真偽やいかに
「あ、あの!」
ふとかけられた声に振り向けば自分の目線にはおらず、少し下にズラせばそこには日米班の少女がいた。
「なんだ」
「すみません、いきなり、えっと、あたし日米第2班の丼です。えっと、呼び止めた理由が」
わたわたと慌ただしく早口に言葉を紡ぐ姿に小動物を思い浮かべる。
だがその後の本題に一向に向かいそうもなく要件を促す。
「特に急いでないが要件を早く言ってくれないか」
「ひゃい!お慕い申しております!!あ!違う!」
「は?」
オシタイモウシテ?
いきなりわからない言葉を言われて怪訝な顔をしてしまう。
「…今のは何語だ」
「日本語です…じゃなくて間違えました!合同班でお菓子を作ったので5班の方々と食べてください!」
「は?…おい!」
押し付けられる形で紙袋を渡され呼び止める暇もなく去って行ってしまった。
「どうしたアドルフそんな所で突っ立って」
「艦長…いえ、今しがた理解し得ない行動をされたので」
「え、なになに?アドルフが動揺するほどの何があったの?」
疑問が絶えない小町にそう言えば彼は日本人だと思い出し先ほどの小動物に言われたことを聞いてみることにした。
「艦長、オシタイモウシテオリマスとは?」
「え、誰に言われたの?マジで。」


一方丼はどうだったと燈に聞かれたが壊れたおもちゃのようにブルブルと震える。
「ど、どどど、どどうしよう、とっさに出た日本語だったから気づいてないはず!」
「なんて言ったんだお前」
「お慕いもうしてますって」
「ぶはっ!いつの時代のやつだよ!」
「顔がいいなー綺麗だなーかっこいいなー好きだなぁーって思ってたら早く要件言えって言われてつい」
「あの人の何処がいいんだか、」
ウゲーと舌べろをだす燈に対して丼は胸ぐらを掴んで力説する。
「あれはツンデレ!!言葉の中に存在するデレ、気配り気遣いエトセトラ完璧だからね!?」
「お、おぉ、そうか、あー、わかった、わかったから離してくれ」

「おい」
「はい…?どぅわっ!?あ、アドルフさん!!」
ふと声をかけられ振り向けばついさっき会ったアドルフがジロリとこちらを見ていた。

「さっきのはどういうつもりだ」
「いや!あの!記憶から抹消していただければ!」
「艦長から聞いた」
「遅かった!!」
「やかましい、黙って聞け」

「俺なんぞにその言葉を使ったのか意味が理解できなかったが答えを今お前にくれてやるつもりはない。俺達が今後行くのは生など確証されてないのだからな。そんなことにうつつ抜かすのなら訓練を積め」

「…はい!!!訓練励んでなんとしても生き残ります!じゃあお返事は火星から帰ってきてと言うことですね!!」
「フン、」
スタスタキビキビ去っていたアドルフに対してちんぷんかんぷんな燈は顔をしかめ首をひねった。
「おま、は?なんで嬉しそうなんだよ」
「え、だから、今のは今返事しても生きて帰ってこれるかわからないから返事は今できないってことと、生きて帰ってくる為に訓練ちゃんとするんだよって」
「解釈すげぇポジティブ。」

真偽やいかに。頭を抱える燈であった


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bkm
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