朽木姉 過去 | ナノ

意外性とは最大の魅力である


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「あー気にせんときーや、雪音」

「ああいう奴やねん、ひよ里は」

呆気にとられていると、真子に励ますように頭を撫でられた。隣の羅武は「曳舟隊長に報告だな」とかなんとか言っていて、彼女の扱いに慣れを感じる。曳舟隊長って事は、十二番隊か、よし。


「私、十二番隊行ってくるー!!!」

「はぁ?!!お前話聞いとったか?!!」


「あいつめんどい奴やぞー!!」と叫ぶ真子の声を背に、私は十二番隊舎へと駆け出した。
面白い、絶対面白い子だ。あの子。仲良くなりたい。



「すみませーーーん!!六番隊隊長の朽木雪音でーーーす!!!」

大声で挨拶をかませば、「雪音ちゃん!!」と見覚えのある死神が私を抱きしめた。相変わらず距離感の近い人だ。

「……桐生ちゃん!」

「あんなに小さかったのにもう隊長になったんだねぇ!!」

曳舟隊長…いや、桐生ちゃんは、私が幼い頃によく遊んでもらっていた死神の1人で、卯ノ花さんとは違った優しさというか、暖かく包容力を持った人だ。なるほど、この人の元で副隊長をしていればあんなにのびのびと育つ訳だ。


「あーー今日はひよ里ちゃんに用があって」

「ひよ里ちゃん??確かそこに……」


言葉を詰まらせた訳はすぐに分かった。怒りの形相でひよ里ちゃんが私に掴みかかってきたからだ。

「何やねんアンタ!!!さっきウチがしたこと忘れたんか!!!」

「忘れられるわけないじゃん!あんな面白い事、早々ないよ」

思い出すだけで笑ってしまって、「ひよ里ちゃんと仲良くなりに来たんだよ」と伝えると、今まで見てきた中で1番嫌そうな顔で「ひよ里ちゃんって呼ぶな!!!」と頭突きをされる。一瞬で視界がぐるぐる回って、普段海燕に頭突かれる時は手加減されてたんだな、とこの時やっと気付いた位、手加減なしの頭突きだった。

「ひよ里ちゃんって呼んじゃダメなの…?じゃあ、ひよ里…?」

「はァ?!!!何でそうなんねん!!ハゲ!!!」



バチィン、と相変わらず本気のビンタをされて、やはり目の前の強気の女の子は楽しい子だと確信した。





 
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