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You know I?-悪ノリお姉様-@
2011/06/27 月 18:38
karusaku



『お姉様、朝ですの。起きて下さいまし。』

『ん〜?んん…。』


鏡越しに美琴を眺めながら黒子は小さく溜息をついた。

愛しい先輩は朝が弱い。

シーツにくるまりぞもぞと動くその姿は、小動物のようで可愛らしい事この上ないのだけれど。

(寝起きのお姉様は一段とお可愛らしいですの。
わたくしとしましても、目の保養にもう少し眺めていたいのですが…そろそろ限界ですわね。)

--9:05
黒子は携帯電話で現在時刻を確認する。
友人達との待ち合わせ時間を考えると、そろそろ美琴も起きなければ間に合わない時間である。
もう一度、声を掛けよう、黒子がそう思った瞬間。


黒子の背後で、どんっ!と鈍い音がした。
手にしていた携帯電話を放り投げて、立ち上がる。

目の前には、白いシーツにくるまったままベッドから転げ落ちている愛しい先輩。

『お、お姉様!?大丈夫ですの!?お怪我は!?』

『あいたた………あれ?なんで床?』

シーツを乱暴に払いのける亜麻色の髪の女性は、きょろきょろと辺りを見回す。
その美しい横顔に、黒子は身を強張らせる。

黒子が愛しい先輩を見誤ることなど、絶対に無い。
間違いなくこの人は愛しい御坂美琴お姉様なのだけれど。


昨晩までの14歳の御坂美琴ではなくなっていた。
もっともっと大人な、御坂美琴。


『……お、お、お、お姉様…?』

『ん?黒子?…………あはは、黒子ね。』

『お姉様、そ、そ、そのお召し物に、そのお姿は…一体?』

『ふふっ、私さ、黒子の妖しい薬を飲んだのよ。昨日の夜に。』

わなわなと肩を震わせる黒子に美琴は優しく微笑んでみせる。
何年も前から用意していた言葉とともに。

『お、お姉様が一夜にして急激な成長を…!!お姉様の慎ましやかな胸がっ…!!』


げふん、と顔を真っ赤にして倒れる黒子を、美琴はその身で優しく受け止めた。


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  You know I? -悪ノリお姉様-
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『確か今日は佐天さんと初春さんに買い物に行く日だったわよね?』

『は、はいですの。』

『ほら黒子、早く準備しちゃいなさい?遅れるわよ?』

(…しかし、薬の効果とはいえ…にわかには信じられませんの…!)

『は、はいですの。』

黒子は素直に髪の手入れへと戻るが、どうしても愛しい先輩が気になってしまう。
スタンドミラー越しに、美琴をちらりと見やる。

鏡越しに目が合う美琴は、寝起き直後だというのに非常にご機嫌そうで。
腰に手を当て、鏡越しに黒子をにこにこと眺めている。

立ち上がってから分かったが、美琴は身長もかなり伸びている。

背が伸びたせいか一段と小顔になっていて。
少女のような幼さは消えており、少しだけ野性味を帯びた鋭い瞳に、シャープな顎のライン。
元々整った顔立ちをしていたが、今の美琴はどこにも文句のつけようが無いほどの麗人で

白地に黒のラインが入ったシンプルな七分Tシャツに細身のジーンズが、しなやかなスタイルにすごく似合っている。

(女性らしい細い腰、すらりとした手足に、しなやかなお身体。
…慎ましやかな胸だけが発達されていますの…。)

美琴の将来の姿を客観的に眺め、黒子は嘆息する。
どこまでお姉様はズルいお方なのでしょう、と。
自身がコレクションしていた媚薬によって、そのお身体が急激に成長したのは分かった。
確かにその手の媚薬も数種類手に入れていた記憶もある。

ただ一点、気になることが。


『お、お姉様。そのお召し物は一体どこで…?』

『あぁこれ?サイズ間違って買っちゃった服とかを探して、夜中のうちに着替えたのよ。』

『で、では、昨晩の時点で、今のお姿に…?』

『うん、黒子はぐっすり眠ってたから起こすのが悪くて。』

『し、しかしながら、外出時は制服着用の義務が…』

『…黒子はいいんだ?この身体で制服なんて着たら私、きっと色んな所が見えちゃうけど?』

黒子は脳内で美琴のあられもない姿を想像し、赤面する。

『そ、それは…!!その…しかし規律が…』

『空間移動でごまかせばいいじゃない、ね?黒子、お願い。』

美琴から蕩けるような笑みでお願いをされる。
黒子には、どうしてもそのお願いを却下することができなかった。


--ぎこちなく準備を済ませ、2人は部屋を後にした。

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とん、と地に足を下ろす。
常盤台女子寮の門の前、脱出成功である。

『っと、ありがと黒子。』

『と、と、とんでもないですの…!その…あの…お姉様?そろそろ手を…///。』

普段ならば、空間移動の際は黒子が美琴の肩に少しだけ触れるだけである。
必要以上に手を繋ごうなどとすれば、美琴から鉄拳もしくは電撃が飛んでくるからだ。

しかし。
今日に限っては黒子が空間移動の演算を始めた時に、美琴から黒子の手をしっかりと握ってきたのだった。
その衝撃に、黒子はあやうく演算を中断してしまったのだが。

『いやーそれにしても靴のサイズが変わってなくて助かったわ。』

何も気にする様子はなく、美琴は手を繋いだまま歩き出す。
黒子はそれ以上は何も言えずにただ顔を真っ赤にして手を引かれるまま歩く。

(……やっぱり、13歳の小っちゃい黒子も可愛いわね。)

美琴はイタズラを思いついた子供のように微笑んで。
『…ね、黒子。こうやって手を繋いでるのも初々しくていいんだけど。
いつもみたいに黒子から腕に抱き着いてくれた方が嬉しいのよね。』

『な、な、な////!?お、お姉様///!?』

『はい。』

握り締めていた右手をそっと離し、代わりに右腕を黒子へと差し出す。

黒子は嬉しいような困ったような表情で、その腕を見つめる。


(…おかしい。おかしいですの!!こんなデレなお姉様!これは何かのトラップに違いありませんの!!)
…黒子が抱きついた瞬間に電撃が流れるですとか、抱き着こうとした瞬間に避けられるですとか…。
きっとそういうベタなお話な気がしますの!!)

『黒子?どうしたの?』

(…しかし、毒を食らわば皿まで!お姉様のお望みであれば、黒子は!!黒子はっ!!)

正常な思考が出来ないまま、黒子はええいままですの!と差し出された腕に、本能のまま全身でしがみつく。
美琴の細い腕を、その身でしっかりと感じる。

(…こ、このパターンは前者でしたのね!!)

身体を強張らせ、いつもの貫かれるような電流に備える。
しかし、いつまで経っても電流は流れず、鉄拳制裁も無い。


『……?』



おぞおずと黒子が顔を上げると、そこには嬉しそうな表情を浮かべる、大人っぽい愛しい先輩がいて。

『…ふふっ、黒子の胸が腕に当たってる。』

『………っ!!』

その美琴のらしくない発言に。
黒子はくらりと眩暈がし、体温が急激に上昇するのを感じた。

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つづきますの!



 

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