はーとふるらいふ | ナノ


▽ 桜と共に咲く



生温い風が髪を揺らし、桜を散らせた。青城に入学してからもう2年目の春。最下級生だった私は最上級生となった。かなり早かったようにも感じるが、色々な事がたくさんあった。振り返れば長くも感じる。
部活勧誘の為に入学式が行われている体育館の前でチラシを手にしながら待っていた。
特に仲の良かった後輩の飛雄はこれまた強豪校の白鳥沢に落ち、烏野高校というところに進学したそう。
飛雄と同じく仲の良かっ…たのかな、勇太郎と英。勇太郎はうち、青城に受かり今体育館にいるだろう。英はどうしても教えてくれなくプライバシーの侵害だとか言われたので仕方なく諦めたので知らない。勇太郎が来てくれただけでも嬉しいので部活をかなり頑張れる自信がある。
静かだった体育館がざわつき始め、入学式が終わったのだと察知した。急いで入口に向かい、見つけた男子生徒にチラシを配った。

「男子バレー部、よろしくね。」
「赤沢さん、もっと笑顔です笑顔。そんな仏頂面じゃ誰もバレー部に来ませんよ。」

聞こえるはずのない声で自分の名前を呼ばれ、声の主をすぐさま探した。

「英!?英!?英!!」
「何でこんな時だけ笑顔なんですかあと名前で呼ばないで下さい。」
「あき…国ちゃ……国見、青城受けてたの!?何で教えてくれなかったの!?」

名前で呼ぼうとしたら睨まれ、渾身のあだ名で呼ぼうとしたら冷たい目で見られたので苗字で呼んだ。ドッキリっていうのも嬉しいがまさか青城を受けていたとは…。

「それより勧誘はいいんですか?」
「あっ!男子バレー部よろしくねー。」

勧誘なんかどうでも良くなったのが実の本音でもある。勇太郎に、しかもあき…国ちゃんはいすみません国見までもがあと一年、同じ学校で過ごせるのだ。
後輩が出来るのも嬉しいが馴染みある後輩とこれから過ごせるということが大きすぎた。


prev / next



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -