とある研究者の実験ノート。 時折、日付を戻って修正されているようだ。 3/27 混合毒D-18 腐食性実験(ダガーナイフ/木匙)……4日目、目視の限り金属・木ともに反応なし。 動物による生体実験の結果が届く。データから類推するに、人体への毒性は極めて低いらしい。 しかし皮膚腐食性は不明。 あの娘に連絡する手段は<この行には打消し線が引かれている> 要経過観察 3/28 混合毒D-18、腐食性実験5日目。金属、木ともに変化なし。 花の水を替え忘れていた。やや萎れたが枯れてはいない。枯れる前に記す。 白色の花弁、淡く色がついている可能性はあるが識別できない。 薄さ、電球にかざすと透けて見える。 茎、鮮やかな黄緑、緑鉛鉱に近い。 甘い芳香あり。 成分は明日。 3/29 <昨晩の花の詳細に続けて、今日の日付入りで花の素描が描かれている> 花弁が一枚落ちた。成分の抽出は難しいだろう。今度は数本採取する。<下線が引かれ、"いつ?"と走り書きされている> 腐食性実験6日目、どちらも変化なし。落ちた花弁でも試験を開始。 花の名前がわからない→要調査 3/30 <素描や風景画のようなもの、走り書きが見開きページを埋め尽くしている。人名も見える> クオリアの樹、枝葉は採取できず。周辺では呼吸が楽にできた。空気の清浄性か、超自然的な力か<後半は打消線が引かれている> 出先で喘息発作あり。十数分ほど。帰宅後投薬。薬は常時携帯することにする。 <次ページ> 腐食性実験(一週間)終了。金属と木には影響なしと判断。昨日の花弁は朝には枯れていた。植物への毒性が考えられる。再実験の必要性。 クオリアの樹周辺の土地、次回アジュール<書き直した跡がある>に組成を訊ねる。 体調不良、早めに休む。 3/31 花が枯れた。クラレアモーデンで採取して約一週間。紙に包んで処分。 午前中、検問所付近で花や草を採取、混合毒D-18を滴下。 <草花の名前と本数、毒の量、結果が数行にわたり記されている> ∴植物への毒性はかなり強いと思われる。 →除草剤としての利用可能性。草花の根や樹木への影響、要調査。 4/1 昨日の草花は全て枯死した。廃棄。 デカルトとクラレアモーデン、クオリアの植生の違い。草と樹木の違い(そもそも草と木は何が違うのか) 毒の効果に差は出るか。 <以下、推論や仮説が長々と書かれている> 各地の草花を入手する方法→直接採取しに向かう クラレアモーデン訪問方法→要調査。 クオリア経由、クラレアモーデンに向かう。 検閲を昼過ぎに抜け、クラレアモーデン付近に深夜に到達する予定。 <持ち物のリストと共に、走り書きで「星と朝日を見たい」と書かれている> [目次] [小説TOP] |