一条流星

世宇子の圧倒的にな強さに打ちひしがれる。
アフロディの問いに円堂はいい迷っていた。

「何を迷っている円堂!」
豪炎寺がヨロヨロと立ち上がり円堂を見つめていた。
「俺は戦う、そう誓ったんだ!」
ギュッとそのユニフォームの下にあるであろうネックレスを握った。

「豪炎寺の言う通りだ。俺たちの為だなんて思ったら大間違いだ」
「諦めないことを教えたのは、お前じゃないか」
風丸、鬼道と立ち上がっていく。

「円堂、あたし、まだピッチに立ったばっかりだよ。まだやれる、やらせて」

円堂に覇気が戻りグッと立ち上がる

みんなもそれぞれ手を貸し、肩を貸し立ち上がっていく

そんなあたしたちを冷めた目でみやるアフロディ。

そして雷門からのボールで始まったが、

「ディフェンスは攻撃陣を徹底的に狙え!!」

そのアフロディの言葉にディオが走りこんでくる

《メガクェイク!!》

足場が割れ地面が浮上する
「え、ちょ、ダンレボしてる場合じゃない!!」
無理やりまだ丈夫そうな足場を探し踏みしめるが次々とボロボロに崩れていき吹っ飛ばされる。
「ちょっとその例え古くないかい?」
「うっさい!うげぇっっ」

「オフェンスは守備陣を!!」

《ダッシュストーム!!》

「キーパーは重点的に!!」

シュート技は使わず円堂に向けてシュートを繰り出していく

「諦めるわけには…いかないんだっ!」
それでも尚も立ち上がる円堂をみてアフロディはクスクスと笑う。
「興味が湧いてきた。君がどこまで頑張れるのか」

チラリとアフロディがベンチに目を向け頷くや否やボールをラインアウトさせる。
『おおっとアフロディ、ボールを外に蹴り出した。これはミスかぁ!?』

そんな実況もなんのそのベンチへと世宇子イレブンは歩いていき、運ばれてきたグラスを手に取り水分補給を行った。

「随分とした団体行動で」
「ぐ、立てるか?」
「鬼道ありがとう」

その水分補給の後水を得た魚のようにまた世宇子の猛攻が始まった。
もう必殺技を使う必要ないと感じたのか中にはボールをわざと足に当てて転ばせたり反則ギリギリのことまでしてきた。
「ぶへっ!?」
「名前!あいつ…!」
「顔はなしだろっ、原型なくなったら、どうしてくれる気っ」
顔痛い、めちゃくちゃ痛い。痛すぎて顔が上げられない。

「ぐあっ!!」

円堂の悲痛な声がし鈍い音が響いた。


「限界だね?…主審」

限界じゃないっ

「試合続行不可能ということで…」

何も出来ず終わってしまうっ!!

「まだっだ…!!まだ、試合は終わってない!」

円堂の声が審判の声を遮った。
そうだ、あたしも目をつぶってる暇じゃない、ヒリヒリと痛むが両手を顔にギュッと押し付けて目を開く。

目の前に広がる緑、白線。そしてヨロヨロと立ち上がる円堂

「しかし、キミだけではっ!」

流石の審判もこの試合は無理だと止めようとする

「そいつだけじゃないっ」
「そうだっ!」
「まだまだ戦えるっ!」
豪炎寺達も震えながら立ち上がる。

「円堂が立つ限りあたしらは、戦える…!!」

審判は何も言わずに渋々下がっていく
呆然としているアフロディの背中に鬼道は語りかけた。
「信じられないという顔だな」

「円堂は何度でも何度でも立ち上がる、倒れる度に強くなる、お前は円堂の強さには、敵わない!!」

「では、試してみよう」
そのイレブンの姿に苛立ちを隠せないアフロディ。そして彼はシュート態勢へと入った。

「ゴッドノウズ」
彼の渾身の一撃が繰り出されるかと思いきや
そこでホイッスルが鳴り響き、前半は終了。

「命拾いしたね、雷門」

クルリと背を向けベンチに歩んでいくアフロディ。

やっとの事で立ち上がったが膝が震える。
「前半耐えきった…」
「あぁ、だが…って、お前!」
隣に来た豪炎寺がギョッとした。
「はい?」
「鼻血出てるぞ」
「うっわマジか!」
「名前先輩早くベンチに来てください!!」
ベンチ陣も鼻血に気づいたのか来るように急かす。
「肩、貸すか?」
「ありがとう半田」



