develop one's potential



もうすぐHRが始まるところで、教室の遠くから慌てるような声が聞こえてきた。声が段々大きくなっているのでこちらに向かっていることがわかる。アラタの声だと判断した時、教室のドアが思いきり開かれた。

「ギリギリセーフ!おいヒカル!同じ部屋なんだから起こしてくれよ!」
「まぁまぁアラタ君、きっとヒカル君の気遣いっスよ。」
「勝手な事を言わないでくれるか。」

ヒカルに冷たい目で言われてしまい苦笑いすると無視されてしまった。ハルキ以上の強者だとサガラは確認した。
アラタは乱暴に席に座り、少し前のめりになってサガラに聞いてきた。

「そういやよ、今日の二限目のウェポンってなんだ?始めて受けるんだけど」
「え、あ、あー…一ヶ月に一回行うんスよ。ウェポンの扱い方やウェポンについての授業っス。」

答える直前に少し戸惑ったサガラにアラタは少し不思議そうにした。が、すぐに新兵器に役立つかな…と呟いていた。
サガラは彼女によってアラタとヒカルも被害に合うんだろうなとウェポンを教える教師を想像して苦笑した。HRが終わり、美都が教室を出た後、クラスのほとんどは構えるかのような態勢になっていた。特に女子陣とアキトやサクヤやタダシやら。
再び教室のドアが開かれた。

「みんなおはよー!!ああん!今日もみんな可愛いわね…はあ、はあ…」

教室に元気よく入ってきた女性は急に過呼吸になりだした。ハルキは戸惑いながらも号令を行なった。
今日は機嫌が良いのか飛び付きに行くことはなくほとんどの生徒が胸を撫で下ろした。

「転入生が来てからは初めての授業ね。えーっと、確か瀬名アラタ君と星原ヒカル君……」

出席簿を見ていた女性が二人を探すように顔を上げた途端、女性の動きは止まった。口角がだんだん上がっていって、飛び付く体勢になったが自我を保った。途中でその体勢をやめた。

「え…星原ヒカルちゃん!?」
「違います。」
「きゃぁぁぁああああぁぁ!!!転入生2人共可愛いじゃない!!はぁ、なんてサービス…。」

女性が手の甲をおでこに当ててよろめいている様子に、リクヤは立ち上がって「早く授業を始めて下さい」と冷静な一言。流石という行動だった。

「何なんだあの教師は…」
「女の子と可愛い男の子が好きなんスよあの人…」

呆れたように呟いたヒカルにサガラが小声でいった。
女性はリクヤに注意され、わざとらしく咳き込んで落ち着いた。

「ごめんなさいね。私は天名成葉。基本的には情報の担任なんだけど1ヶ月に一回ウェポンについての授業をさせてもらってるわ」

先程の舞い上がっていたテンションはどこに行ったのか、高ぶった気持ちは収まり先生らしく簡潔に自己紹介をした。
面白そうな先生だなーと呟くアラタの頭は花畑なんだなとサガラは呆れた。第三小隊のプレイヤー、谷下アキトは締め付けるように抱き締められて、窒息しかけたことがあったのだ。
それ以来、サガラは天名を少し怖がっていた。


「ウェポンの可能性は一つじゃない。盾だからと言って役割は守りだけではないもの。
そう!例えばバイオレットデビルとの戦いでのアラタ君の活躍!銃は相手を攻撃するだけのものじゃないってことよ。」
「先生、前の見てくれてたんですか!」
「えぇ、皆のウォータイムはいつも見させて貰ってるわ。」

チャイムが鳴ったところで天名は少し名残惜しそうに教室を出た。


develop one's potential
(可能性を開発する)



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