変革の時がすぐそこに
(18/23)
「雪音!」
一番隊舎の廊下を歩いていると、浮竹隊長に声をかけられた。「久しぶり」と返すと、「疲れた顔をしているよ」と心配そうに覗き込まれる。
彼に顔色の心配をされるなんて、私は余程酷い顔をしていたのだろう。「卍解の鍛錬してるからかなあ」と欠伸を1つすると、「そうか、もう卍解は習得したんだっけな」と目の前の彼は感想をこぼす。
「一応ね、まだまだ使いこなせないから爺
の所で特訓だけど」
やっべ、いつもの癖で爺って呼んじゃった、と思って「総隊長と」と付け足すと、彼は「元柳斎先生に爺とは、さすが未来の総隊長だな」と楽しそうに笑った。
「朽木隊長は引退なされるのか」
「あぁ、うん、そうみたいだね」
近々隊首試験を受ける手筈になった。隊長になりたい、と小さい頃から思っていた筈なのに、いざその役職を手にするとなると、少し緊張していた。
「良かった、雪音の事だから、悩んでいるかもしれないと思ったんだが」
「どうやら俺の見当違いだったようだ」と付け足す浮竹に、「あながち間違ってないよ」と返す。
隊長になってもいいのかと悩んでいた私を当たり前のように一蹴した浦原三席がいなければ、私は多分今でも1人でぐるぐると悩んでいただろう。
「ありがとう、浮竹隊長」
「あぁ、無理だけはしないようにね」
帰り際渡された飴玉を口に含みながら、私は自隊の隊舎に戻った。
「あ、朽木副隊長」
「惣右介…」
自隊に戻れば、書類を届けに来たらしい惣右介と鉢合わせた。「それ、ウチの隊のやつなら預かるよ」と申し出ると「ありがとう」と書類を渡される。温厚な微笑みが彼らしく、「どういたしまして」と私も微笑んだ。
「あ、あと平子隊長を見なかった?」
「真子…?見てないけど…また脱走でもしたの?」
「あぁ、うん。相変わらず書類仕事が嫌いな人だから」
苦笑いする彼に、真子が書類を全部惣右介に丸投げして日向ぼっこする姿が目に浮かぶ。あぁ、大変そうだなあと思っていると、普段口を挟まない海燕に「雪音も似たようなこと俺にしてんだからな!!」と返されて、「うるっせぇ!!私は真子より仕事してますぅ」と口を尖らせる。
「ほんとに口うるさいな海燕!私が隊長になったらてめぇは七席にしてやる!」
「バーカ!!俺が隊長になってお前のこと顎で使うんだよ!!!」
「はぁ?!!海燕が隊長になれる訳ないでしょ?!」
「あはは、海燕君に使われる朽木副隊長は確かに興味あるな」
「そうでしょう!藍染副隊長!!」
「ちょっと惣右介!!!」
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