通りかかるときに、ぱしりと腕を叩いてからあたしは通り過ぎてしまおうと思っていた。
教室のそばの廊下。
昼間だけれど、校内のため少しだけ薄暗い。

彼氏のはずなのに、学校ではほとんど接触のないあたしたちだから、腕を叩くなんてことも勇気のいることだった。
ぱしり、それだけですむと思っていたのに、

すれ違いざまに彼の右腕を叩いたあたしの腕を、強く掴んで引き寄せた。意外と力があることに、男の子を感じた。

心臓が大きく高鳴って、あたしはしばらく綱吉くんのいじわるな微笑みに目を向けることができなかった。

そんな、秋の思春期。





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