耳から伝わる甘さ《バレンタイン》
St.Valentine's Day novel
今日は13日の金曜日。いや、映画じゃなくてマジで13日で金曜日なんだって。…なんだけど、何故か眠れない。もう日付も変わるのももうすぐな時間、静まった部屋には俺が呼吸する音しか聞こえない。
モゾモゾと布団の中で寝返りを打つが……気付かされる。一人で寝る寂しさを。こんなに布団が広いとは思わなかった。今の俺の心はぽっかりと穴が空いている感じがしてたまらない。
【耳から伝わる甘さ】
明日はバレンタイン…か。なんて、男が男にチョコあげるのなんざ…キモいだろ。だが、一応は…準備した。勿論手作りだがやる予定はない。なんせ土方は仕事が忙しく手が離せないらしい。
寝付けないとこんなにも色んなことを考えてしまうのか…と時計を見ると、もう零時を回って日付が変わってしまってんじゃねーか。
今日が…バレンタイン…。
まだ、仕事してんのか…?けどもう夜遅いしよ…。
俺の手は連絡用てして土方に持たされた携帯に伸びていた。トゥルルルル…と一回目のコールが鳴る。だがそのコールが鳴り終わることはなかった。
『何だよこんな夜中に』
「っ…!!」
驚きのあまり声が詰まって返事が出来なかった。まさか一回目のコールで出るとは思わなかった。出るとしても数回コールが鳴った後かと思っていたから…。
『聞いてんのか?万事屋』
「あっ…い、いやー。まさか出るとは思わなかったからよ。対して用事はないんだけど…」
電話をしたのはいいが、何を話せばいいかわかんねーよ。ただ声が聞きたかっただけ。もっと欲を言えば、会いたい、触れたい、抱きしめられたい。
「ちょっと…眠れなくてよ。色々考えてたら多串君はまだ仕事してんのかなー何て思って電話しただけなんだよ!」
多串君って言ったのはただの照れ隠し。ゼッテーバレてると思うけど。
『仕事はさっき終わったんだよ。何だよ寝れないのか?』
「え…あ、あぁ」
ドキリとする。最後の一言、土方の声音に何か企むような、そんな感じがしたから。俺はまたモゾ、と寝返りをうつ。
『俺が仕事してるか気になったってことは俺のことをずっと考えてたのかよ』
囁くような声が耳だけじゃなく身体全体を感じさせる。それだけで俺のモノは反応し、身体が熱くなる。
「っ!ちっ違っ」
『声、裏返ってんだけど?』
その声も身体に響いてくる。
「ふっ…んぅ…っ!!」
ヤバッ今、俺何つー声出してんだよ!
慌てて口を押さえても、もう意味がない。
『何だよ。俺の声だけで感じてんのか?』
土方の声にどんどん身体が熱くなり、モノからは触ってもいないのに先走りが溢れてきていた。なんつー身体してんだよ、俺は!
『仕方ねーな。履いてんの脱いでモノ出せよ』
「はぁ!?何だよいきなり!!」
『叫ぶんじゃねーよ!お前もう勃ってんだろ?だから俺がイカせてやるっつってんだよ』
「!!?」
電話でか?ってことはある意味自分でするから一人Hと同じゃねーか!
『まず…片手でモノ擦ってもう片方の手で乳首弄れよ』
っ…何でだよ!!
戸惑いながらも俺は土方の言う通りに布団から起き上がり、履いてるのを脱ぐ。携帯を耳と肩で挟み落とさないようにして、それから寝間着の上をはだけさせると乳首を摘まみ、もう片方の手でモノを擦りあげる。すると自然と口から漏れる掠れた吐息は確実に土方に届いていて、羞恥心もある。だがもうそんなのはどうでもいい。頭の中で俺は土方とヤってる。目を閉じ携帯の向こうの土方を浮かべる。
あー、こんなのもいいかも…。
『おいおい、夢中になってんのかよ。すっげぇエロい声が聞こえてくるぜ?』
「う、るせ…」
いきなり現実に引き戻される。お前の声の方がエロいんだよ!と何も考えられなくなってきた頭で言って、夢中ってのに否定はしない。実際に夢中になってるから。
『まだイクんじゃねーぞ。ちゃんと俺が言う通りに弄れよ』
「んっ…は、ぁ…」
『両手使って擦れよ』
言う通りに俺は胸の突起を弄っていた片手を下ろしモノを掴む。そのまま上下に擦ってみると、先走りのおかげでスムーズに動かすことが出来て、それがまた俺を夢中にさせ身体が快楽を求める。だけどイクことは許されない。
『裏筋も、ゆっくり、なぞるように焦らしながら弄れ』
「あっ…やっんン!は、ぁあッ」
『尿道口を指で弄ったあと爪も押し込めよ…。すっげぇいい声で鳴くじゃねーか』
「ひぅぅッ!あ、あぁあ…んぁ!!もっ…イキ…て…」
尿道口のあまりの快感に俺のモノは血管を浮かべ、はち切れそうになりながらだらだらと先走りをたれ流し震えている。正直もう限界ってことは土方もわかってるハズなのに…。
『まだイクなよ。後もう少し、待て』
もう少しってどれくらいだよ!!と本当に限界な時にいきなり玄関の戸が開かれた。
「おいおい、ちゃんと鍵くらいしとけよな。無用心なこったぜ」
反則だろ…こんなの…。
ピッと携帯を切るとポケットに押し込み、俺も携帯を切ると枕元に置いた。俺の目の前まで来た土方は俺の手の中にあるモノを包み込むとゆっくりと擦っていく。
「ああぁ!!マジ…イキたッ…っんぁ!やっ」
イク寸前、擦る手を離した土方に、俺は何で…と見ると、俺もイキてーんだよ、と直接耳に囁かれたら全身から火が噴き出すんじゃないかってくらい熱くなった。
先走りで濡れた手を土方は俺の奥に押し込み、解していく。それだけでイキそうになるが、土方の手がモノの根元押さえてるからイこうとしても出せなくて精液が逆流してくる。それが辛くて無意識に涙がぼろぼろと零れてきた。
「んな辛そうな顔すんじゃねーよ。なんならもっとヨクしてやろうか?」
辛そうな顔って…ヨすぎて、出せないからンな顔になんだろーがっ
「ぁああ!や、やめッんあーッ!」
胸の突起を先走りがついた指で摘ままれ、押し潰されこねくり回される。ぬるぬると滑る指が余計に俺を感じさせ背中がしなる。
こいつ楽しんでやがる…俺の辛さも知らねーで!
その上尿道口に爪を立てられたらもう目の前がスパークする。いつの間にか奥に入っている指は三本になっていて、それをバラバラに動かされればもう堪らない。
「あぁあッ!は、んぅぅっ…や、イキたっひじっ土方、ぁ!…ぃッイカ、せっ!」
「あぁ、イカせてやるよ」
「ひぁあ!あ、あーっッ!…や!」
ズチュ、と一気に最奥までモノを叩き込んだ土方は、前立腺を狙うようにピストンを繰り返す。俺は息も調えることも出来ないまま喘ぎ、乱れ、思わず土方にしがみつく。
…もうイカせて欲しい。
「ッ…俺も限界」
さっきよりピストンが速くなり、前立腺を巻き込みながらガクガクと揺さぶられ、俺のモノからは根元を押さえられているにも関わらず、先走りがこぷ、と溢れ出して俺の腹を汚していた。
「あぁ!や、あぁあーッ!んンぁッ…っ…」
「くっ…ぅ」
土方が低く呻いた瞬間、俺の中のモノが一段とでかくなって奥に叩きつけられた、熱い熱い欲望。その、中に出された欲望に身体が震え俺も感じて精液を吐き出した。
――――――――――
―――――――
――――
「んン…ん」
ゆっくりとまだ重たい瞼を開けていくと、目の前にはもう起きて俺の寝顔を見ていたであろう土方がいた。
「はよ―…って…え…それ…お前食べたのかよ!!?」
挨拶をしようとして目に入った、土方の手元にあるラッピングしていたチョコ。勿論俺が渡すか迷っていたやつ。しかも開けられてもう中身がないってことは食べているってことだよな…やっぱり。
「食べてよかったんだろ?」
なんて優しく笑って言われたら頷くことしか出来なくて、でも食べてくれたことに自然と口元が緩む俺。土方は触れるだけの優しいキスを額に落とす。
「いいけどお返しは倍返しだからな」
嫌味たっぷりにいってみれば、クスッと笑う土方がこれまた嫌味たっぷりに返事をしてきた。
「任しとけよ。満足させてやるから」
―end―
―――――
あとがき
―――――
最後まで読んで頂きありがとうございます!
やっと書き上げたんですが、バレンタインは1日過ぎてしまいましたね…。
すみません(+_+)
ぐだくだのだらだらですが、2日位で仕上げました。バレンタイン用にバレンタイン前に書いてたのもあったんですが、何かしっくりこなくて即席で考えた話しがこれですよ。
まぁこれもぐだくだなんですけどね(-_-;)
09/02/15
- 4 -
[*前] | [次#]
ページ: