今日は何の日?《土誕》


 




 今日は5月5日。勿論俺の誕生日だ。
 パシャパシャと音をたて片手には傘を持ち走る俺。向かう先は万事屋で、先程電話があり呼び出された。祝ってくれるんだろうか。そんなことに気持ちを膨らませていると、あっという間に万事屋までたどり着いた。少し息を弾ませ戸を叩く。





【今日は何の日?】





「お〜。来たか。入って入って。ほら早く!」


 そんなせかさなくても入るだろ。って言いながら靴を脱いだら目の前に何かを差し出された。
 おいおい、もうプレゼントかよ気が早い奴だな。


「これ着て台所に来てね」


 ………。
 差し出されたもの。手にとって唖然とした。俺の期待をズタズタに切り裂きやがった、エプロン。
 いやいやいや!!何でだ!?何でエプロン!!?
 仕方なく言う通りにエプロンを着て台所に向かうと、そこには良い匂いが漂っていた。それも子供が喜びそうなものばかり。


「何だよこの料理の数」

「何言ってんだよ!今日はこどもの日だぜ〜?神楽がちらし寿司食べたいっつーからよ、俺が一生懸命作ってんの。けどちらし寿司だけじゃ寂しいだろ?他にも作ろうと思ったら人手がなくってさ〜、土方君呼んだわけよ。あっ神楽は出来るまでの楽しみにしとくって出て行ったから」


 何だよそれ!!俺手伝いの為だけに呼び出されたのか!!?ならこいつ今日俺の誕生日だって知らないっていうことか!?いやいや、んなことあるわけねぇ!知ってるはずだ。


「どうせ土方君こんな黄金週間でも仕事しかしないでしょ?」


 ………。
 もう、どうにでもなれ。


「てか土方君走ってきた?」

「?あぁ、それがどうした」

「裾濡れてるからさ。ほら、髪も濡れてんじゃん。このままじゃ風引くしさ、先に風呂入って体温めてこいよ」


 足元を見るとびっしょりと濡れていて、髪の毛からは滴が幾つも落ちて床に小さな水溜りを作っていた。
 傘を差して来たはずなのにな。
 言葉に甘えて風呂に入ろうとて風呂場に向かおうとした俺は、ふとあることを思いついた。
 知らないなら知ってもらえばいい。それだけだ。


「なぁ万事屋…。今日、何の日か知ってるか?」


 万事屋に背を向けたまま静かに言ってやるが、応えはいつものふざけた口調だった。


「はぁ?さっきも言ったでしょ〜?今日はこどもの日だってよ」

「それ以外は?」

「…それ以外?何かあるのかよ」

「俺は今日お前に呼び出されて不覚にもここまでは浮かれて来たんだぜ?それがどうだ。呼び出した理由がチャイナ娘に作ってやる料理の手伝いをしろだぁ?それ聞いてさっきまで浮かれていた俺が馬鹿らしくなっちまったぜ」


 別に俺は怒ってるわけじゃないんだぜ?ただ俺の誕生日だって気付いて欲しいだけなんだ。それだけなんだよ。
 後ろ向いてるから万事屋の表情は分からないが、息を飲んだのは分かった。分かった瞬間背中に衝撃が当たってそれが万事屋が飛びついて来たってことが反射的に分かった。


「ごめん。今日…お前の誕生日だったな。……おめでとう」


 やっと思い出してくれた。そうだ俺の誕生日だ。知らなかった、というより完全に忘れていたっぽいな。この調子だとプレゼントも何にも用意してねーだろうな。


「プレゼント、準備してないけど…俺に出来ることなら何でもするから」


 ぎゅっと後ろから回されている手に力が入り、より一層俺を抱きしめた。その手は小刻みに震えていて、背中に押し当てられた万事屋の顔。鼻をすすり、泣いていた。


「何でもいいのか?」


後ろを振り向き万事屋を抱きしめる。


「で、出来ることならなっ」

「なら一緒に風呂に入ろう」

「は?」

「体が冷えて寒いんだよ。風呂入って背中流せよ」


 何でもしてくれるんだろ?わざと唇を耳にくっつけて言ってやれば一瞬で真っ赤になる耳。見えてないが顔も真っ赤なのかもしれない。





――――――――――
―――――――
――――





「なぁ土方。こんなことだけで本当にいいのかよ」


 俺は天井を見る形で浴槽の縁に首を預け湯船に使って、万事屋に髪を洗ってもらっていた。


「いいっつってんだろ。それとも何だよ。他の事されると思って期待したのかよ」

「期待なんかしてねーよ!」

「ふーん。他の事されるってとこは否定しないんだな」


 にやりと笑って後ろを振り向くと顔が真っ赤になった万事屋と目がばっちり合った。


「顔真っ赤」

「ふっ風呂に入ってる所為だ!」


 なんてわかりっきた嘘をいう俺の恋人に、意識的に作る笑いじゃなく、自然に出てくる笑いが漏れる。


 そうか。って髪の毛を洗っていた手を引くとバランスを崩した万事屋が倒れこんできて、受け止めてやると憎たらしく「引っ張るんじゃねぇよ、馬鹿」なんて言いやがるもんだから、


「うわっ!!」


 バシャンっ


 派手な音を立てて湯船の中に万事屋を引きずりいれてやった。男二人も入った浴槽は当たり前にもぎゅうぎゅうだったけど、それが何故かおかしくて二人して笑って子供騙しみたいな触れるだけの優しいキスを何度も繰り返した。





―end―





―――――
あとがき
―――――
土方誕生日おめでとー!!!
そしてこのサイトを一周年も続けられた自分におめでとー!!


これからも銀時とらぶらぶで過ごしてね!!


小説は珍しく間に合いましたよ!
一周年には間に合ってないですが…。土誕と一周年の小説が一緒ですいません。
てなわけでこのサイト05/04で一周年になりましたー!
ここで細々と一人祝います(T_T)


小説…
エロくないが…。
キスもディープじゃない…。((←え

こうゆーのを甘々って言うんでしょうか??
甘いのあんまり書かないんでわかんないんです…(>_<)
誰か甘々って言うのを教えて下さい!!!


ホントはお風呂でヤっちゃうのを途中まで書いてたんですが、長くなること確実で、しかもそうなったら土方の誕生日に間に合わなくなるってことで断念。

ですが、続き書きます!!
……多分。
数日後にくらいに(笑)
見たいと思う方がいれば報告して下さい。
そしたら確実に更新するんで(*^^*)

小説はフリーです!!なのでお持ち帰りしたい方は報告して下さいね!(^^)


では、ここまで読んで下さりありがとうございました!





09/05/05

- 7 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -