世界が変わった一番の出会い(後日、本人談).3 二人同時にリンを振り返れば、彼女は黒髪をサラサラ揺らして歩いていく。まるでジャスティンたちなど目に入っていないかのようだ。 しかし、その足取りが、一瞬だけ遅くなった。 「………災難だったね。今度から気をつけて」 ジャスティンたちは目を見開いた。振り返りこそしなかったが、今のは確かに自分たちに向けられた言葉だ。 何ともクールな去り方である……アーニーが小さく感嘆の息をついた。 「カッコいい………なあ、ジャス ――― ジャスティン?」 余韻を堪能したあと、ニッコリと笑って友人の顔を覗き込んだアーニーは、ふと目を瞬かせた。 何だか様子がおかしい気がする……頬を染めてリンの後ろ姿を見つめるジャスティンに、アーニーは当惑した。 アーニーが再度声をかけようとしたとき、ジャスティンは、口を開いた。 「………素敵だ」 本当に優秀な人の振る舞いっていうのは、まさにあんな感じなんだろうなぁ。 ジャスティン・フィンチ-フレッチリーが漏らした、ポツリとした小さな呟きは、泥だらけの二人を遠巻きにする人々の喧騒の中に、消えていった。 そして、このときより、ジャスティンはリンに憧れを抱くようになり、それが変な方向へとこじれていくなど、待ち合わせていたハンナと合流して廊下を歩いていくリンには知る由もなかった。 余談だが、これは、入学して最初の魔法薬学の授業が行われる前日の出来事であった。 **** 原作二巻でロックハートに憧れてたので、きっとこういう「カッコよさ」に弱いだろうな……と。マグル出身なので、余計ああいうシーンに感動するんでしょうね。 そして、夢主の方は、相手が誰だったか覚えてない ← いやだって、急いでてそんなに注視してなかったし……相手、泥だらけだったし……。 → 飛行訓練 (初の飛行訓練) |