「銃は俺の命だ。てめぇみたいな若造に預けられるわきゃねぇだろ。そのスッカラカンの頭に風穴開けられたくなきゃ、隅っこにちっちゃくなって引っ込んでな」

 右側の青い服男が懐に手を突っ込むのが視界に入り、リーは右手を素早く持ち上げる。
 すると、その手には小さな銃が握られていた。

「てめぇらの動きなんざ、とうの昔に読めてるぜ。俺様に勝とうなんて千年早ぇんだよ。……それで、王子殿下。何のご用でしょうか」

 少年が軽く手を上げると、両側の男は武器を下ろした。

「部下達の無礼を許して欲しい。今日は、重大なお願いがあって御呼び立て致しました」

「クーデター。ついに父君の暴政に耐え兼ねられましたか」

 少年はこくりと頷く。
 その目に邪念は一切存在しなかった。

「言っておきますが、私は一切、関与致しません。ですが、父君側への協力も一切致しませんのでご安心を……」

「それじゃあんたは高見の見物かい。良い御身分じゃねぇか」

 赤い服の男があからさまに不満を見せるが、リーは気に止めない。

「父の相談役である貴方の事だ。情報提供くらいはしてくれないだろうか」

「じゃ、一つだけ忠告しておくとしますか。……王子殿下のクーデターは成功するでしょう。ですが、それが国民の為にはならない」

「……どう言う事だ?」

 少年は首を傾げ、さらなる言葉を求めたが、リーはさっさと椅子から立ち上がり、小屋を後にした。

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