晩秋である。
 はらはらと舞い落ちる枯れ葉は、掃いても掃いても地面を覆う。
 白亜の城を背に、対照的な黒い身形をした男が一人、裏庭の落ち葉をさくさく踏み鳴らしながら歩いて行く。
 男が向かっている方向には木が繁り、小さな小屋が建っている。男はその小屋の前で立ち止まり、扉を叩いた。

「誰だ」

 中から殺気立った低い声が響く。

「王子殿下に呼ばれたのだよ。扉を開けてくれないか……いや、このまま後ろを向いて、帰るのもありかな」

 男は口元を歪めながら、からかうように言葉を並べる。

「リー、入ってくれ」

 今度は若い男の声だ。
 若いと言うより、まだ幼いと言った感じが否めない。
 リーと呼ばれた男は、迷う事なく小屋の扉を開いた。

「さて、楽しい茶会にお呼ばれされたのはよろしいのですが、少々メンバーがむさ苦しいのが残念ですな」

 小屋の中には屈強な男が二人と、先程の声の主であろう少年がいた。
 リーは厭味を飛ばしつつ、少年に示された椅子に腰を下ろす。

「おい、武器は預からせてもらうぞ」

 相変わらず殺気立った声がリーの耳元で炸裂する。
 ほんのり眉をひそめ、リーが声の主である少年の左側に立つ赤い服の男を睨みつけ、左腿のホルダーから銃を引き抜く。
 手を差し出した赤い服の男に、リーは銃口を向けた。

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