長い間、おかしな夢を見ていた気がする。
彼は少しのびて落ち着いたススキ色の髪を、風にかるくなびかせていた。
春の桜のしたで空を見上げて、琥珀の瞳を潤ませて。

長い夢はその光景だけをうつしだしていた。

思わず名前を呼んだあたしに、ゆっくり微笑んだ。
そんな夢。


彼はきっと今、彼の国で、彼の居場所で生きているんだと思う。
そして元気に暮らしている。
そう信じたいんだ。
(だって、起きたときに流した涙はなんだか暖かかったから。)



でも、瞳を潤ませていた彼はきっと、つらい思いもしてるんだね。

(せめて夢だけはすてきなものを見ていたらいいな。つらい現実にも立ち向かえるような、底抜けに明るい夢を。)

できるならば。








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