唯「ゾンビの平沢」

[list]



★11

管理人:エロ部分あります。閲覧にはご注意下さい。


ボ「突然こんな事を言ってすみませんでした。
それでは、僕はこれで失礼します。
お二人には迷惑を掛けたくないですし……。
  
紬「いえ、そんな事は……」

ボ「昨日の様子は僕も見ていました。
お二人が迷惑そうにしていたので、助けてあげたいと思ったのですが、周りの男達の勢いに圧倒されてしまって何も出来ず……。
力になりたいとかカッコいい事を言っておいて、お恥ずかしい限りです」
  
紬「そんな事ないです! ボーカルさんのお気持ち、とっても嬉しいです!」

ボ「ありがとうございます。もし宜しければ、これからもお友達として……」

紬「はい、是非……」

ボ「良かった……。突然こんな事言って、嫌われはしないかと心配だったんです」

紬「私、ボーカルさんの事、嫌いじゃないですから……」

ありがとう、彼はそう言うと、女神の心すら簡単に奪える程の微笑みを見せ去って行った。


その後のムギちゃんは、ずっと上の空だった。

憂いの表情で、たまに溜め息をつく。
今の私では、彼女を笑顔にさせる事は出来なかった。
彼女の心は、完全にあの男に奪われてしまっていた。

ムギちゃんにとっての私の存在が、あの男より小さい物だとは思わない。

しかし、私に対する「好き」と、彼に対する「好き」は明白に異なるものだ。

友情と恋愛。

私には持っていない物を、彼は持っている。
私は決して彼の代わりにはなれないのだ……。

そう思うと胸が苦しくなり、私の胸に小さな綻びが生まれた。

次の日から、彼は私達の食事の時間に必ず現れるようになった。
私達は、彼の分の食事も作るようになった。
二人分の食事が三人分になった所で、大して手間は変わらない。

彼は私達の食事を絶賛し、美味しそうに口に運んでいた。
その姿を見て、ムギちゃんは満面の笑みを浮かべた。

私に見せる笑顔とは、種類の違う笑顔だった。

ムギちゃんは、以前よりも外見を気にするようになっていた。
服選びの時間が増え、軽めの化粧もし始めた。
「乙女」のムギちゃんは、とても楽しそうだった。

私は彼の存在を受け入れる事にした。
ムギちゃんの幸せは、私にとっても幸せなのだから。

もちろん、私が彼女を幸せに出来るのならば、それが一番良い。
しかし、私は女であった。男ではないのだ。

私には絶対に出来ない事が、彼には出来るのだ。

出来ない事をしようとしてはいけない。失敗するだけだから。
私は、私に出来る事しか出来ないのだ。


ある日、彼が何の前触れも無く、私達の部屋を訪ねて来た。

何故、突然彼はここにやってきたのだろうか。
そんな私の疑問を、ムギちゃんの言葉が解消させた。

彼は、私の知らない間にムギちゃんと会っていたのだ。
いつでも一緒の私とムギちゃんだったが、確実に離れる時間があった。

ムギちゃんが点滴を受ける時間だ。

その時間帯に彼は医務室に通い、ムギちゃんと親睦を深めていた。
ムギちゃんの意向により、医師も彼を医務室に入れる事を了承していた。

ここ最近ムギちゃんの機嫌が良かったのは、それが原因だったんだね。
そして今日、彼がここに来る事を既に承諾していたのだ。

ムギちゃんは私に謝った。私にそれを伝えなかった事を。
私がムギちゃんを追及や叱責する事など出来る筈も無かった。

私は笑顔で彼を迎え入れた。

部屋にあったお菓子とお茶で、ムギちゃんは彼をもて成した。
ムギちゃんと彼は、テーブルを挟んで楽しそうに談笑していた。

とても楽しそうにお喋りをするムギちゃんを見て、私はとても優しく穏やかな気持ちになっていた。

一時間程歓談し、彼は帰って行った。


次の日、私がプールで泳いでいる所に彼が現れ、話し掛けて来た。

ボ「昨日は突然お邪魔しちゃってごめんね」

唯「いえ、ムギちゃんも楽しそうにしていましたし、私は気にしてませんから」

ボ「そっか。でも、昨日冷静になって考えてみたら、女の子の部屋に許可無く行くのはまずかったかなって……」

唯「ムギちゃんが良いって言ったのでしょう?」

ボ「そうなんだけど、あそこは紬さんだけの部屋じゃないからさ……。
だから、昨日の反省も込めて、これからはあの部屋には行かないようにするよ」

律儀な人だ。

唯「いえ、本当にそこまで気を遣って貰わなくても大丈夫ですよ。
ボーカルさんが来るとムギちゃんも喜びますし」

ボ「そっか……、分かったよ。ありがとう、唯ちゃん。
また機会があればお邪魔させて貰うよ」

私はちゃん付けなんだ。

ボ「それじゃあ唯ちゃん、また夕食の時に」

唯「はい、ではまた」

彼はそう言うと、颯爽とその場から去って行った。


1月20日

それから二週間が過ぎた。
彼は毎日、点滴をしているムギちゃんのお見舞いに行っている。
その所為もあって、彼女は点滴の時間を楽しみにする様になっていた。

一人で寂しい思いをしているのではないかと心配していた私にとって、彼がその時間にムギちゃんに付き添ってくれている事は好ましい事だった。

私は彼に感謝をした。

その日の夜、ムギちゃんと3度目の点滴の為に医務室に行った時の事だ。
彼女を医師に任せ医務室を出た時、そこにはボーカルが立っていた。

唯「あ、ムギちゃんはこれから点滴する所ですよ」

ボ「うん、知ってるよ。今日は唯ちゃんに話があって来たんだ」

唯「私に……ですか?」

ボ「そう。紬さんの事でちょっとね……。
ここじゃ何だから、僕の部屋まで来て貰って良いかな?」

ムギちゃんの事?

唯「……分かりました」

私は彼に案内され、彼の部屋に向かった。


ボ「ここが僕の部屋だよ」

唯「お邪魔します……」

ボ「いらっしゃい」

彼は笑顔で私を迎え入れた。
初めて入る、男性の部屋。

部屋に入ると、今まで嗅いだ事の無い、男性の匂いがした。

見晴らしが良いスイートルーム。
私達と同じ程度の等級の部屋。
それだけで、彼がどの位ここで権力を持っているかが分かる。

彼は私達に匹敵する程の権力を持っている。

唯「ところで、ムギちゃんの事って……」

ボ「そんなに焦らないで。とりあえず、これでも飲んで落ち着こうよ」

彼は奥の部屋から、液体が入ったグラスを2つ持ってきた。
強烈なアルコール臭がする。これはお酒だ。しかもかなり度が強い。

彼はムギちゃんの年齢を知っているのだから、同級生である私の年齢も知っている筈だ。
にも拘らず、私の方へ臆面も無く普通にグラスを差し出した。
唯「私、未成年ですからお酒はちょっと……」

ボ「でも、君達の部屋にもお酒があったよ? 飲み掛けの。
しかもあれ、かなり度数の高い奴だよね。そういうのが好きなのかなって思って」

この男、私達の部屋に来た時に、お酒の事に気付いていたのか。

ボ「唯ちゃんと紬さんは、悪い子なのかな?」

彼は優しく微笑みながら言った。
その笑みは余りにも爽やかで、悪意の様なモノは感じられない。
彼の真意が分からず、私は動揺した。

ボ「ホントはね、君達の部屋に行ってそれに気付いた時、注意しようかって思ったんだ。
でもね、唯ちゃんも紬さんも悪い子って感じはしないし、とりあえず様子を見る事にしたんだ」

唯「……。」

ボ「飲みなよ。お酒、好きなんでしょ?」

唯「……お酒が好きなワケじゃありません」

ボ「じゃあどうして君達の部屋にお酒があったのかな?」

唯「ムギちゃんは、酷い不眠症なんです。睡眠薬をアルコールで飲まないと眠れないんです」
ボ「そっか……。彼女のあの姿を見れば、それも納得だ。
すまない、僕の勘違いだったようだ。
うーん、この注いだお酒、どうしようかな。
本当はこれで君と乾杯をしたかったのだけれど……」

