忍たま | ナノ

▽ 後から来た天女に全てを奪われてました。そんなに心が広いわけでもないんで風魔にでも行きます。

「おい、コレもやっておけ」
「はい…」
どっさりと渡される洗濯物うわ、汗臭っ

「そんなにトロイくて今日中に仕事終わるの?小松田さんの方が使える」
「すみません」
書き終えていた書類が破り捨てられた。

「邪魔だ!どいてくれ!」
「はい」
これ以上隅に寄ったらあたしは壁の漆喰と同化してしまいますよ。

「思ったんだけど君がここの部屋を使うより天女様がここを使った方がいいと思うんだ。僕らの長屋も近いし」
「わかりました」

さて、部屋も追い出されたし。

軽い足取りで向かうは学園長の庵
許しを得て中に入り学園長の顔は見ずただ懐に入れていた紙を目の前に差し出す
「名前よ、これはなんじゃ」
「異動願いです」
「そうか」
学園長は特に驚くでもなく話は進んでゆく。
「風魔にお許しもいただいてます。箱庭が変われど監視は続けられますしよいでしょう?」
「お主が偶に文を飛ばしていると思ったがやはり風魔であったか」
「わたしがここに居ても居なくても対して変わらないと彼らは言ってきているのでそれならば違うとこ行こうかなと」
「そうか、そうか、寂しくなるのぉ」
「学園長先生がそう言ってくれるだけで嬉しいです」
餞別だと包みをいただいた。困ったら開けなさいと伝えられ庵を後にする。

元自室近くに戻ればあたしが使っていたものは全て地に放り投げられていた、という事はもう天女様のお引っ越しは済んだのであろう。キャッキャっと楽しそうな声が耳に入ってくる。
とりあえず荷造りは終えていたし地についているあれらは捨てる予定だったので踵を返し事務員用の部屋へ荷物を取りに行く。

「名前ちゃん、」
「あ、小松田さんお疲れ様です」
「お疲れ様、…やっぱり行っちゃうんだね」
「小松田さんにはお世話になりました」
「僕がもっとちゃんとしてればまだ居てくれた?」
「ううん、小松田さんは唯一の癒しでしたよ」
「うぅ、名前ちゃん…」
「なに泣いてるんですか年上でしょうに」
「みんなには言って行かないの?」
「下級生に言わないで行くのは心苦しい気もするけど疲れちゃったんだよね」
「そっか、じゃあ最後に出門表にサインをお願いします!」
「はいっ!」

そして1人風魔流忍術学校がある相模に向けて歩き出した。
彼方から迎えを寄越すと言われたので約束の場所まで足を進める。後は振り向かない。
さよならバイバイ


3日掛けてついたのは学園から出て6つ目の町についた。山越えも慣れてきたもんだ。
宿をとりゆっくりしようと思い宿を探そうと茶屋へと足を運ぶ。安全な宿を店主と話しながら聞き団子を食す。

すると目の前には白装束。
顔をあげれば見知った顔がそこに居た。
「よぉ名前、いさしかぶり」

「あらー、お迎えって与四郎のことだったんだ」

「おらじゃ不満け?」

「ううん、逆に申し訳いくらい」
そう答えると満足そうに彼は頭を撫でる。

「山野先生からある程度のことは聞いた、それ以上の事はおめえが話してくれるまで聞かねえ」
「ありがとうね、そうしてくれると助かるよ」
「よし、明日の朝一ココを出ればあと2日もすれば相模につく」
「あたしの足に合わせてもらってごめんね」
「そこはありがとうっていってほしいなー」
「へへ、ありがとう」
「どーいたしましてー」

そしてたどり着いた風魔流忍術学校。
そこで事務員をすることになった。

あたしを知るものはここには誰にも居ない。
居ないからこそ解放された気分だ。
あっちでは監視といびりの毎日。

少し前まではそんな事なかったはずなのに、半年前に落ちてきたあたしと同じように空から落ちてきた女の所為であたしの居場所は無くなり無いものとされていた。

学園長先生、おばちゃんや小松田さんに下級生が唯一心の癒しであり支えでもあったが日に日に疲れと行く心はどうにもならず、蔑ろにしてくる奴の面倒まで見る気になれなくて逃げた。超逃げた。決心してからは早かった。
忍術学園と交流が深い風魔ともそれなりに顔見知りになっていて本当良かった。

「名前ー、外出届だーよ」
「はい、しっかりと受けとりました。いってらっしゃい古沢さん」
老けた一年生古沢仁之進はむず痒そうに頬をかく。
「でへへ、なんかお見送りされるっていいなあー」
「馬鹿なこと言ってないで行った行ったリリーさんのお使いでしょう?」
「はーい!行ってくるだーよ」
門の外でお見送りしていると、今月間回目かわからない深緑の影が目の前に落ちてきた。

「…名前」
「あら、忍術学園六年ろ組のお2人ではないですか、本日は忍務か何かで?」

「何でそんな他人行儀なんだ!!」
「もう他人ですもの。風魔に誤用がなければお引き取りを」

「天女は帰った!!だから…!!」
「くどいです。わたしは彼処に未練もございませんし心がそこまで広いわけではありませんので」

天女が帰ったからとて何だというのだ。それであなた達があたしにしてきたことがなくなると?なくならないよなぁ?こちとらテメェらの顔見るだけで怒りが湧いてくるんだわ。

お引き取りくださいと箒の先を突き付ける

「すまないと思っている」
「謝罪はもう今月に入ってたくさん受けました。心からの謝罪ありがとうございます。それではわたしはこれから風魔で過ごしていくので忘れてください」

「名前!!」

「おい、おめぇさん達なにやってるだーよ」
「あ、与四郎おかえりなさい」
「ただいまー、これ土産だーよ」
「うっわ!これめちゃくちゃ有名なところの菓子じゃん!ありがとう!」
「どーいたしまして、で?忍術学園のおめぇらがなんでここにいっとー?」
「私達は、名前を呼び戻そうと…」
「呼び戻す?なにを勘違いしてるかわかんねーけど、」


「名前は名前の意思でここにきた。"風魔の"事務員だーよ」

殺気。

自分達に向けらるものは与四郎の物だけでなく。周りの木々や学園内からも伝わってくる。

「っ!!!」
「小平太、今日はやめよう…」
「だが!!」
「またくる…」
「名前が目当てじゃなきゃ歓迎するよー」


悔しい。悔しい悔しい悔しい!!

名前が前まで向けてくれていた笑顔は風魔の奴らにだけ向けられるようになってしまった。

選択を、道を誤ったのは自分達であり、自業自得なのはわかっているが、こんなにも悔しい事はない。

ぜったい、


絶対。


取り戻す。


==================
事務員ちゃんが風魔へ行った後学園が機能しなくなりなんでこんなにも仕事が溜まっている?名前はどうした?え?いない?なんで?みたいに次第に天女から名前へと思考がいき、正気を取り戻した時にはすでに遅く。天女にはおかえりいただき(物理)風魔に行ってしまった事務員ちゃんを忍術学園に戻そうとする忍たまvsもう名前はウチの子だーよ風魔最強セコム与四郎。ファイッ!!

与四郎の方言難しい…ほんと与四郎に見えなかったらすまねぇ…




prev / next

[ back to top ]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -