不穏な日没時 (4)



 四(五)人は黙々と歩き、城へ向かった。急速に日が陰り、広い校庭に出るころには、闇がどっぷりと四(五)人を覆っていた。



「スキャバーズ、じっとしてろ」



 ロンがまた突然立ち止まり、スキャバーズをどうにかしようと頑張った。いったいどうしたのか訝ったとき、リンは見た ――― 地を這うように身を伏せて、こちらに忍び寄ってくるものを。暗闇に不気味に光る大きな黄色い目 ――― クルックシャンクスだ。



「クルックシャンクス! ダメ! あっちに行きなさい!」



 ハーマイオニーが制止したが、クルックシャンクスは近づいてきた ――― 。



「スキャバーズ ――― ダメだ!」



 遅かった。スキャバーズはロンの指の間をすり抜けて逃げ出した。クルックシャンクスがそのあとを追いかける。リンたちが止める間もなく、ロンは猛スピードで暗闇の中に消え去った。

 残された三(四)人は急いで一人と二匹を追いかけた。前方から、ロンの駆ける足音が聞こえ、クルックシャンクスを怒鳴りつけるのが聞こえた。



「捕まえた!」



 ドサッと大きな音がした。リンは慌ててハリーとハーマイオニーの腕を掴んでブレーキをかける(腹這いでリンの肩に掴まっていたスイが、振り落とされそうになって必死にリンのローブにしがみついた)。危うくロンに躓〔つまず〕くか、ロンを轢くところで、三人は止まった。


 ほうと息をつき、リンは、地面に腹這いになっているロンに立ち上がるよう促した。視界の隅で、ハリーが、ゼイゼイ言っているハーマイオニーの背を撫でてやっている(運動不足なのだろうか……とリンは思った)。



「もうすぐ校長たちが戻ってくるはず……急いで ――― 」



 不意に、何か足音らしきものを聞き、リンは言葉を切って振り返り、目を見開いた。



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