時代は進んでこそ時代
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「ちょっと待ってめっちゃ緊張してる、えっ?」
「お、お、お、おお落ち着け雪音」
「お前も落ち着け海燕」
私は、隊長羽織に袖を通す。海燕は、副官章を腕に巻き付ける。2人とも緊張でガッタガタになりながら一番隊舎へ向かっていると、「雪音、緊張しすぎやで」と同じく一番隊舎へ向かっている真子にからかわれた。
「隊長就任おめでとうございます、朽木隊長」
「あ、うんありがとう惣右介……ちょ、待って緊張でお腹痛くなってきた!!!」
「雪音、俺……副隊長になる前に緊張で死ぬ……」
「嫌だァァァ!!!!死ぬなかいえーん!!!」
「相変わらずうるさいなぁ」と割り込んで来たのはリサで、その傍らの京楽隊長に「おめでとう」と微笑まれる。ありがとうございます、と返す心の余裕があるはずもなく、「手足震えてきた、、、」とそれだけ発するのに精一杯だった。
「何でそんなに緊張してんだ、雪音は結構隊長格と仲良いだろ、はじめましてって訳でもねぇのに」
「それとこれとは別なんだよ拳西!!それに会った事ない人だっているし!!」
「ほぉ、そうかそうか、まぁ精々頑張れよ」
そう言って先々進んでいく隊長格(私も隊長格だけど)に、私は緊張を吐き出すように深呼吸をひとつした。
「よってここに元六番隊副隊長、朽木雪音を六番隊隊長に、同隊元三席志波海燕を副隊長に任ずるものとする」
「……よろしくお願いします」
頭を上げると、みんなと目が合った。真子は「ようやった」と口パクで褒めてくれて、羅武にも上手くできてたぜ、と言わんばかりに頷かれ、私は思わず口元が綻ぶ。良かった、上手くいった、と胸をなで下ろした。
「良かったよ、雪音」
「ありがとう、浮竹」
「おめでとうございます、朽木隊長」
「ありがとう、卯ノ花さん」
皆に声を掛けられる傍ら、不服そうにそっぽを向いている女の子が気になって「新しく六番隊隊長になった朽木雪音です、あなたは?」と、声をかけた。
「……アンタに名乗る名前なんかない」
「…え?」
「アンタと仲良うする気はないっちゅうてんねん!!!ハゲ!!」
容赦なく足をふんず蹴られて痛さに悶えていると、その隙に、とでも言うようにサッサとどこかに消えてしまった。
……私、彼女に何かしたっけ。
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