4.常民より

 数多の星。星の数ほどの物語。さて、その中でも広く知られた御伽話を今、改めて思い出して欲しい。風と魔法の物語。これは子供に語り聞かせる話だ。それと同時に大人が忘れる為の話だ。忘れる為に語り継がれる。母から子へ、子から猫へ、猫から小鳥へ。事実をお伽噺にするために、彼らはモチーフにされた。だってなかなか都合の良い英雄譚なのだものね。
 そら、ひとつ詠うよ。


 英雄と踊る踊る風の神
 世の末に吹くならば
 後を濁さず発てようと
 走る走る風を率いた神様
 大箒で南、北
 雲も手を貸し西、東
 地表には空っ風
 穀物も幼子も
 吹き清められていった
 みな古の地へと
 みな神様の子供

 風の神と踊れ踊れ英雄
 子等に持たせる宝物は
 熟す前に刈り取って
 彼らはさいごのひと
 一族は途絶えるが
 人は残るだろう
 風の道を辿るもの
 風は物語を押し流し
 今は神様も英雄もいない


-10-


/ぱらり→



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