この出会いは運命か偶然か
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「朽木三席!!」
流魂街での虚討伐を任された隊士から援護要請が来たのは、私が夜一の元から帰ってきてすぐだった。
丁度イライラしていたし、書類仕事なんてとてもできる気分ではなかったし、何より体を動かしたくてウズウズしていたので、私を向かわせる事にノリ気でない浮竹隊長をどうにか丸め込んで私が援護に向かった。
「てめぇら、巻き込まれないように踏ん張っとけよ!」
中級虚に戸惑う援護班にそう声をかけて、斬魄刀に手をかける。一般隊士が手こずる相手だけあって中々骨のある奴ではあったものの、私が負けるはずもなく、あっさりと一体目を倒す。
予想外だったのは、報告にない二体目だった。
「大丈夫?皆、」
「はい…ありがとうございま……朽木三席!!」
「うぐっ、、、!」
ほんの一瞬の出来事だった。
腹部に激痛が走り、思わず呻く。
背後からやられたせいでどんな風に攻撃を食らったのかも、分からない。
ただ、拭った手のひらにべっとりと付いた血を見て、自分はこれから死ぬのだろうという事だけは安易に理解出来た。
(嗚呼、クッソ…)
(私の最後、コレかよ)
(そりゃあ…そうだよな)
散々、大人に、死神に、尸魂界に、歯向かったのだ。
そんな私に良い最後を神様が与えるはずがない。
(ただ…)
(願わくば……)
絶望に打ちひしがれた私が、意識を失う前に聞いたのは、
どこか聞き覚えのある、心地よい低い声だった。
_「啼け、紅姫」
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