忍たま | ナノ

▽ 暴君スパイラルアタック天女襲来

「なぁなぁなぁなぁなぁなぁ!」
「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえな「名前!!抱きしめるぞ!!」なんですか!!七松先輩!!」
「むぅ、私に抱かれるのがそんなに嫌か」
「だっ!!!変な言い方しないでください!」
「私はこれから1週間忍務へといく!だから抱きしめさせてくれ!!」
「上半身と下半身サヨナラしたくないので遠慮しま「細かいことは気にするな!」ぐぇぇぇっっ」


そして七松先輩は忍務へと旅立った。
これでっっっこれでっっっすこしの間とても快適な空間が過ごせる!!と甘い考えをしていたのに天罰が降りたのか、空から女が降ってきた。

とんでもない厄災として。


「天女さま、美味しいですか?」
「うん!すっごく美味しいよぉ!」
「また買ってきますね、なんなら今度町へ一緒に…」
「勘右衛門、抜け駆けするな」
「もぉ、喧嘩しないのぉ!みんなで遊びにいきましょう?」
「なんてお優しいんだ…」
「俺は2人っきりでいきたいんだけどなぁ…」


「何このゲロ吐きそうな空間」


きゃっきゃっうふふとなんか甘ったるいものをかき混ぜた空間が食堂には出来上がっていた。
人だかりの中心には空から落ちてきたという女。
みんなは"天女さま"と呼んでいる。
もうその存在に忍たま上級生はベッッったりぴっっっったり張り付いている。
いや、仕事しろよ仕事。あんたは食堂のお手伝いを任されていた筈では??
そんな疑問を抱くのもおかしいのかと思うほど上級生は彼女に対して過保護である。

皿を持とうならば私達が。野菜を洗う手伝いを言い渡されれば私達が。
赤子でもないからそこまで見る必要はあるのかと思う。

もちろんそんな腑抜けた忍たまのシワ寄せがくのいち教室にも影響してて学園内がピリついている。

唯一のわたしの先輩であるくのたま六年生のまきを先輩はついこの間母親が倒れたとのことで里帰り中で不在。

自動的にくのたま最高学年は今はわたしなのである。

くのたまの天女に対しての愚痴やお悩みは全てわたしに訴えられるのである。


なんだか食堂にいるだけで頭痛がしてきて眉をしかめる。

「名前先輩、よろしいですか?」
「ん?どうしたの忍たま一年は組黒木庄左ヱ門」
そんなわたしの元に現れたのは忍たまの一年生。

「あの、ここでは、その…」
「えー、なになに?愛の告白?」
「いえ、決してそんなのでは」
「噂通り冷静ね」

さっさと残りのご飯を口に入れ盆をカウンターへ返した。
「おばちゃん、ご馳走様です。」
「はい、お粗末様」
「何か困ったことあったら言ってください。お手伝いしますので」
「えぇ、ありがとう」
おばちゃんはそう答えながら苦笑いでチラリと天女のほうを見たのを見逃さなかった。
わたしも苦笑いを返して食堂を後にする。

「お待たせ庄左衛門。で?お話って?」
「先輩方が、委員会に来ないんです」
「は?」

それをわたしに言って何になると…???

「くのたまの先輩にこんな事を言うのは違うとわかっているんですがらどうか先輩たちの目を覚まして欲しいのです。」

なんとも困った事をお願いされてしまったんだ…
根性で説得して彼らは果たして目を覚ましてくれるのだろうか?


「あ、不破に鉢屋丁度良かった」
「なんだ」
「名前ちゃん今じゃなきゃダメ…?僕たち急いんでるんだけど…」
「いや、お前ら委員会行ってるの?後輩たち困ってたよ」
「「委員会??」」
「…??いや、なに不思議な顔してんの?」
「いやだって」


スタスタと足早に学園内を歩き回る。足を止めたら苛つきを通り越して涙が出そうだったから。


しんどい。なんだこれ、ナンダコレ。


『天女様のお相手をしているんだ。委員会なんて行く必要ないだろう』

あいつらそんな事を口に出した。
それを聞いた瞬間どっちかは分からないが多分不破を平手打ちをしてその場を去った。

最早あれは信仰だ。
わたしがいくら根気よく説得しても無理だ。

このままでは委員会が機能しなくなり学園が滅茶苦茶になる。
シナ先生はこの事は教師側がそろそろ動くとは言っていたがいつ動くのだろうか?
ぐるぐると嫌な考えばかりが巡り終いには足を止めてしゃがみ込む。
根性じゃあどうしようもできない。

