忍たま | ナノ

▽ 幸運少女と不運少年

「お願いです!名前先輩!」
「この通り!!」
「先輩しか居ないんです」
「うぅん〜、」
「すっごいスリルゥ〜」
保健委員の下級生達に囲まれている。
その理由が、

「学園一幸運なくのいちの苗字名前先輩がついてきてくだされば不運に見舞われる事はないと思うんです!」

「いや、ホント私そんな幸運な人じゃないって」

これである。
何故だか事あるごとにに幸運に見舞われる私はいつの間にか学園一幸運なくのいちとして名称されていた。
いやいや、幸運と言ってもお買い物したら高確率でおまけを貰えるとかボーッと歩いていても落とし穴にはまった事ないとか実習でヤバい状況になっても相手に烏が飛んできたり折れた枝が上から落ちてきたりそれくらいである。
そして私を取り囲んでいるこの子達は保健委員…別名不運委員なのである。
そして今日は保健委員会は薬草採りで裏山に行くというのである。それで、罠や野生の獣に引っかかり、襲われやすい彼らは私の幸運でなんとか乗り越えようと交渉しにきたのである。

「いっそのこと伊作先輩とお付き合いされてはどうですぅ〜?」
「伏木蔵くぅん?伊作の気持ちもあるだろうからそんなこと言わないの!」
「名前先輩はいいんですか〜?」
「私のことは二の次、人が困る事は言わないの、いい?」

「あれ?みんな揃ってどうしたんだい?」
「あ!伊作先輩!」
「い、伊作!?」
「名前ちゃん囲んで何してるの?」
「今日の薬草採取に引率してもらおうとおもって!」
「そんなこんなでかこまれてるのよ」
苦笑いを溢せば彼も同じ表情が返ってくる

「まぁでも貴方達無事で帰ってこれる確証ないから着いて行ってあげてもいいよ」
本当ですか!と嬉しそうに笑う後輩達の頭を撫で
「なんたって委員長の伊作が1番不運だからね」
一応同学年として助けてあげると付け足せば彼は苦笑いから表情を変える。
「うっ、痛いこと言うなぁもう…」
「もぉ、そんな顔しないでよごめんって」
ぷくっと膨れる伊作に内心悶えながら平然と受け応える。
あぁ、なんて可愛いんだ此奴は。
そう、私は善法寺伊作に惚れているのである。敵であっても怪我人が放って置けず助けてしまうお人好し、どんな不運に見舞われようとも諦めない男そしてしっかりしているけどふにゃっとした笑顔!!!
かっこいいのに可愛いも兼ね備えてるなんて恐ろしい男なんだ…。
もうこの善法寺伊作という男に会った事こそわたしにとっての人生で最高の幸運なのだ


「もうそんな顔しないでよ、ごめんって」
あぁもう、自分の可愛さをこの子は分かっているんだろうか、手を合わせてちょっと首を傾げる仕草なんてされた日には街の男どもが彼女に恋をしてしまうんじゃないかと思うほど可愛い。頭の中で文次郎が三禁がーー!っと叫んでる気がするが気にしない。気にしたら負けだ。僕は彼女が好きなんだ。その想いを偲んでおけば問題ない。

「お似合いなのになぁ」
「早くくっつかないかなぁ〜」




prev / next

[ back to top ]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -