フライハイト | ナノ


苦手と嫌いは違います  




ホグワーツに入学してから数日経った。
お母様とお父様からふくろう便が来ることは全く無かった。自分の思い通りにならないからって拗ねるような態度をするなんて子供ね。娘が呆れるわ。1年生が終わるまでにふくろう便が来なかったら今のセリフ絶対言ってやるわ。
朝食のフレークを口にふくんでそう決意した。

あれからドラコが関わってくることは無かった。好都合だ。
スリザリンのパーキンソンに一緒にトイレに行こうと言われて「私はトイレに行きたくないのにどうして行かなくちゃならないのかしら」と返せばスリザリンの女子まで関わってくることはなかった。パーキンソンは財力と容姿を人と接する基準にするんだもの。
それにあのキーキー声は耳障り。1人の方が楽だわ。

「確か今日は飛行訓練がグリフィンドールと合同授業だったわね…」

…飛行は好きじゃないのよね。
幼い頃にクディッチの選手だったお爺様に一緒に箒に乗せられてとんでもない飛行をされてから好きじゃない…。
テーブルの向こう側ではドラコがふくろう便で届いた物を得意気に広げていた。

「耳障りね…」




午後3時、グリフィンドールとスリザリンの生徒は校庭に集まっていた。フーチ先生が現れて「箒の傍に立ちなさい」と言われ古ぼけた箒の傍に立った。

「箒の上に右手を出し、上がれ!と言う。やってみなさい。」

フーチ先生が言うと生徒は一斉に上がれ!と言う。

「上がれ!」

落ち着いて正確に言うも、箒はびくともしない。周りではちらほら箒が上がっている。

「…っ上がれ!上がれ!」

何度も言うけど全然上がらない。びくとも動いてないネビル・ロングボトムと私が同等だっていうの…!?冗談じゃないわ!
次に箒の端から滑り落ちない方法や箒の握り方を直したりした。

いよいよ飛行になった。箒に股がり、箒を握る手には汗が出る。
今でも思い出すお爺様の飛行。一回転はするわ、急に曲がるわ、地面スレスレで飛ぶわ、急降下するわ。降りた後嘔吐したことを忘れたことない。
そんなことを思い出していたせいで1人出遅れてしまった。皆が少しずつ飛び始めていた。

「お願い、飛んでちょうだい」

なんてロマンチストなのか箒に話しかけた。地面を強く蹴って箒をしっかり握るがそのまま地面に落下する。
1人ロングボトムは高く高く飛び始めた。

「言うことが聞かないの…!?」

ロングボトムを乗せた箒はそのまま空高く飛んで、ロングボトムは真っ逆さまに落ちた。
草の上に落ちたロングボトムから骨が折れた音がして私は確信した。

飛行は苦手ではない、嫌いだ。


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