泣き顔を挟む大きな手(甘)






お題サイトDOGOD69様より








※現パロ










ゴロゴロゴロ・・・



ピカッ


ゴロゴロゴロ・・・




「おい燐、来てみろよ。きれーだぜ?」

「ば、ばっかじゃないの!?次ふざけたことぬかしたら、本気で怒るからね!!」

「へいへい、すいません」


誰にだって苦手なものはある。

けれども、人によってはそれを好きだと言う人だっている。

苦手な人にとっては理解に苦しむけれどね!


「きれーなのに損だよなあ」

「だ、だれがそんな」

「あ、光った」

「わあああっ」


ゴロゴロゴロ・・・!!


「もう、やだあっ」

「そんなにダメか?雷」

「ダメじゃなかったら、こんなことしてないわよ!」


ピカリと光ったと思ったら、空を裂くような轟音。

さっきから私の精神をいたぶっている存在、雷。

布団に潜り込んで、少しだけでも緩和しようと試みるが恐いものは恐い。

最初は一人で耐えていたものの、よほど精神的ダメージが大きかったのか気が付いたら窓にへばり付いて雷を見ている男、雑賀孫市に電話していたわけである。


「でも意外だったな。お前にも苦手なものってあったんだな」

「どういう意味よそれ。私だって苦手なものの一つや二つくらいあるっての」

「あ、光った」

「うわああぁあ」

「(おもしれー)」


けれども、この男。

特に何をしてくれることもなく(何かしてほしいわけでもないけれど)むしろこの状況を楽しんでいる。

ふだんなら調子に乗るなと追い出しているわけだが、かといってまた一人になるのも、正直・・・恐い。


それを知ってか知らずかニヤニヤしている。


なんだかとても悔しい。


「なあ、俺もそっち行ってやろうか」

「そっちってどっちよ」

「ベッド」

「却下」

「一人より二人、だろ?なーに、すぐに雷なんて気にならないようにしてやるさ」

「結構です」

「え?決行?」

「結構!!」

「ちぇ、名案だと思ったんだけどなー」


孫市なんかと同じベッドに入るって?

いやいやいや、近付いただけで孕ませられる。


「おい、お前今失礼なこと考えただろ」

「べ、べつにー」


ピカッ

ゴロゴロゴロー!!


「あー・・・落ちたな」

「・・・」

「停電か?こりゃ」

「・・・」

「おーい、燐?」


ち、ち、近い

今ゼッタイ近かった。

死ぬかもしれん、足とか全部震えてる。


あ、やばい。

びっくりしすぎて、目から汁が。


「大丈夫か?」

「ま、ごいち?」

「おう、正義のヒーロー孫ちゃんだ」


あったかい、手。

私の耳を覆う大きな手。


孫市の手。


「なによ、それ」

「んー?この天気で駆けつけた俺、こりゃ正義のヒーロー以外何でもねえだろ?」

「はは、自分で言ったらおしまいだよ」

「そうかー?」


いつの間にか、雷の音は聞こえなくなってて

代わりに、心臓の音がうるさい。


耳から、伝わらないかな。

お願いだから気付かないで。



「停電、復旧しねえな」

「うん」

「雷は少し遠くなってきたな」

「うん」

「もう大丈夫か?」

「・・・ううん」






心臓の音しか、聞こえない。




「もう少し、このままでいて」

「ふ、了解」





せめて、あとすこし。







end

((また近くなってきた))
((俺、保てるかなー))

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