「神のアクア…?」

「ただのドーピングキメてるだけじゃんか…」
しっかりと鼻に栓をし、氷で冷やす。
そしてその間に世宇子の力の源であるモノがあるという話がもちあがった。
秋達があちら側の異様な団体での水分補給に目をつけ後をつけたあと監視の男達の話を少し盗み聞きしたらしい。
アフロディ達が試合前、試合途中補給していた水分は体を増強する成分が含まれているものだと知った。
「俺たちの大好きなサッカーをどれほど、汚せば気がすむんだっ!!」
「円堂くん」
夏美の今にでも止めたい瞳に円堂はまっすぐと見つめ返し口を開いた。
「大丈夫!俺はやれる!やらなきゃならない、俺は…俺たちは世宇子のサッカーが間違ってるって正さなきゃならない」

その円堂の言葉に皆が頷く。
そうだ、この試合で彼らに勝って間違いを正さなきゃならない。
ならば、ここが"とっておき"の見せ場だろう。

「よし、行け!」
響木監督に指示を受けグラウンドへと走っていく
「円堂」

「ん?どうした?」

「必ず止めるって信じてる。だから止められたらすぐパスして」
ジッと見つめれば円堂は深く頷き
「あぁ!任せておけ!!」



「…お兄さん"とっておき"を使うのは今だよね」
ボソリと呟かれたその言葉は誰にも拾われることはなく後半戦が開始した。
雷門からのボールでホイッスルとともに豪炎寺にボールを蹴るそのまま彼は上がっていく

「点を取るっ、そして勝つ!!」

その目の前にディオが立ちはだかった

「神には通用しない」
豪炎寺のボールを取ろうとするがそうはさせない。
「「「まだだっ!!」」」
鬼道、一ノ瀬も同じことを考えていたのか、4人で対抗するが、

「無駄だ」

《メガクェイク!!》

また地面が割れ空に放り投げられる。
呆気なくボールはとられ世宇子は上がっていく。

こちらも必殺技でボールを取ることを試みるが止められない。また前半の様な猛襲を円堂はうける。


「大好きなサッカーを汚しちゃいけないっ!」

まだ立ち上がる円堂にアフロディは冷や汗をかき、ボールを円堂に当てつける
一番最初の帝国との戦いを思い出す。
あの時はサッカーの技術なんて持ち合わせてなくて、円堂が見ていられないくてゴール前に立ちはだかったけど、今は違う。

大丈夫、円堂を信じろ、信じてあたしはゴールに向かうことだけ考えろ。

「そんなことは…そんなことは許しちゃいけないんだ!!!」
円堂の姿にフィールドのメンバーはまた立ち上がっていく。いつだって、円堂がいるから立ち上がれるのだ。


「そんなことが…あるものかっ!!!」
ギラリと今まで余裕を見せていたアフロディは円堂を睨みつけた。

「これは、大好きなサッカーを守るための戦いなんだっ!!」

みんなが、円堂を呼びかける強い意志を芯を持った瞳にアフロディの怒りは爆発する

「神の本気を知るがいい!!」
アフロディが空へボールを蹴り上げゴッドノウズの体勢に入る。

それと同時に円堂は胸に手を当て身体を捻る

「諦めたか!今更遅い!」


「ゴットノウズ!!!!」


「これが、俺の…!!」
「!よし来た!!」
「名前!?」
あたしはそのまま走りだす。大丈夫、出来る今の円堂なら絶対に!

《マジンザハンドだぁ!!!!》
円堂の背後に巨大な魔神が現れアフロディのゴッドノウズを受け止めた

「なっ!?」


「好機到来!!円堂ぉぉ!!」

「あぁ!頼む名前!!いっけぇぇ!!」
約束通り走りだしていた名前へと円堂はボールを投げた。
円堂からのボールを受け継いでドリブルで上がっていく
目の前にはディオ、そして彼はニヤリと笑い

《メガクェイク!》

「もっと、もっと上に!!」

タイミングを計り地面が割れて上昇するのを利用して上へ上へとジャンプする。

「さあて、とっておきだ!!」

お兄さんの言葉が頭の中でリフレインする
"いいか?名前。こいつは言葉通り一発勝負の球だだから軽くはできても実際の練習なんてもんはさせてやれない、だが構造と力の入り方を頭に叩き込めば身体が反応してくれる。自分を信じろ"

「あいつ何する気だ!?」

足だけに集中を全て持っていく、深呼吸をし打ちだす覚悟が整う。
足元に光が集まり輝きだした。
チームメイトすら見たことのない技に唖然としていた。
ギュッと筋肉が硬直し振り上げた足をボールに全神経を注ぎ込み振り抜いた。