唯「……乾杯?」

ボ「この世界で今、生き残っている事に、かな」

私の心臓が激しく波打った。
無意識の内に、私は胸を手で押さえた。

唯「私は、その事で乾杯する気にはなれません……」

ボ「自分の為に死んでいった子達がいるから?」

唯「……はい」

ボ「君も苦しんでいたんだね……。
でもね、君の考え方は間違っているよ」

唯「私の考えが……間違ってる?」

ボ「僕は大晦日の時の君を見ていたよ。
あの時君は、みんなが自分を守ってくれたと言っていたね」

唯「はい……。」

ボ「何でみんなが君を守ってくれたか分かるかい……?」

唯「はい……。」

ボ「みんな君の事が大好きだったからだよ」

唯「はい……。」

私の目から涙が溢れ始めた。

ボ「そんな君の友人達が、君が悲しむ事を望むと思うかな?」

唯「いいえ……。」

ボ「そう、誰も君が悲しむ事なんて望んでないんだよ……」

唯「でも……わたしは……」

ボ「唯ちゃんは優しいんだね。でもね、時にその優しさが人を傷付ける事もあるんだよ?」

私には彼の言っている意味が痛い程に理解出来た。

溢れるムギちゃんの優しさに、私は胸を痛めている。
ムギちゃんの優しさが、今の私には辛いのだ。

ボ「君の辛い気持ちは痛い程分かるよ。
でも、君はそれを乗り越えなくちゃいけない。
そして、今、生きている事に感謝しなきゃ駄目なんだ。
それが君の為に死んでいった子達の為でもあるんだよ」

唯「はい……。」

ボ「だから乾杯しよう? 今、ここに生きている事に」

唯「……はい。」

私は差し出された彼の手からグラスを受け取った。

ボ「今、僕と君が生きてここで出会えた事に……乾杯」

唯「乾杯……。」

私は彼とグラスを鳴らした。
透き通ったガラスの音色が部屋に響いた。

私と彼は、同時にグラスを飲み干した。

私は、飲み干した空のグラスを床に落とした。

私はお酒に弱いワケではない。
にも拘らず、グラスの酒を飲み干した刹那、私は平衡感覚を失った。
視界が回りだし、世界が激しく揺らぎ、捻じ曲がる。

それと同時に、体の奥底から突き上げる淫猥な衝動。
心臓の鼓動が急激に早くなり、呼吸が荒くなる。

脳が一気に高揚し、現実と夢の境界が崩れ去る。

地面が激しく揺れ、まともに立つ事すらままならない。
私はフラフラと覚束ない足で必死に立とうとした。

しかし、上手くいかない。

私は何度も倒れそうになりながら、部屋の中を右往左往した。
その際、手で部屋の置物を弾き飛ばし、それらが床に散乱した

朦朧とした意識の中、私は彼の顔を見た。
ぼやける視界の中で、それははっきりと見えた。

彼は笑っていた。

その時、私は全てに気が付いた。
しかし、その時は既に遅かった。
体の自由を奪われ、私は抵抗する力を殆んど失っていた。

やられた。

私は彼に「薬」を盛られた。


ボ「唯ちゃん、調子が悪いのかな?」

彼の言葉が、エコーとリバーブを最大にしたカラオケボックスの中の様に私の頭に響く。

ボ「こっちにおいで……」

彼が私に近付いてくる。

唯「こな……い……で……」

私は急速回転するメリーゴーランドの様な部屋の中で、彼から逃れようと必死に歩いた。
ドアを目指して歩いていた私は、玄関ではなく、奥の部屋の方に来てしまっていた。

コーヒーカップを限界まで回した様な感覚で、私は立っている事すら出来なくなった。
私はベッドに倒れこんだ。

彼がゆっくり近付いてくる。
そうだ、電話をしよう、私は服から携帯を取り出した。
手当たり次第、必死にボタンを押す。
しかし、いつの間にか私の手から携帯は落ちてしまっていた。

