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You know I?-悪ノリお姉様-A
2011/06/27 月 18:43
karusaku


第7学区。
いつものファミレス。


『御坂さーん!白井さーん!』

『こっちです〜!』
手を振って教えてくれる友人達。
美琴はすっかりおとなしくなってしまった黒子を連れ、窓際のテーブル席へと近づく。

『佐天さん、初春さん!2人とも久しぶりね!』
(わ〜!13歳の2人ってやっぱり可愛いわね!)

『…久しぶり…ですか?えっと…御坂さんのお姉さんですか?』
『は、初めまして!?う、初春飾利です!!』


美琴の挨拶に、顔を見合わせる柵川中学コンビ。
慌てて美琴が説明する。
『え?あ!あのね!私、昨日ちょっとドジって。黒子の怪しげな薬飲んじゃってさ!
ちょっと身体が成長しただけ!御坂美琴本人なの!』

『え!?ちょっと待ってください!御坂さんですか!?本人!?嘘!絶対に嘘!』
『え、どういう事ですか!?白井さん!白井さん!!』

美琴の説明に、明らかに動揺する佐天と初春。
初春は風紀委員のパートナーである黒子に声を掛ける。
美琴の腕に抱き着いている黒子は頬を染めたままぼんやりとしていて
初春がいくら声をかけても反応は無い。

『御坂美琴本人よ!佐天涙子さんに初春飾利さんでしょ?
柵川中学で黒子と同い年!佐天さんは初春さんのスカート捲りが日課でしょ!?』

ほら、信じて信じて、と美琴は慌てる友人を落ち着かせる。
確かにそうですけど…そんな大きな声で言わなくても…と呟く初春。
とりあえず座っていい?と断りを入れて美琴はソファーに腰掛ける。

メニュー表を眺める美琴をしげしげと佐天が見つめる。

『…本当に御坂さんですよね?…なんか…すっっっごく大人っぽいですよね…。』

『でも声は御坂さんですし…。白井さんの薬ってどういう事なんですか?』

初春も頼りにならない黒子ではなく、美琴本人に直接問いかける。

『なんかね、身体を成長させる薬だったらしくて。効果は1日らしいから今日中には戻れるよ?』

美琴は佐天と初春に、にこっと微笑んでみせる。

『また白井さんのPC部品ですか…って白井さんはどうしたんですか?』

佐天が美琴の横で大人しく座っている黒子に視線を移す。
「何だか白井さんが静かですけど…体調悪いんですか?」と。
『ううん。体調が悪いとかじゃないのよ。黒子ってば、大人な私に照れてるみたいでさ。』

可愛いわよねーと呟きながら、黒子に聞きもせずにアイスティー2つを注文する美琴。

『…御坂さん、なんかいつもと雰囲気違いません?』
『…御坂さんっぽくないです…。』

『え?何が!?私は私だけど?』

(…しまった!この時代の私はツンデレで、確か黒子にツンツンしてたのよね!
えっと…ツンツンってどうしたらいいんだっけ!?)

『だって御坂さんが白井さんの事"可愛い"なんていう所見たことないですし…。』
『いつもだったらドリンクバーなのに、なんで今日はアイスティーなんですか?』

佐天と初春のツッコミどころが違うのも厄介だが、どちらも説明し難いわ…と美琴は困惑する。

『佐天さん、実はね、せっかく外見が大人になったから。今日は大人なキャラでいこうと思ったのよ。
大人な私は、へ、変態黒子にも優しいかなぁ〜?なんて思って!あはは。』

『なるほど!大人な御坂さん、って訳ですね!?』

『あと、大人ってドリンクバーじゃなくてアイスティーとか単品で頼んじゃうのかな〜?なんて思って。
あ、あと黒子への嫌がらせも兼ねてね!!奢ってもらうつもりだし!あはは!』

『あっ、そうだったんですね!納得です!』

(…黒子!ごめん!愛してるから!!)
22歳の優しい恋人に、美琴は心の中で土下座する。

苦しい言い訳だったのだが、佐天と初春は納得してくれて。
美琴に普段通りに接してくれるようになった。

『それにしても大人な御坂さん、美人ですね〜!すらっとしてて!睫毛長〜い!!』
『本当です!それに胸もいきなり大きくなってます!大人です〜!!』
『身長も伸びてますよね?うわー手足長〜い!』
『わ、私もその薬を飲めば御坂さんみたいに大人っぽくなれるんでしょうか!?』

『あ、ありがと〜!あはは〜!』

(…私、本当に良い友達持ってるなぁ…うん。)

美琴は内心で何度も2人に謝った。嘘をついてごめんね、と。
今度、お茶した時には私が出すから!何でも食べて!22歳の2人!と誓う。

しばし3人で雑談に興じていると。

『…はっ!わたくしは一体!?こ、ここはどこですの!?』

黒子が急に声を上げた。
その様子に、柵川中学コンビはくすくすと笑って。

『白井さん、大人な御坂さんに照れてるんでしょ?意外に可愛い所あるんですね〜!』

『今日は大人な御坂さんですから。白井さんもいっぱい甘えられますね〜?』

良かったですね〜、念願叶ったりですね!とおどけてくる友人達。
黒子は何が何だか分からないまま、えぇと小さく頷いた。

『黒子、アイスティー頼んだけど良かった?』

『あ、は、はいですの。ありがとうございますの。』

やっぱり何かがおかしいと黒子は思う。
大人なお姉様は優しくて、それはそれは嬉しいのだが…。どこか引っかかるというか…。

『じゃ、あたし達もドリンクバー取りにいこ?初春何が良い?』

『あ、私も一緒に行きます〜!』
佐天と初春が席を立ったと同時に、注文していた美琴達のアイスティーが運ばれてきた。

とにかく落ち着かなくては、と黒子はアイスティーに手をつける。
隣の美琴も無言のままアイスティーを口に運ぶ。

(……隣のお姉様はお姉様で間違いないですの。黒子には分かりますの。
…しかしながら、いつものお姉様ではありませんの。何か隠していらっしゃるようですし…。
それに、何やらわたくしを見る目がいつもと違う、と申しますか…。)

黒子は冷たいアイスティーでようやく冷静さを取り戻す。
先程は思考がフリーズしてしまったがここからはきちんと見極めなければ!と自身に喝を入れる。

そんな冷静な黒子も、つかの間で。

『…んー…美味しくないわ。やっぱり黒子が淹れたやつが1番美味しいね。』

『……はい?』

美琴はちらりと店内の中央に設置されたドリンクバーコーナーを眺める。
13歳の友人達は楽しそうにジュースを吟味している。

『2人はまだ…向こうね。』

『…お姉様?』

美琴の行動を不審に思った黒子は美琴の横顔を見つめる。
洗練された美しい横顔が一瞬だけ、あどけない表情になって。


お姉様の顔が近いと思った瞬間には、頬に何かが触れた気がして。


ちゅっ。


『…ふふっ、黒子の頬っぺたってすべすべで美味しいわね?』

平然とそう言って、アイスティーに手を伸ばす美琴。
「あ、これならアイスティー飲めるかも」なんてはしゃいでる。

黒子は自分の頬を押さえ、立ち上がる。
何が起きたのか、何をされたのか…いつもの自分の妄想なのか。

『お、お、お、おおおお、おお姉様!?い、い、いま、わたくしに何を……///!?』

『ん?キスだけど?』

ぼんっ!!
ドリンクバーコーナーの2人まで聞こえるほどの爆発音を響かせて。
黒子はテーブルにきゅうと力無く突っ伏してしまうのだった。


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つ…つづきますの!きゅぅ



 

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