ウイスキーフロートA



さっきのこともあって待宮くんとは少し距離を置き荒北の隣に陣をとることにした。つれないのぉなんて彼は笑うけど自業自得だと思う。乾杯と誰かが音頭を取り私達の宅飲みはスタートする。

「今日はいまいち当たらんかったのぅ」

既にアルコールが入っている待宮くんがぼやき、私は何のことだろうと首をかしげた。

「金城の一人勝ちはいつものことだろォ」
「そうじゃが… なんというかのぅ。まあ今日はなまえちゃんがおるし、充分なのかのぅ」

私の頭には更にハテナマークが浮かぶ。金城くんをちらりと見ると静かに苦笑していた。

「荒北、可愛い彼女がおるのに合コンなんて隅に置けんの」
「だからちげーっつってんだろ!」

あぁ、今日合コンだったんだ。不服そうに荒北を見ると、なんだよォと睨み返された。

「金城くんってモテるんだね」

モテるって言うより男女共に人気高いってのが正解かもしれない。真面目で優しくて強い、誠実そのものといった感じの彼は誰からも好かれている感じがする。

「なんで金城ばっかりモテるんじゃろうな」
「金城くんは誠実そうだもん。下心なさそうだし良い人だから女の子も安心するんじゃないかな?」

待宮くんとは違ってねと付け足すと彼はワシも本命ができたら誠実になるんじゃよ? と笑う。

「そういや荒北のタイプってどんななんじゃ」
「ア? なんだよ急に。別にねぇけど」
「ないわけないじゃろ! 男なら1つ2つ普通あるもんじゃろ」
「別にィ。まあしいて言うならチャリ優先でも怒んねぇヤツ」
「おまえさん、つい最近それで失敗したじゃろうが」
「ウッセ!!」

福ちゃんと争い突っ張ってた頃を知ってる身としては荒北にとって自転車がそれだけ大きな存在になってたことが少し嬉しかった。口に出したら変な顔されそうだから言わないけど。

「次、金城なァ」
「俺もやるのか?」
「そりゃもちろん」
「まあ…しいてあげるとしたら真面目な人かな…」

金城くんっぽい回答だなぁと若干にやけ顔で見つめてしまう。荒北と2人だとこういう話しないから今日はなんだか珍しいというか不思議な気持ちになる。

「金城らしいのぅ、ほんじゃあ最後はなまえちゃんじゃな!」
「え、私もなの?」
「もちろんじゃ〜」

好きなタイプかぁ…考えたことなかったなぁ。 うーんと考えるのを彼らは楽しそうに見てくる。荒北も意外と乗り気なのか…

「一途な人、かなぁ…?」
「ほうほう。可愛ええのぉ。どうじゃ、わし一途じゃよ?」

エッエッと笑う待宮くん。丁重にお断りさせてもらって私はアルコールに口をつける。

「俺はァ?」

ねェと隣の荒北が私を見つめる。けっこう酔ってるなぁ荒北。うわ、これめっちゃ度数高いやつじゃん。俺はどうなのォ? と少しずつ距離を縮め目と鼻の先に荒北がいる。恥ずかしいんだけど……。 横を盗み見ると待宮くんはやれやれとはやし立てている。

「なまえチャァン」
「え、あ、え…嫌いじゃないよ?」
「ほんとにィ?」
「うん、だからちょ、近い…」

顔を逸らすと脚に重みがのしかかる。何? と思い見てみると荒北の頭が乗っかっていた。すやすやと寝息をたてる彼に苦笑しつつ膝を貸すことにした。

今日は荒北の勝ちかのぅと待宮くんが小さく呟くのを聞きながら私達は缶に残ったアルコールを飲み干すのだった。






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