ふと6日前に見たあの笑顔が頭をちらつかせ思わず名前を呟く。

「七松先輩…」



「おう、どうした名前」


今、聞こえるはずもない声が聞こえ勢いよく顔を上げると間違いなく今呼んだ名前の本人がそこに居た。

「あ、な、なまつ、せんぱ…」
「なぜ泣いている、誰が泣かした」
「ちがっ、七松先輩っ、」

先輩の姿を確認してポロポロと目から涙が溢れそれを見て慌てた先輩が目線を合わせるようにしゃがみ込んできた。
緑と土の匂い。

「こっちを見ろ、何があった」
「なんでも、ないんです。」
「何でもないって言ってもお前なぁ…」

「あらぁ、その後ろ姿もしかして七松小平太くん?」

ふと聞こえた声に
冷や汗と悪寒が吹き出した。

「お前は誰だ」
立ち上がった七松先輩はわたしを隠すように目の前の相手…天女に話しかける。
「おい、小平太失礼だぞ」
「いや、文治郎、彼奴が忍務に行った後に天女様が来られたのだ知らなくて当然だ」
「すみません、天女さま後できつく言っておきますので」

「ふふ、わたしは気にしないからみんないいわよぉ」

「みんなに天女さまって呼ばれてるからそれでいいわ、忍務へいってたんですってね、お疲れ様ぁ」
「そうか、」
天女が七松先輩の手を取る。
あぁ、きっと七松先輩もこの女の手に落ちるんだ。

「用件はそれだけか?それでは私は失礼するぞ」
「え?」

「いけどーーーん!」
「ひょわぁぁあ!!」
突然の浮遊する感覚
物凄い速さで去っていく景色


下ろされた頃には景色は緑が広がっていた。

「よし!!ここだな!」


「七松先輩、予定よりお早い帰りですね…」
「あぁ!距離が遠いだけで簡単な忍務だったからな!」
にっかりと笑う先輩をよく見ればあちこちに土や草木が着いている。
そんな汚れを懐から出した手拭いで拭きながら疑問を投げかけた。

「…天女さまはいいのですか?」

キョトンと、まあるい目をいつも以上にまあるくして先輩は首を傾げた

「何故そこで私が天女とやらに着くと思ったんだ?」
「だって、皆んなそんなこと言って天女さまの術に順番にかかって行かれたので…」

「?何を言ってる。この前も言ったが私は生涯お前以外を好きになる事はない」



「私の心がお前から離れる時はお前が私を本当に拒んだ時だ」


それは最早お前私の事好きなんだろう?と自意識過剰に言っているようなもんで、でもあながち間違っていない言葉にジワジワと顔が火照る。

「それに後輩達からの言伝を受け止めてまず自分で動こうとする。側から見れば無謀かもしれないがそんな姿が私はそんなお前が好きなんだ」

「っっっ〜〜!!」
「なはは!顔がトマトみたいだぞ!」
「七松先輩の所為ですっ」

いつもは具体的なことは言わず好意ばかりを押し付けてきた先輩が、こうやってちゃんと言葉にしてくれていることが嬉しくて、愛しくて、

「そろそろ名前を呼んでくれないか?」
「お付き合いもしていないのに親しく呼べません!」
「今からお付き合いするのだろう?」
「先輩ムードもへったくりもないですね」


その後七松先輩の圧倒的陽の気で天女の変な妖術は解けかけた頃に侍らせてた5年とお出かけにいってたら突然消えたとのこと。



めでたしめでたし?






「さて、お前ら名前を泣かせた事私は怒っているぞ」
ガタガタと震えるのは五年生。
小平太先輩の後ろには1発ずつ殴られてノックアウトしている六年生。

「泣かせたって…言われても」
「あの時私達真っ当な思考してなかったので」
「ほぉ、男が言い訳か?」

「小平太先輩!先にマラソン行っちゃいますよ!!」
「わかった!!すぐ行く!」

「お、お付き合い…始めたのですか?」
「あぁ、そこは天女とやらに感謝せねばならんな!あいつが私を求めたきっかけだからな!」
「おめでとうございます…」
「あぁ!だがそれとこれは違うからな!1発目を覚まさせてやる!」

「「「「「ぎゃぁぁぁぁあ!!!」」」」」」




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