいつが来たなら私は…。

ううん、まだ少しの間だけは由花子達と一緒に遊んでみたいもの。殺される訳にはいかないし私が今動くのはきっと得策じゃない。

これは私のワガママなのかもしれない。
まだ由花子や仗助君達と一緒に居たいなんて…。

私は犯人のいうプレゼントを待ってみようと思った。何があってもきっと大丈夫。私にはあの子が居るのだから。







ーーー。

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