一味違ったティータイム(4)



「そういえば、ミス・ヨシノ。先日は私の寮生が世話になりましたね」


「え?」


「コリン・クリービーが、いろいろと話してくれました」



 なんて面倒なことをしでかしてくれたんだ。リンが、心の中でコリンを恨めしく思っていると、フリットウィックがいきなり興奮し出した。



「その話は私の耳にも入りましたよ! 何とも見事な浮遊呪文だったと ――― いやはや、ポモーナ、さぞかし鼻が高いだろうね!」


「あら、ミス・ヨシノは確かに私の寮生だけど、浮遊呪文を教えたのは、フィリウス、あなたよ?」


「そう言われると照れてしまうのだが……私だけではないだろう? ミス・ヨシノは、他の教科でも優秀なのだから。結局は、そう……本人の素質だろうね」



 既に赤く色づいた顔で、フリットウィックはニッコリとリンに笑いかけた。スプラウトとマクゴナガルも「もちろん、そうでしょう」と頷いて、リンを見る。


 どこか誇らしげな三人の顔を見て、リンは自分の顔が熱くなるのを感じた。



「い、いえ、あの……それは……その、私の素質とかいう問題じゃなくて……つまり、先生方の教え方が、あの、良いのであって……その……」



 ああ、だめだ。こういうの、本当に無理だ。珍しく言葉を詰まらせながら、リンは思った。



 ホグワーツに入学するまで、リンは誰かに何かを教授され評価されるという経験がほとんどなかった。

 唯一魔法薬学だけはナツメの指導を受けていたが、ナツメは「教えたことはできて当たり前」と考えている人物だった。


 そのため、リンは「指導者から褒められる」という行為に免疫がなく、また苦手としているのであった。



 こういうときは、いったいどう反応すればいいのか……素直に受け取るべきか、謙遜しておくべきか? それとも……、など、グルグル考え込むリンは、気づいていない。


 珍しく落ち着きをなくしてドギマギしているリンを前に、教師三人が顔を見合わせたことに。彼らが、リンの状況を正確に理解していることに。そして彼らが、切なげに ――― それでいて微笑ましそうに、目の前の生徒を見つめたことに。



 結局、リンは、上手く対応できないまま、フリットウィックに差し出されたエクレアを手に取り、静かに頬張ったのだった。



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この教師三人組、どうしてこう和むんだろう
 


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