彼は落ちた携帯を拾い上げた。
そして電源を切り、近くの机の上に置いた

彼は上着を脱ぎ始めた。

彼の上半身はプールの時に既に見た。
しかし、部屋の黄色い明かりに照らされた男の肉体は、プールで見たそれとは全く違う物だった。

私は必死に逃れようと 試みたが、柔らかいベッドに沈み、身動きが取れなくなった。
動けない私の上に、彼はゆっくりと覆い被さって来た。

唯「なん……で……こん……な……こ……と……」

ボ「なんでって……僕は最初から唯ちゃんの事を狙っていたんだよ?
一目見た時から、君を食べたいって思ってたんだ」

彼の手が私の内腿を愛撫した。

唯「……っ!?」

その瞬間、私の全身に電流が駆け巡る。
初めて感じる、性的快感。
私は体を弓形に仰け反らせた

ボ「気持ちいいだろ? これからもっと気持ち良くしてやるからな……」

彼の雰囲気が一変し、その目からは男の欲望が満ち溢れていた。

彼は私の上に跨がり、私の服のボタンを外し始めた。

唯「んっ……や……やめ……て……」

彼は私の言葉を無視し、慣れた手付きでブラのホックを外す。
露になった私の乳房を、彼はゆっくりと、そしてねっとりと揉み拉いた。

唯「ん、んんっ……あっ、や…ぅ………やめ……んっ!」

彼は、私の唇に自らの唇を押し付けた。

唯「んっ、んふっ……んんっ!?」

彼は私の乳房を刺激しながら、唇を甘噛みする。
私は口をしっかりと結び、彼の進入を必死に防ごうとした。
しかし、そんな私の抵抗は無意味だった。
彼は私の口の中に自分の舌を強引に捻じ込んで来た。

唯「むっ!?んんっ……むぅ……ん……んっん……んんん!」

私の口内を、彼の舌が縦横無尽に蹂躙した。

何とか彼から逃れようと、私は必死に体を捩ろうとした。
しかし、彼がそれを許さなかった。
彼は私の両腕の上腕部をしっかりと押さえ、私は身動き一つ取れなくなった。

私は彼の為すがままにならざるを得なかった。

彼は口を窄め、その先を私の口内に挿入させた。
そして、強力な吸引で私の舌に吸い付いてくる。
私の舌はその吸引力に抗う事も出来ず、彼の口に呑み込まれた。

唯「っん……んふぅ……っんぐっんぐ……っんむふぅ……!」

彼の口先は吸盤の様に吸着し、私の舌は逃れる事など出来なかった。
そのまま彼は私の舌をさらに引き摺り出し、貪るようにしゃぶり付いた。
私の舌は強く吸引され、そこに彼の舌が絡み付いてくる。

唯「っんむぐ……っんぁ……っっん……んぁんっ!!」

快楽が大きな津波となって私に襲い掛かり、呑み込もうとする。
性的快感が私の体を仰け反らせ、捩れさせる。

彼からの脱出を試みるも、全て無駄だった。
体は固定され、舌も彼のそれに絡め取られ、抜け出す事など出来ない。
私の舌に、更なる刺激が加えられる。

唯「っんぷ……ん゛! んむぅふ……!? っっん゛ん゛ん゛ーーーー!!!」

全身が蕩ける様な感覚に陥り、頭が真っ白になる。
それでも彼の前戯は止まらず、私に性的悦楽の刺激を与え続けた。

それでも動いて何とか逃れようとする私に、彼は新たな手段を用いた。

私を俯せにし、近くにあったネクタイで、私の両手を後ろ手に縛り上げた。
私の上半身は完全に固定され、私の抵抗は完全に封じられてしまった。

彼は俯せになっている私に覆い被さり、後ろから私の首に舌を這わせた。
快感が走り、私は体を反らせた。

男は私を仰向けにし、固くなった桜色の乳首にしゃぶり付いた。

唯「ぁっ……ん……ぅっ……っんん……んぁっ……」

その後ゆっくりと、時間を掛けて私の体の隅々まで舌を這わせた。
まるで蛞蝓が全身を這いずり回るかの様に。

白く肌理細やかな肌の上を、ゆっくり、ねっとりと、私の汗を絡め取る。
その軌跡には彼の唾液が残り、厭らしい臭いを放っていた。

心が否定しようと、体は本能的に反応する。
気が付くと、私の下着はぐしょぐしょに濡れていた。
それでもなお、私の秘部からは愛液が止め処無く溢れ出していた。

私の体は、既に男を受け入れる準備を整えていた。

彼は私のスカートを脱がし、さらには私の下着に手を掛け、スルスルとそれを剥ぎ取った。
私の下半身を纏う布はもう何も無い。
彼は私の陰部に顔を近付けた。

そして彼は、入念に私の内股を舐め始めた。
更なる快感が私を襲う。
彼が舌を這わせる度、私は声を上げ激しく仰け反った。

続いて彼は、私の一番神聖な部位に舌を這わせ、そこにそれを捻じ込んだ。
私は外部からの異物を初めて受け入れてしまった。

唯「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っっっっっっっ!!!!!??????」

今までとは次元の違う、強烈な刺激が私の脳を揺さぶった。

唯「っんぁ……ぁふ……あっ……っんぐ……っんぐっんあああっっっっーーーー!!!!!」

余りの快感に体を捻らせくねらせ仰け反らせながら、私は大声で嬌声を上げてしまった。

さらに追い討ちを掛ける様に、男の指が私の中に進入する。

どこをどの様に刺激すれば乱れるのか、彼は私の体を、女の体を熟知していた。
厭らしい音を立て、私の中で緩急をつけ蠢く彼の指。
彼の指が動く度、私の脳に激しい電流が流れ、私は声を上げ体を捩じらせた。

