昔の映像Part1


「部長って普段からこうなのか……?」
「こうって、どういうことだ?」
「だから……苗字、さんに……」
「ああ〜そういうこと。ま、気になっちゃうのは仕方ねぇよな!」
「別に気にしてねぇよ!」
「ほう、普段の部長を映した映像があるが、気にならないのなら宵越は見なくていいんだな」
「え」
「お、クラスでの部長か! 気になるべ!」
「ちょ、」
「私は同じクラスだからもう知ってるけど気になるな〜……って、いきなり私が映ってる!」
「わ〜映像で見ても名前はかわいいね!」
「……おい」
「よし、じゃあ俺たちだけで見るか」

「……俺にも見せろ!」


こうしてカバディ部は王城のとある一日を見ることとなった。


AM8:30
王城登校。
「あ、これ正人が退院してから初登校の日だね」
「部長と名前さん一緒に登校してんすね」
「まあこの日は退院明けだからね。1人じゃ心細いかなって」
「名前が優しすぎて……好き」
「苗字先輩みんなに挨拶して人気者だべ」

「退院明けの登校が一緒なのは……まあ、あり得るか……」


AM:9:30
古典の授業
「部長すっごい熱心に授業聞いてますね」
「なんか一点を凝視してんな」
「お、画面がズームアウトしていくぞ」
「よく見たら目線が黒板に向いてないな」
「なんか嫌な予感がする」
「あ、これ真剣に授業を受ける名前を真剣に見てた時か」
「やっぱりね! 恥ずかしいからやめて!」
「…………」
「ヨイゴシの視線が冷たいべ」


AM10:55
「休み時間っすね」
「相変わらずチャイムが鳴ると同時に苗字さんのとこへ行くんですね」
「名前はいつも僕のこと受け入れてくれるよ」
「っ…………」
「ククッ……事実なだけに顔を赤くすることしかできないか」
「…………」
「宵越、画面割るなよ?」


AM11:55
「移動教室だな」
「また苗字さんのところか……?」
「いや、この時は友達と行ったよ」
「ほんとだ。苗字先輩お友達と楽しそうに話してるべ」
「どうして正人の映像なのに私が映ってるの?」
「おい! 名前さんの後ろ見ろ! ここ!」
「ひぃっ、影から名前さんのこと見つめてる! 目がマジだ!」
「ホラーかよ!」


PM12:50
「お昼だね」
「さすが部長! チャイムと同時に名前さんのところへ……」
「チッ」
「ヨイゴシ、舌打ちなんかしてどうした?」
「この日は確か慶と正人と3人で食べたよね」
「ああ。食堂へ行ったんだったな」
「ん? 食べ始めたと思ったら部長が口を開けて何かを待ってるぞ」
「ああ! 待って! だめ!」
「あ〜〜名前さん隠せてないっす。バッチリ見ちゃいました」
「あ〜んってしてたべ!」
「時既に遅し」
「本当に名前がかわいすぎて死にそう」
「宵越息してるか?」


PM14:00
「体育だね」
「この日は男子がバスケ、女子がバレーだったな」
「あれ……また私が映ってる……。体育は男女別なんだけどなあ」
「これいつの間に『部長を探せ』になったんすか」
「ああ! いた! ここだべ!」
「また苗字さんのことを見てるのか」
「だから怖えよ!」
「この時は慶も名前のこと見てるけどね」
「確かに、井浦サンと何か話してるな」
「うん、もう顔見れば何話してるかだいたいわかるから次行こう」


PM15:50
「ようやく一日が終わったな」
「あとは部活か……いやまだ映像が残ってるぞ」
「そうだ、この日は私が掃除当番で……」
「ああ、名前のごみ捨てに付き合ったんだったね」
「部長がゴミ持ってあげて紳士的だなあ」
「ふん、それくらい誰だって……」
「でも名前さんも譲らないっすね。自分の仕事はきっちりこなしたい派の名前さんらしいっす」
「結局2人で持つことになったんだよねー」
「くそ……絶対こうなること分かってただろ」
「ゴミも捨てたしさすがにもう終わりだよね……?」
「あれ、苗字さんだけ教室に帰ってくべ」
「クックッ……」
「部長こっちに来てんぞ!?」
「え、何これ。どんどん近づいてくるんだけど!」


そして、笑顔の王城がカメラに手を伸ばしたところで映像は途切れた。


「………恐怖映像?」
「最後のどういうこと?」
みんなが一斉に王城を見る。
しかし王城はふふふと目を細めるだけで何も語ろうとはしなかった。





つづく……?



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