胸に残る一番星 | ナノ

  睦まじく


 また船旅が長くなりそうなので、その前に甘いものを買い込みたいです……! というセーニャのかわいらしいお願いに、異を唱える者はいなかった。

「行きましょうお姉さま!」
「はいはい、走らないの」

 手をつなぎ、睦まじく買い物へ出かけていった双子を微笑ましく見送っていたら、「あの二人は本当に仲がいいねえ」とイレブンが言う。

「あら、あなたとカミュちゃんだって相当よ〜?」
「え! でも僕たちあんな風に歩いたことないよ?」
「そうだよ、何言ってんだおっさん」

 照れている、という風でもなく、素できょとん、としている彼らに、うーん、アタシはどこからツッコミをいれたらいいのかしら? とシルビアが唸っている間も会話は続く。

「……昔は、おじいちゃんやエマとつないで歩いたりしてたけど、今はもう、なくなっちゃたなあ」
「……オレがつないでやろうか? ほら、手」
「えっ……も、もうそんな歳じゃないよ僕……!」
「照れるなって」

 もう! と頬を赤らめて首を振るイレブンの手を、強引に取ったカミュがにやにやと笑っている。その様子を見ていたシルビアは、やっぱりあなたたちも相当よん、と今度は心の中でこっそりと呟いた。




お題『手をつなぐ』
○○を使わない140字小説お題
210120

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