2
「だーかーらー言ってるじゃあないですか本名と所在地」


2話

あの後少女を自分たちの本拠地である事務所へと連れてきた
そして事務所内にある3人掛けのソファへ座るように促し
ソファの後ろにはレオナルド、ザップが立ち
向かいの席にはスティーブンとクラウスが座った
ソファの間にあるテーブルには紅茶が出されていた

「だがね、いくら探そうとも君の情報が出てこないんだ」
少女から聞いた名前、住所を聞きパソコンからとある言えないような
データ管理局で打ち込むが出てこない

「こいつもしかしてただの薬キメたキチガイなんじゃねーっすか?」
ソファの背もたれに肘をかけ寄りかかるザップ
「女運悪そうなお兄さん黙れください」
「てんめぇっ!!!」
「ザップさん落ち着いて!」
そんなザップを罵倒して前に向き直る少女
ザップは殴りかかろうとするがレオナルドがそれを止める

「名前はななしなし子、日本人、所在地は日本の東京
 これ以外になに言えって言うんですか
 あ、特技は大食いとでも言っておきましょう」

「自己紹介ありがとうお嬢さん…でもね、この世界どこを嗅ぎまわっても
 情報が出てこない以上「なにもこの世界の住人だとはいってないですよ」

「…この餓鬼」
「お、落ち着きたまへスティーブン」

ふと少女がこぼした言葉にスティーブンの額に青筋が立つ

「さっき街中のテレビハイジャックしてた野郎いましたよね?
 あいつが異世界と交わったどうこう話してたじゃないですか、
 多分あなた方から見たらあたしは異世界から来たんだと思います」

「いや、でも待てよ、オメー今ジャパンっつっただろ」
少し落ち着きを取り戻したザップが質問を投げかけた

「はい、日本ですけど?こっちにもあるんですか?」

「いや、ジャパンつったらひとつしかねーだろ」

「…課程の推測でしかないですが平行時間を行く世界だと思うんです」

「「はあ?」」
わけがわからないという顔をするザップとレオナルド
そしてなにかを察したクラウスがひとつこぼした

「つまりパラレルワールド、ということか…」

「多分」

「ちょ、旦那待ってくれよどうゆうことっすか」

「元来、物理学の世界にはひとつの世界から分岐して
 それに並行して存在する世界がいくつもあるといわれてきている」

「SFの中だけだと思っていたが…まあ異界と交わった時点で
 納得せざる負えないな、この世界では」

スティーブンは天井を見上げ溜息をこぼす

「いやあ納得いただけて満足満足」

「君がどこから来たのはまあ確定したとして、
 あと聞きたいのは世界が繋がったことに覚えは?」

「んー…ないといえば嘘になりますが、そうですね…
 強いて言えばぐるぐる廻る世界にメンタル押しつぶされてたら
 声がしてそれに引きずりだされたって感じですかね!」


少女なし子の答えに4人はわけがわからなくなった


「やっぱコイツ薬を…ぶべぇ!」

「おんなじ台詞しか言えない人は黙ってください」

ザップは見事まではアッパーを顎で受けノックアウトした

「まあこっちの世界でも色々あるんです、」

「その色々を知りたいんだけどね」

「それはまたのお楽しみってことには…」

「ならないなあ」

じっとスティーブンを見るなし子


「全部話せ」そう顔には書いてある

「はあぁ、、、話、けっこー長いですよ」

「構わない、君が良ければ話してくれ」

「わかりました。まずこれですね」

テーブルにゴトリと先ほど見た仮面を置く


「大元の原因はコイツから始まります」
なし子
「これは確か吸血鬼にする道具だったね」

「はい、まあちょっと見ててください」

そういうとなし子はアッパーを受けた拍子に鼻血を流していた
ザップの血を指先にすくい仮面に垂らす

「「「?」」」

ガタッ――


ガタガタガタガタッ


ジャキンッ!!


「うわっ!!」


血を垂らした瞬間仮面は意思を持ったかのようにひとりでに動き出し
仮面の縁から骨芯がいくつも飛び出した

「この仮面は血によって作動しこの飛び出してくる骨芯によって
 脳を刺激してって感じで吸血鬼にします。」

「ほぉ…」

「まあでも骨芯が飛び出さなきゃただの気味の悪いアンティークですけど…ね!」

ベキリ

なし子は仮面の内側に戻ろうとする骨を
両手いっぱいに鷲掴み何のためらいもなく折った
若干仮面が涙目になったような気がしたカワイソウニ

「まあこの仮面の所為である男が100年にもわたって一つの一族をストーカーするんですよ」

「それはまた執念深いやつだな」

「その一族はジョースターっていう一族なんですけどね」

「…先ほどの男が言っていた…」

はたっとクラウスは先刻死ぬ間際に男が言っていたことを思い出す

「それですそれです」

「それでは君も?」

「いや、あたしはその一族の友人みたいなもんですよ話を戻します」

そして聞かされたのは仮面によって吸血鬼になった男ディオと
ジョースター家の長男ジョナサン・ジョースターの激闘の話
そしてその100年後にディオはDIOとして復活しそしてなし子は
幼馴染と仲間と共にDIOを倒したこと

「で、倒したまではよかったんです」

「というと?」

「倒して、その数十年後彼の友人であった一人の神父が世界を壊したんです」

忘れもしないあの海辺、なすすべもなく倒れてゆく幼馴染とその娘
あたしは取り残され時間を巡るものとなった

「神父が時を極限まで加速させたことにより宇宙は終焉と新たな開幕を迎え、
 そして時の加速を体験した全ての生命体は「一巡後の世界」に到達する。」

「えっとつまりそれは…?」
レオナルドは頭に?をいっぱい纏わせ聞いてきた

「簡単に言うと1年が3秒で過ぎ去って気づいたら人生ぐるっと一周して
 0歳児に戻ってたりってことかな?ごめん、あたしもよく理解してないんだ」
 
「それによって世界に亀裂が生じたと?」

「まあ多分、そんで何回目だろうなあ…何やっても抗えなくて同じ道しか通れなくて
 うんざりしてたら声が聞こえてその後は無理やり引っ張られる感じに
 目を開けたらこっちに来てたって感じです」

「その時の声の主が」

「さっきテレビに映ってやがった男です」

やはり13王の一人堕落王の仕業だった。

「いや、しかし世界をそんな風にしてしまうなんてスゴ業だな君の世界は魔法世界かなにかか?」

「魔法なんてありませんよファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」

「…特殊な能力とかはあったりしたのかい?」

「まあそうですね、見える人見えない人がいますがそうゆう力を持った人はいますよ」

「それは君が先刻吸血鬼と対峙した時に使った術と関係は?」

「ありますね」

「見せてもらうことはできるかい?」

「最初に言いますよ見えなくても疑わないでクダサイよ、見えないのが普通なんですから」

「あぁ、わかった」

「…6月の花嫁"ジューンブライド"」

なし子がぼそりと呟くと彼女の周りに花が咲き誇った

「これは…」

「紫陽花?」

「おわ!?」

花に見とれていてレオナルドの声に我に返り彼女の方に視線を戻すと
彼女の背後には人型の何かがいた

「よかった見えてるみたいですね」

「あ、あぁ…それで、ソレは?」

「この子はあたしの精神エネルギーを形にしたものです。
 見える人の間では幽波紋"スタンド"と呼んでます」

「スタンド?」

「はい、まあこれはそれぞれ能力が違うんですあたしのはフラグ…
 んーこれから起こることを少し変えられる能力です」

「起こることを変える?」

「あー。んー…見えるなら見せた方が速いか、裁き"ジャッジメント"」

そうつぶやくと彼女の周りに光る札がいくつも出た

「あ、これ!」
「そうそう少年に貼り付けたやつだよ」

札には何か言葉が書いてあったが読めない

「ここにはいろんなフラグが書かれています例えばケガをする、
 コケる、死ぬその他もろもろ、それはその時の状況によって変化します」

なし子は札に触れる

「もし怪我をするフラグが立っていたらそれを壊すことによって怪我をしなくなります
その代わりまた対価が出てくるんですけどね」

「じゃあ僕に3歩右にって言ったのは…」

「『飛んできた瓦礫が顔面に直撃』だったかな?それが立ってたから」

「怖っ!!!」

「キミに張ったのは怪我なしのフラグがあったからそれを張ったの」

「あ、どうも…」

「まあ一個目の武器はスタンドです」

「というと、」

「もうひとつあって波紋といいましてぶっちゃけアレが対吸血鬼用の武器なんですけど
 特殊な呼吸によって太陽エネルギーを生み出すんです
 太陽が石仮面によって吸血鬼になった奴らの最大な弱点ですから」

「ほう…」

「波紋はこれも人によっていろんなものを武器にするんですがあたしの場合はこれです」

ゴソッとポーチを探ると小さな小瓶とストローを取り出した

「「「??」」」

小瓶の中にストローの片端を浸し十分に浸すと小瓶から出し浸さなかった片側を口につけ
吹きだせば球体がプクプクと次から次へと出てきた

「これは…」

「シャボン玉???」

「あたしはシャボン型にして攻撃してますまあ肉弾戦に持ち込んだ方が速いときは違いますけど」

「すげー割れない」

波紋が込められていることにより頑丈なシャボンをプ二プ二つつくレオナルド


「まあざっくりさっくり話すとそんな感じです。
 なのであたしはいち早くあの男をとっ捕まえて元の世界に戻らなきゃいけないんです」

「捕まえるといってもなあ…」

「相手があの13王となると…」

「無理…なんですか?」

「難しいだろうねぇ…」

なし子はガックリとうなだれてしまう


「ミスなし子」

静まった部屋にクラウスの低い声が響く

「これも何かの縁、私たちの仲間にはなってくれないだろうか」


「はい?」
ガバリと起き上がるなし子

「クラーウス…」
クラウスの言葉を聞くや否や頭を抱えるスティーブン


「申し遅れた、私はクラウス・V・ラインヘルツと申します。
 秘密結社ライブラのリーダーを務めている」

「あーっと?秘密…結社???」

「キミもこの街を歩き回ったならわかるはずだこの世界は異界人と人間が
 一緒に共存している、その均衡を保つため暗躍するのが僕たちってこと」
はぁぁと溜息をつきながらも説明をするスティーブン

「あのおっかなびっくり生物たちですか」

「あぁ、私たちライブラに入ってくる情報は裏の情報も入ってきたりする。
その情報が君の役に立つ情報が入ってくるかもしれない」

「ほう…」

「だがそれと同時に危険とも隣り合わせだが君の戦闘技能も評価しての頼みだ」



「我々は君を全力でサポートしようそして君は私たちに手を貸してほしい」




真っ直ぐそれは痛いほど真っ直ぐな視線だった


深緑の瞳は幼馴染とダブついた



「…全く美味しい条件すぎて疑いたくなりますよ」


「・・・・。」


「よろしくミスタクラウス、長生きだけが取り柄の女だがよろしく頼むよ」

「あぁ、よろしく頼む」


二人はしっかりと握手をしそれを横で見ていたスティーブンは
厄介事が増えたことに頭を悩ませた。


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