忍たま | ナノ

▽ できない子

※人によってはモヤる終わり方します。




「あなた、そんなこともできないのですか」
「あぁ、天女様だったらもっと労ってくれるのになー」
「やめろよ、コイツに天女様の様な振る舞いなんて出来るわけないだろ」


「ははっ、左様で」

彼らの言葉に耐える様にギュッと握りしめた


忍たまの世界にトリップしてしまったと気づいた時にはあっ、これ死亡フラグって思った。天女ものであればすぐ死ぬ。

だがしかし予想とは打って変わりわたしの前に来た天女は努力家で働き者で、慈悲深く、疲れた彼らを笑顔で励ましそれはそれは学園中から愛されて天へと帰っていったらしい。


そして出来上がったこの平和でピュアッピュアな学園に来たわたし。
そりゃもう比べられる比べられる。

ドジ、ノロマ、間抜け、泣き虫、

前来た天女がハイスペックすぎて涙が出てくる。何故年下の彼らにこんなにまで言われなきゃならんのか…夢サイトを見てるだけで充分だったのに。

そんなわたしにも救いの神がいた。

「小松田くぅん…」
「なぁに?名前ちゃん?」

ふにゃりと笑う彼に何度助けられただろう。

「休憩しよっか」

みんな彼の事をへっぽこだと言うけれど彼はできる子なのである。人よりミスをする箇所が多いだけで。
今だってなんにも言っていないのに気遣ってくれる。

「わたしできない子だから」
「それだったら僕も一緒だよ、お揃いだねぇ」
「小松田くん優しいね」
「名前ちゃんが優しい分を僕が返してるだけ」
「ひぇぇ、結婚して」
「僕がちゃんと忍者になって稼げる様になったらね!」
「うぐっ、暫く待たされるやつというか一生待たされる気がっ!」
「そうかなぁ?」

小松田くんは本当にすごい。マイナスイオンが発生してるんだ。ストレスマッハなわたしの胃も彼のおかげだ穴が開く様なことにはなっていない。
これからも帰るまでは頑張ろう。
やな事があっても小松田くんが最終兵器についているわたしは強いのだ。


そのはずだった。



「君が天に帰れば天女様はまた来てくれるのかなぁ?」
「どうで…しょうか、」
「でももしかしたら帰ってきてくれる可能性があるならそれに越した事はないよね!」
「え、あの、でも、その内わたしも勝手に向こうに帰ると思うから…」
「善は急げというだろう?」
「痛いのはやだなぁ…」
「安心して!眠る様な心地で送ってあげる」
「心の準備が…」
「恩を返せるチャンスだとは思わないのか?」

もう何を取り繕ったって駄目なんだ。



「そう…ですね」


小松田くんの姿が目蓋の裏に思い浮かんだ、



「僕、できない子になっちゃった」

ポロリと溢れる涙は拭いてもらうこともできず、

確かに横にいたあの子はもういない。

天へと帰ったと聞いたが本当に果たしてそうなのだろうか?

「あぁ、だぁれも助けてくれなかったんだね」


もしも時間が戻せたらーーー。



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イメージ曲
「君はできない子」

本当は「ピュアホワイト本丸ならぬピュアホワイト忍術学園に落とされてゲロ吐きそう。小松田きゅんだけが頼りです。」ってタイトルでギャグ多めの明るい感じになる予定だったんだけどなぁ…おかしいなぁ…。




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