(ohne Titel)





短くも力強い言葉が耳を打つ。
森と海で風が違うからだろうか。それとも、まっすぐな想いを抱いているからだろうか。普段彼が身にまとう柔らかな空気が、今日は少し違って感じる。
髪に感じる義手に一度大きく心臓が跳ね、まるで初心な娘のようだと、ぼんやりと思った。
「…………貴方に、論破される日が来るとはね」
息を吐き出しながら、トゥルームは金の瞳を細めた。その口元に、小さくも緩やかに笑みが広がる。
先ほどの言葉を紡いでから早鐘のように打ち始めた胸が、相手に伝わってしまうだろうか。いや、それでも構わない。
今までのように、威勢を張って強く見せる必要もない。
なぜだか、そう感じられた。
信念を抱いて大地に立つ人というのは、なぜこれほど雄々しく力強く、すべてを包み込むような空気を持つのだろうか。正面に立つラルウェルの姿を見ながら、そんな思いが頭をよぎった。
「ラルウェル、……」
さて、このような場ではどんな言葉を紡げばよいのだろうか。頭の中の知識を総ざらいしようして、ふいに止めた。
自分は既に、答えを持っている。
いつだってそうでしょう。


「……永遠とわに、貴方の傍にいることを、誓いましょう」


普段の自分らしくもない、文学的で少女のような言葉だけれど、心の底から出てきた言葉だ。
指輪の存在を感じながら、きゅ、と軽く指を握りこんだ。
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