笑う赤色(微切)
お題サイトDOGOD69様より
きっと私のせい。
君のせいじゃない。
全部私の責任。
「関ヶ原は西軍が敗北したようね。この敗北はきっと後の世に大きな影響を与えそうね。・・・いや、きっとじゃなくて絶対か。ねえ、君もそう思うでしょう?」
「・・・はい」
「それにしても久しいな、人の世界は。我々が仙界に戻っている間にこのようなことが起こっているとは」
「・・・私の友、三成殿は、とても義にお熱い方でした。秀吉様をとても慕っておりまして・・・」
「つまりそういうことなのね、この戦は。実に人の子らしい戦。君はその友に手を貸し、敗北した。そして今死ぬところだった、と」
「・・・はい」
なんて憐れな人の子、幸村。
あれほどまでに輝いていた君は何処に行ってしまったの。
戦場で輝く、普段の君からは想像もつかない君。
「愚かね」
「・・・何故、私を生かしたのですか」
「なぜ・・・?」
「何故、私を生かしたのですか!?友は死んだ!それも私のせいで!どうして罪を背負った私を生かしたのですか!?」
嗚呼、そんなに憎悪の瞳を浮かべてはいけない。
君はもっと美しい瞳をしていたでしょう?
私の愛しいあの瞳を見せて?
「君を生かした理由・・・?愚問ね、使えると思ったから」
「使える、だと?」
「この戦は続く。これは嘘でも何でもない。そのとき君は生きて戦う使命があるの」
その瞳のまま死なせない。
君が死に出会うとき、君はあのときの瞳のまま出会ってほしい。
それが私の我が儘。
「この戦は続く・・・?」
「そう。徳川はいずれ豊臣を滅ぼす。そのとき君は・・・いいえ、これは言ってはいけない」
「徳川殿が?」
「君にはまだ守るものがあるでしょう?」
「私の守るもの」
「君の大切な友が守りぬいたものを今度は君が守らなくてはいけない。そうでしょう?」
「三成殿・・・」
「それに・・・君にはまだ大切な友がいる」
「そんなことはない!皆この地に・・・!」
「確かめたの?確かに石田三成は処刑された。伊達政宗は徳川についた。けれど、前田慶次も直江兼続もいるでしょう?」
「慶次殿と兼続殿が、生きている・・・?」
そう、その瞳が君には一番似合う。
笑う赤色の君よ。
どうか光を見失わないで。
君が光を失えば
きっと皆が失ってしまうから。
歩み進む赤色の君よ。
どうか歩みを止めないで。
君が地に足をつけば
きっと皆が歩みを止めるから。
「燐殿」
「ふふ、私の名を覚えていたのね」
「一度は共に戦った身。あのときの衝撃は今でも覚えております」
「そう、君が覚えていてくれてよかった」
「どこまでも強く、どこまでも・・・美しかった」
美しいのは君のほう。
どうか美しいままでいて。
「燐殿、ありがとう」
「お礼を言われるようなこと・・・した?」
「また私は友を見失うところでした。ありがとう」
「ふふ、お行きなさい」
「はい!」
走り行く赤色の君を
私はずっとみつめていた
end
(真田幸村!日の本一の兵なり!)
(笑う赤色の君よ、・・・)
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