ボーバトンの美少女 .2



「ふぅん? さぁて、いったいどんなお顔をして ――― 」

 ベティの言葉が途切れた。愕然としている。ハンナもポカンとし、スーザンは静かに硬直していた。リンはボーバトン生を一瞥して、三人の様子に納得した。

 長くきれいなシルバーブロンドの髪に、大きな深いブルーの目の、絶世の美少女だった。一瞬、リンはヴィーラかと思った。それほどまでに異性の目を釘付けにしている。

「……たしかに、不用意に人目に晒せる顔じゃないね」

 リンが呟く。ベティは口を開きかけたが何も言わず、ポカンと美少女に見惚れているアーニーの横っつらを引っ叩くことで怒りを発散した。それに対して、ジャスティン(美少女を目にしても、通常運行のままだった)がベティを叱責する。

 本来ベティを諌めて喧嘩を止めるべきスーザンも、アーニーを心配するはずのハンナも、今回ばかりは何も言わない。女というものは恐ろしいと、リンは思った。

 面倒な騒ぎを無視して、リンはふとハリーたちの方を見た。美少女を目で追うロンが見え、その横のハリーと目が合った。しかしすぐに逸らされる。ハーマイオニーは男子二人の様子に苛立っている雰囲気だ。

 ロンはともかく、なぜハリーにまで苛立つんだろう……本当に、女というものは恐ろしく分からない。首を傾げるリンの横で、スイが呆れ顔で尻尾を一振りした。



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