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You know I?-悪ノリお姉様-C
2011/06/27 月 21:31
karusaku



照れたままの友人達を引き連れて、美琴はファミレスを後にした。
せめてもの御礼に、会計は美琴持ち。


暫くすると柵川中学の2人は落ち着いたのか、やっと会話が出来るようになって。
2人の案内の元、一行はオープンしたてのパスタ屋へと向かった。



休日の第7学区は学生で溢れている。
今日は天気も良いせいか、みんなゆっくりと街を歩いていて。

そんな中、4人もゆっくりと目的地へと歩いていく。


黒子はいまだ回復していないのか、ぼんやりとした表情を浮かべていて。
ふらふらとおぼつかない足取りで、隣の美琴に手を引かれている。




(……やっぱり黒子の手ってちっちゃいな。)

13歳の黒子と一緒に歩ける事が嬉しくて、美琴の頬は緩みっぱなしだった。



その間も黒子は時折正気を取り戻しては

『く、くろこは、お、お、お姉様と手を繋いで!ますの///!!』

1人で叫んでは、顔を真っ赤にして黙り込む。



そんな黒子に、美琴も佐天も初春も笑って。


---普段と変わらない、日曜日の午後。




お目当ての店に到着し、それぞれお店のおススメらしきランチを注文した。
運ばれてきた料理を雑談を交えながら、口へと運んでいく。


『御坂さん、今日こそ良いパジャマ見つかるといいですね?』

『うん、でもまぁ、今の私じゃサイズ確かめられないんだけどさ。』

『あはは!本当ですね。』

『ところで!初春はパンツだよね〜?勝負パンツ!』

『さ、佐天さん!またそんな大きな声でっ!』

『あはは!ごめーん!』


『………く、くろこは…おね…さまと……。』


美琴の隣の黒子はといえば食事どころではないらしく、ぼんやりと遠い目をしている。
そんな黒子に更なるいたずらを敢行する美琴だった。



『…黒子、早く食べないと冷めちゃうわよ?』

『…はっ!は、はいですの。』


美琴に声を掛けられ、黒子は正気を取り戻す。
慌ててフォークを手に取り、目の前のパスタと向き合うが。


(……わたくし、いつの間にパスタなんて頼みましたの…?)
(……わたくし、いつの間にパスタなんて頼みましたの…?)


それもそのはず。
美琴が勝手に黒子の分として注文しておいたトマトクリームのファルファッレなのだから。


『と、とにかく。い、いただきますですの…。』


黒子がおずおずと蝶のカタチをしたショートパスタを口へ運ぼうとした瞬間。


美琴は瞳をきらりと輝かせ、いまだ!と言わんばかりに急接近。



それを横からパクリと奪い取る。



『なっ!!!な////!!』



黒子も佐天も初春も絶句。



『み、御坂さん///!?』

『ど、ど、どうしたんですか!?』



『ん?いや、ちょっと美味しそうだなって思って。』


『お、お姉様が…わ、わたくしのフォークを……ぱくり…///!!』


黒子は顔を真っ赤にして、フォークの切っ先を見つめ、ぶつぶつと呟いている。



『もう御坂さん、そんな事したら白井さんがまずます…!』

『御坂さん大胆です!』


慌てて制止する友人達。
けれどこの時間に居られるのは限られているから。


だから…もっと楽しまないと、勿体ないじゃない?
『ごめんごめん黒子、悪かったわ。だから、はい。あーん?』


自分のフォークで黒子のファルファッレを取り、その小さな口へと運ぶ。



『………っ///!?』


黒子が意識を手放し、目の前のパスタへとダイブするのを美琴は皿を自分側へ引き寄せ、阻止する。


(やっぱり13歳の黒子ってかぁわいい…///。)


黒子は嬉しさと緊張のあまり、本日何度目かのブラックアウトを迎えた。


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昼食を済ませた4人は当初の目的であるセブンスミストに到着。
お目当てのパジャマコーナー、下着売り場、雑貨屋を回る。



普段の身体ではない美琴が、少女趣味丸出しのパジャマを合わせて笑いを誘ったり。
佐天の選んだ露出の高い下着に、初春が顔を真っ赤にして怒ったり。

終始、ぼんやりとした黒子は、美琴に手を引かれて歩いていただけだけれど。



4人で、笑って、ふざけて、それはとてもとても楽しい時間だった。



気が付けば夕暮れ時。
何歳になっても楽しい時間はあっという間なんだなと美琴は独りごちる。



いつもの分かれ道で、手を振る友人達。



『じゃあ御坂さん白井さん、またー!』


『白井さーん!明日は風紀委員ですよー?しっかりして下さいね〜?』
美琴も出来るだけ大きな声で、懸命に手を振る。



『佐天さん、初春さん、今日はありがとう!またねー!!』


少しずつ遠くなる友人達の背中。
小さな背中がもっと小さくなって、そして--見えなくなる。





もう会えないだろう13歳の友人達に。
きっと会えるだろう22歳の友人達に。



美琴はもう一度"またね"と小さく呟いた。




小さな手を引いて、美琴は懐かしい常盤台の寮へと歩み出した。



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常盤台中学女子寮、208号室。

朝はバタバタしていてゆっくり眺める時間は無かったけれど、後は帰るだけとなった。
14歳の自分のベッド、自分の机、懐かしいぬいぐるみ達を美琴は感慨深く眺めていた。


『ね、黒子。私の趣味って…ふふっ、子供っぽいよね?』


『…お姉様。』


寮へと戻って落ち着いたのか、ずっとぼんやりしていた黒子も意識がしっかりしてきた。



『今日のお姉様は…その…少しおかしいですの。黒子と手を繋いだり…その…き、き、き…っ。』


『キスしたり?』
『…///!!そ、そうですの!いつものお姉様とは真逆ですの!』


『うーん、そうかな?たまにはいいかなって思ったんだけどさ?』



顔を真っ赤にして叫ぶ黒子に、美琴は失笑する。
こんな可愛い黒子と話していられるのもあと僅か。


『な、な、な、黒子としては嬉しい限りなのですが…し、し、心臓に悪いですの!』


『ごめんごめん、黒子。悪ノリし過ぎちゃったわ。』


『わ、悪ノリでしたの…っ!?』



私に残された最後の仕事。
楽しみで楽しみで仕方なかった、最後のお仕事。



『ね、黒子?こっちに来て?』



反対側のベッドに腰掛ける黒子を手招きして呼び寄せる。
黒子はぶつぶつと小言を言いながらも、素直に私の元に来てくれて。


黒子は私が呼べば、ケンカしてても、怒っていても、どんな時でも必ず来てくれる。
こんな所は昔から本当に変わらないわよねと嬉しくなる。


『…なんでしょう?』


ちょこんと私の隣に腰掛けて。
上目遣いで私を覗き込む、ちょっと幼い黒子。



『……黒子、眼を閉じて?私が良いって言うまで開けちゃダメよ?』



訝しげな表情を浮かべて、それでも言われた通りに目を閉じる黒子。
大きな瞳を縁取る長い睫が、そっと下を向いた。


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つづく!次でラストですの!



 

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