フライハイト | ナノ


現れた大きな壁  




どうしたものか。

次の魔法薬学の授業、二人一組になって授業を行う。いつも余りになる子と組んでいたけど今日はその子が居ないようで。
彼女が居ないと生徒数は奇数になり一人余ってしまう。その余りが、私に成りかねない。いや、私になるだろう。
いつも一人で居ることは楽だしたいして気にしていなかったが、自分は誰とも組む相手がいませんと丸出しにしなければいけないことになってしまう。

「最悪だわ…」

三人一組か、一人で行うことになるか。色々と予測するが自分から組んでと申し出るのなんて恥辱な行為はさらさらするつもりはない。申し出たとしても皆いつものように組むはず。組める人なんていない。

足が進まなかった。
自分が一人だと知られることが恥ずかしくて、怖くて。

私は地下牢に向かわず、保健室へ走った。

「気分が悪くて…横になっていいですか…」

マダム・ポンフリー先生は驚いた表情をしてベッドへ案内してくれた。
初めて仮病と言うものを使った。
罪悪感もあったが、安心感の方が大きかった。

いつも一人だったのに急にその事実が恥ずかしくて怖くて。恥ずかしいなんて思ってしまうことも恥ずかしくて。

「こんなのじゃこれからどうするのよ…」

今さらになって後先が怖くなった。友達はやっぱり作るべきなのだろうか。今さら友達を必要とし出すのもやはり恥ずかしくて。
だからと言って嫌ながらも友達を作ってそれが友達と言えるのだろうか。はっきり言ってパーキンソン達は好きとは言えない。
……それよりも、自分と友達になってくれる人物がいるのだろうか。

……友達は必要ないものなんだ。
ポッターやロンと馴れ合ってるのにグレンジャーはいつも成績トップ。理不尽でしかない。
尚更、自分は友達を作らず勉強に勤しまなければ。
次の授業にはちゃんと出ようと、私は少し休んだ。

魔法薬学の授業が終わったようで私は保健室を出た。図書室に寄ろうかしら。向かっているとクラッブとゴイルを引き連れたドラコが向かってきた。ほんと、良くないことばかりね。

「魔法薬学を休んだようだね」

「……」

ドラコに話しかけられたが無視して横切った。だがドラコは負けじと話しかけてきた。

「ぼ、僕と!!!」

珍しく懸命に話しかけてきたため驚いて振り返った。すると我に返ったのかいつものような勘に触るような話し方になった。

「僕の子分にしてやっていいんだぞ?」

「っ…!余計なお世話よ!!!」

最悪だ。機嫌が悪くて仕方ない。
やっぱり友達なんていらない。鬱陶しいだけだ、一人が一番楽なんだ。
図書室に入ると適当に目に入った本を手にした。本は読み進めれば進むほど熱中していって不機嫌だったのが忘れてしまうところが大好きだ。
次のページを開けると、小さな紙が擦れる音がする。私はこの音が結構好きだったりする。
読書に合う小さくて何だか心地よい音。
また次のページを開けようとすると、ドンと何か思いものを地面に落とした音がした。辺りを見れば、ロングボトムが厚めの本を床に落としていた。

「ネビル、気をつけなさい。ここは図書室なのよ。」

「うん、ごめんね…」

「ネビルそんなの読めるのかよ」

「よ、読めるよ」

どう考えてもポッター達の声が耳障りだった。図書室にいる生徒が少ないからって先生も注意したらどうなのかしら。
あのグレンジャーまで一緒になって騒いでるなんて…。

「ちょっと、静かにしてくれるかしら」

私が一言発すると、4人は合わせて私を見た。ロンは苦虫を噛み潰したかのような顔をしていた。貴方達が悪いんじゃない。

「ごめんねヒルダ、邪魔しちゃって」

「分かればいいのよ」

「友達がいないから図書室に居るしかないんだよ」

「ロン!」

ロンは囁くつもりで言ったのかもしれないがちゃんと私の耳には届いていた。ロン以外の3人は私の様子を窺い、ロンも私に聞こえてたことが分かったようで焦った表情をした。
私は立ち上がると大きめの声で言った。

「友達がいないんじゃないの、つくらないの。」

読んでいた本を本棚へ戻して図書室を出た。
………何であんなこと言ったのかしら。す、少しはポッター達と仲良くなれたかもしれないのに…!
訳がわからなくなった。友達は必要とか必要ないとか忙しいやつだ自分は。

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