城中がカボチャの香りに包まれていて、今日がハロウィーンだと気付いた。ホグワーツに入学して結構経ったのだなと実感した。
カボチャは自分の好物、少しご機嫌になって授業へ向かった。出来る限り友達とかそういう事を考えない事にした。友達など考えないように考え事をするようにした。
「夕食は全部カボチャなのかしら…」
笑みが溢れてしまい、慌てて口を抑えた。
妖精の呪文の授業では物を飛ばす練習を行うことになった。少しやってみたい呪文でもあった。が、フリットウィック先生の口から出た言葉は二人組になるだった。いちいち二人組になる理由があるのだろうか。余りの人物が早く出てこないか呆れていた時だった。
「ミーリック」
声をかけられた。その声の主は黒人のブレーズ・ザビニ。人に話しかけられる事など滅多になかったのでかなり驚いた。
「一緒に組まないか?」
「い、別にいいわよ」
ブレーズは微笑んでから私の隣に座った。理由はわからないが人から二人組を組むのを申し出されたのは初めてでかなり嬉しかった。表情に出ないよう唇を噛み締めた。
「ミーリックって綺麗だから話してみたかったんだよ」
ブレーズは私の顔を覗き込んでそう言った。彼は美人に煩いのを知っていたから、冗談ではないのだろう。嬉しいよりも恥ずかしいだった。私はブレーズから顔を背けた。
「ビューン、ヒョイ、ですよ。呪文を正確に、これもまた大切ですよ。ウィンガーディアム・レヴィオーサ。いいですね?」
フリットウィック先生は積み上げられた本の上でお手本を見せてみた。今はこっちに集中しなければ。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」
皆はこの呪文を唱え続けた。結構難しいものだ。羽は動くが浮遊はしなかった。
「ウィンガー…」
「ミーリックは髪も綺麗だよね」
呪文を唱えているとブレーズがいきなり髪を触ってきたことに驚いて、呪文を間違ってしまった。
ボーンッと耳をつんざくような音と衝撃がわたった。羽が爆発した。髪を触られたことに驚いて後退りしていた為、髪だけが少し燃えていた。ブレーズは手を火傷してしまっていた。
「ごっごめんなさい…!手、大丈夫!?医務室へ…」
「これくらい大丈夫さ」
「ブレーズさん大丈夫ですか…?」
「大丈夫です、平気です」
私のせいでブレーズが怪我をしてしまった。スリザリン生の目線は一気に私に集まった。元を辿ればブレーズのせいだが私は無傷だ。
「それよりミーリックの綺麗な髪の方が心配だ」
怪我をしながら、恥ずかしげもなくそんな言葉を言い続けていた。
ザビニのキャラがよくわからない