声を上げる、体を弓形に仰け反らせる、それが彼を益々興奮させる事は分かっていた。

私は必死に口唇を噛み締め、体に力を入れてそれを防ごうとしていた。
それが私に出来る、最後の抵抗だったからだ。

しかし、その抵抗は彼の攻めによって、いとも簡単に崩されていた。
まるで、最初から私の抵抗など無かったかの様に。

彼は私の体を完全に支配していた。
彼は彼の意思によって、自由に私を鳴かせ、喘がせ、善がらせ、捩じらせ、仰け反らせる事が出来る。

そこに私の意思など一切無い。
私は完全に自分の体のコントロールを失ってしまったのだ。

私は今、生まれて初めて他者に自分の体の全てを征服されてしまった。
しかもそれが私の望んだ相手ではなく、憎むべき者にだ。

こんな男に全てを奪われるなんて……。
私の目から涙が溢れ出した。

しかし、それさえも男を興奮させる媚薬に過ぎなかった。

彼はゆっくりと自分のズボンを脱いだ。
彼の下着の中央部分が不自然に盛り上がっている。

続けて下着も脱ぐ。
不自然な隆起を作っていた原因が露になった。

初めて見る、自分には無い物。男性の性器。
保健体育の教科書に描かれていたそれとは違い、大きく、逆立ち、反り返る異物。
先からは透明な液体が洩れだしていた。

唯「ふごっ!? んんんっ………ん゛ん゛!!」

彼は自分のそれを、私の口に無理矢理押し入れた。

汗のしょっぱさに混じり、何とも形容しがたい味がする。
彼は腰をゆっくりと前後に動かした。

彼の肉棒が私の口の中を欲望のままに犯した。

私は朦朧とする意識の中で、彼の急所を噛み切ってやろうかと考えた。
しかし、私にはそれをする力さえ残っていなかった

彼の肉棒は私の喉をも突き、私は吐き気を催した。

彼の口内陵辱が終わった。

いよいよ私の秘部が彼の最大の進入を許す時が来てしまった様だ。
私の神聖な部分を守る障壁は何も無い。

唯「や……いや……やめ……て……おね……がい……しま……す……」

私は涙を流しながら彼に懇願した。
それが無駄な行為である事は分かっていた。
むしろ事態を悪化させるという事も。
しかし、そう言わずにはいれなかった。

案の定、彼の肉棒は血管が浮き上がり、はち切れん許りに膨張していた。

こんなにも大きなモノが、私の体の中に本当に入ってくるの?