《ステラァァア!!》

喉が裂けるかの如く叫び、放たれた
ボールの威力は凄まじく地面をえぐりそして流星の如く早くゴールへと向けて放たれた。

《ツナミザウォール!!》

観客席の誰もが固唾を呑む中1人男がニヤリと笑っていた。
「俺が教えた"とっておき"がそんなんで止めれるわけないよな」

ポセイドンの目の前には波が壁のように立ちはだかる
「いっけぇぇえぇ!!」
ボールがその壁に着弾した途端その波は真っ二つに裂けそのままゴールへと突き刺さった。

「ぐぁぁああぁっっ!!」


1-3

やっとの事で獲った1点に観客、チームメイトが湧く。
『ゴォォル!!つ、ついに!ついに雷門世宇子キーパー、ポセイドンから点を取った!』

トンと着地すると仲間達が集まってくる
「お前!こんなスゲェの隠してたのか!」
「すごいじゃないか!!」
「先輩!凄いっす!!」

「…名前、どうし」
口々に言う中、何も言い返してこない彼女に対して違和感感じた鬼道が肩を叩こうとすると名前は膝から崩れ落ちた。
「名前!?」
「おい!名前!!どうした!!」
円堂までもが駆けつけホイッスルが鳴り響き一旦止められる。
「ごめん、これ、とっておきでさ…1発撃つだけで、足ガクブルなんだわ」
右足を注視するとピクピクと不自然な痙攣が止まらない。
「あいつ、今自分の技が破られたことに精神的にきていると思う。絶対的に信じてたものが崩れたんだ。だからみんなの合わせ技でゴール必ず取れる」
「わかった!わかったから呼吸を整えろ!」
ヒッヒッフー、大丈夫かなうん。
「それは、ラマーズ法だな、出産の時のやつだぞ」
「ふざけるか、大人しく痛がってるかどっちかにしてくれ」
「心配かけたね、大丈夫」
「本当なんだな?」
「バッチリ」
みんながそれぞれのポジションに戻るとアフロディは信じられないものを見るかの様にこちらを見ていた。
「まだ君はグラウンドに立つというのかい!?」
「へへ、根性だけが取り柄だからね」

女は構造上痛みを男より耐えれるとどっかの本だかテレビだかで言ってた気がする。だから大丈夫、やれる、立っていられる!!

「アフロディ、林檎は木から落ちる。だけど、落ちて木に叩きつけられる前に弓で射抜いてやんよ」
いつぞや、アフロディが試合前に雷門に訪問した際に言い放った言葉を借りてこの状況を予想外にひっくり返すと宣戦する。

「っ!僕は、神の力を手に入れたんだ!!」
世宇子からのボールですぐさまシュートを打つが


《マジン・ザ・ハンド!!》

円堂の新必殺技が炸裂しゴールは割ることはできない。

そのまま豪炎寺えとパスは回り
豪炎寺と鬼道のファイアボールとツインブーストの合わせ技が決まる。

次々と追加点をしていき、同点となる。
後半終了も間近。この試合延長戦へともつれ込むかと思われたが、

「最後まで全力で戦う!!」

「それが俺たちの」

「サッカーだ!!」
円堂、土門、一ノ瀬と3人はそれぞれ走り込みクロスしザ・フェニックスが繰り出されるそしてその技の勢いをそのままに豪炎寺が蹴り出す

「うわぁぁあぁぁあ!!!!」

ポセイドンは遂にはゴールを守ることなく逃げ去った。

4-3

『逆転!!遂に雷門勝ち越し!!』

ホイッスルがフィールド上に響き渡る

『ここで試合終了!!決勝戦、勝ったのは雷門!劇的な大逆転勝利だぁあ!!』

その実況の声の情報が脳までに達するまでそれぞれ時間がかかった。

「勝った…」

「いやったぁぁぁぁぁぁあ!!」

紙吹雪が舞い、みんなが喜ぶなか

「もう無理、しんどい、無理、」
今まで耐えていた痛みがどっと押し寄せ倒れそうになる。
「名前!!大丈夫か!!」
「足、痛いぃ」
地面とご対面の前に円堂に抱きとめられ我慢していた愚痴を零す。

「ありがとうなっ!!お前が俺を信じてくれたから点を取れた!」
「あたしだけじゃないよ、みんな円堂の事を信じてたもん」
「いつまで抱き合ってるんだ2人とも」
「わ、風丸」
「肩貸してやるよ」
「へへ、ありがとう」
円堂と風丸、両方に肩を貸してもらい観客席へと目を向けるみんな祝福の歓声をあげていた。なんだか、むず痒くなった。

「俺ら、なれたのかな?伝説のイナズマイレブンに!」
「…ふふ、どうだろうな」
「伝説はこれからだよ」

そう、また新たなスタートを切るのである。



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