いや……やめて……。

彼は私の両足を持ち上げ、その足が私の肩に付く位にまで押し上げた。

彼はただ、曝け出された私の秘部を凝視している。

恥ずかしさ、悔しさ、情けなさで、私の目からまた大量の涙が出てきた。

そして遂に、漲った彼の槍が私を貫こうとしていた。


次の瞬間、突然部屋の明かりが消え、辺りは闇に包まれた。
間近に迫っていた彼の顔すら全く見えない程の漆黒。
私の足を掴むその手から、私は彼の動揺を感じ取った。

どんどんどん、ドアを激しく叩く音がする。

「ボーカルさん、ボーカルさん!!!」

聞き覚えのある声だ。力強くも優しい声。
ボーカルが私から離れた。
しかしこの暗闇、自分の服すら何処にあるのか分からないだろう。

「開けますよ、ボーカルさん!!」

扉が開く音がした。
何人かが部屋に入ってくる足音がする。
懐中電灯の光が数本差し込んで来た。

ボ「何勝手に入って来てんだよ!!」

斉藤「申し訳ありません、施設に緊急事態が起きまして、安全を確認しに参りました」

斉藤さんの持っていたライトが、乱れた私を照らす。
事態を把握し、斉藤さんはすぐに光を私から外した。

斉藤「お楽しみの所を邪魔してしまい、申し訳ありません。
ただ、安全が確認されるまで、ソレはお控えする事をお願い致します」

斉藤「ボーカル様、申し訳ありませんがシーツを一枚お借りします」

斉藤さんは私をシーツで素早く包んだ。
シーツに包まれた私を、斉藤さんが抱き抱えた。

斉藤「この方は、私共が責任を持って部屋にお送りしますのでご安心下さい」

斉藤さんは近くにいた部下に、私の服と携帯を持ってくるよう指示した。
私はお姫様抱っこをされ、ボーカルの部屋から連れ出された。

非常灯のみの薄暗い廊下を、彼は迷う事なく進んで行く。

斉藤「彼に一服盛られましたな」

唯「……。」

斉藤「大丈夫ですか?」

唯「……遅い。」

斉藤「申し訳ございません」

唯「これが……ムギちゃん……だったら……取り返し……付かないよ?」

斉藤「肝に銘じておきます」

唯「でも……携帯で……助かったよ……。ありが……とう……」

斉藤「お役に立てて何よりです」

斉藤さんから渡された携帯には、通話とメール以外に二つの特殊機能が付いていた。

一つ目はGPS機能。
といっても、狭い範囲内、この施設及びその周辺でしかその機能は使えない。
しかしその分、より詳細にその位置を知る事が出来る様になっている。
これにより、私とムギちゃんの位置は常に把握されている。
例え電源が切れても、その時の最後の位置情報は斉藤さんの携帯に残っているのだ。

二つ目が、緊急コール機能。
携帯に緊急事態を知らせるボタンが付いていて、それを一回押すだけでいい。
そうすると、斉藤さんにすぐ緊急コールが送られるのだ。
後は、斉藤さんがGPS機能を頼りに、助けに来てくれるというワケだ。

私達の部屋に到着すると、斉藤さんは私を縛っていたネクタイを解いてくれた。

私をベッドに寝かせ、それから誰かに電話をしていた。
私の様態を見て薬物症状と判断し、それに効く薬を手配させたのだ。

その後、コップに水を汲み、私に差し出した。
ありがとう、私はお礼を言ってコップを受け取り、一気に飲み干した。

5分位して、斉藤さんの部下が薬を持ってやって来た。
直後電気も回復し、明かりも付いた。
この停電も、私を助ける為に斉藤さんが仕組んだ事だろう。

私は、斉藤さんの部下が持って来た薬を飲んだ。

今は21時20分を過ぎた所、ムギちゃんが帰ってくるまでにある程度回復出来るかな。


10分程して、薬が効いてきたのか、体が大分楽になった。

唯「気持ち悪い……。シャワーを浴びていいですか……?」

斉藤「はい、湯船に入らなければ問題ありません」

私はふらつきながらも浴室に辿り付いた。
一刻も早く、あいつの体液を全て洗い流してしまいたかった。

唯「斉藤さん、今日は斉藤さんがムギちゃんを迎えに行ってください」

斉藤「畏まりました」

唯「それと、先程は本当にありがとうございました」

斉藤「いえ」

斉藤「唯様……」

唯「何?」

斉藤「……彼をどうしますか?」

一瞬沈黙が流れた。

唯「斉藤さんは何もしなくていいよ。私は全然気にしていないし。
でも、ムギちゃんの事はしっかり見ててね。私も注意するから」

斉藤「……畏まりました」


斉藤さんも気付いている筈だ。
ムギちゃんが、彼に対して好意を持っている事を。

彼を排除するにしても、今回の事を打ち明けるにしても、結局ムギちゃんを傷付けてしまう事になる。

私達には考える時間が必要だった。
ムギちゃんを傷付けず、彼を排除する方法を考える時間が。

彼は用心深く、用意周到。
私に接近する為、かなりの時間を掛けてムギちゃんに近付いた。

彼女の気を引いたのは保険。

私も斉藤さんも、ムギちゃんの事を何より大切に思っている。
彼女が傷付く事を、私達はしないと見透かされている。

恋は盲目。

けれど、私や斉藤さんとの絆は、そんな物で壊れる程脆くはない。

しかし、私達に躊躇させる。

頭で分かっていても、本能的な部分で恐れているのだ。
ムギちゃんとの関係が崩れてしまわないか。

私達には、それが0%と言い切る勇気が無かったのだ。

さらに、彼を排除するに当たってもう一つの問題があった。

彼の父親である。

彼の父親はかなりの力を持つ国会議員だった。
その権力は、琴吹家に勝るとも劣らない。
その息子に手を下せば、色々と都合が悪い。

彼の父親を説得し、味方に付ける?
いや、息子の愚行など、既に全部お見通しだろう。
それでもなお息子を放任しているのだから、説得など出来る筈もない。

私が琴吹家の権力に守られている様に、彼もまた権力に守られている存在なのだ。
権力とは味方に付けば心強いモノだが、敵に回すとこれ程厄介なモノなのか。

しかし、結局の所、彼の狙いはムギちゃんではなくこの私なのだ。
私が我慢し、彼を受け入れれば、全て丸く収まるではないか。

私が助けを求めれば、琴吹家は動く。
しかし、私の個人的感情で琴吹家の力を借りていいのだろうか?

私は今回緊急コールを押してしまったが、別に命の危機があった訳ではない。
あそこで助けを呼ばなくても、私の処女が失われただけで、それに実害などない。

もしかしたら、一番良い解決法は、私が彼を受け入れる事なのではないだろうか。

浴室から上がると、そこに斉藤さんの姿はもう無かった。
脱衣所に私の着替えが置いてある事には流石だなと感心した。

寝巻きに着替え、ベッドの上で私はムギちゃんの帰りを待っていた。
暫くして、ムギちゃんと斉藤さんが帰って来た。
斉藤さんはムギちゃんを部屋の中まで送り届けると、すぐに帰って行ってしまった。

紬「唯ちゃん、今日は斉藤が迎えに来てくれたのだけれど、何かあったの?」

唯「うん、ちょっと体が汚れちゃって、どうしても先にお風呂に入りたくて……」

嘘は言っていない。

紬「そうなんだ」

何事も無いと知ると、ムギちゃんの顔に笑顔が戻った。
ムギちゃんは本当に優しい。優し過ぎる。

紬「そういえば、さっきの点滴の時に、彼、来なかったの……」

ムギちゃんは寂しそうな顔をした。

唯「もしかしたら、用事があって忙しかったのかもしれないね」

実際私をレイプしようとして忙しかったのだから、これも嘘ではない。

紬「残念だわ……」


次の日、彼はいつもと変わらず、何食わぬ顔で私達の作った朝食を食べに来た。

用心深い割りに、時として大胆な行動に出る。
これ程やりにくい相手はいない。

朝食を済ませ、朝の点滴に行くムギちゃんに、今日は忙しくて見舞いに行けないと彼は謝罪した。

分かっている。
私に用があるんでしょ?

思った通り、医務室でムギちゃんと別れた後、彼はすぐさま私に話がしたいと接触してきた。

彼は自室か私達の部屋で話し合いたいと提案してきたが、そんな事、昨日の今日で受け入れられるワケがなかろう。
最終的に、食堂で話す事になった。

この時間帯なら人も少なくて好都合でしょ?


沈黙を最初に破ったのは彼だった。

ボ「昨日はごめん、ちょっと調子に乗り過ぎちゃって……」

未成年に「薬」まで盛っておいて何を今更……。

私は湧き上がる怒りの感情を、何とか宥めた。
今、ここで事を大きくしても何の得にもならない。

唯「……もう、そのキャラしなくてもいいですよ。」

私がそう言うと、少し間を置き、男の雰囲気が豹変した。

ボ「そうだね、唯には本性バレてるから、まぁいいか」

いきなり呼び捨てか。

ボ「単刀直入に言おう。僕の女になれよ」

キャラが変わり過ぎだよ……。
でも、その方が全然分かり易いよ。

唯「……。」

ボ「僕の女になる事に、不満なんてないだろう?
僕は日本のトップアイドルだよ?
顔良し、金持ち、地位も在る。生まれながらの勝ち組さ。
僕の愛人になりたいって女だって、ごまんといるんだ」

性格は最悪じゃないか……。

ボ「唯だって、昨日は凄く感じていたじゃないか。
君の鳴き声も善がった顔も最高だったよ。
本当は嫌いじゃないんだろう?
今度はもっとイカせてあげるからさ」

唯「……。」

ボ「本当に嫌だったのなら、あんなには感じないよ?
君は僕を本能的に求めているんだ」

私の心臓がビクッとなった。

彼は私に精神的な揺さ振りを仕掛けてきていた。

[しおりを挟む]




















×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -