ウイスキーフロート@



珍しく荒北からLINEがきた。今日は行けない、とただそれだけの簡潔な文章だった。久しぶりに1人かぁなんて思いながら私は晩酌を始める。特に予定を決めて会っていたわけではないがなんとなくいつも一緒にいたからこそ、たまに独りになると寂しく感じてしまう。サークルの飲み会かななんて荒北のことばかり考えてしまうほどに。

ぐっと煽ったアルコールのせいで酔いがまわり眠気が襲ってくる。船を漕いでいると外から足音が聞こえた気がした。もしかして荒北が帰ってきたのかな? そう思いふらふらと玄関へと足を運ぶ。ドアを開けると外は少し肌寒い。予想した通りそこには荒北がいた。金城くんと待宮くんと3人で。

「あれェ、なまえちゃん。お迎えしてくれんのォ?」
「オォ、なまえちゃんじゃ、久しぶりじゃな」
「えっと、金城くんに待宮くん、こんばんは」

金城くんとはたまに授業で会うけど待宮くんにはだいぶ久しぶりに会った気がする。エッエッと喉を鳴らして笑う彼の品定めをするような目は今でも少し怖いところがある。

「珍しいね、こんなところで会うなんて」
「オオ、そうじゃの。というかなまえちゃんはここに住んどんのか? え、荒北と同棲しとんのか?」

マジかマジかと騒ぐ待宮くんにお隣さんなんだと伝え結構出来上がってるねと金城くんに話しかける。金城くんによると外で飲んできた帰りでこれから荒北の部屋で飲み直す予定だったらしい。二日酔いコースなんじゃないかと心配もするがせっかくだしと私の部屋に招待した。

「ひとりで飲むのもつまらないから金城くんたちが良かったら」
「いいのか? じゃあ失礼する」
「ええのぉ、女の子がおった方が華がある」

じっと私の方を見る待宮くんをなんとなく見てると荒北が私の前に立ち塞がる。邪魔だよ早く進んでと促すのに彼は微動だにしない。おもむろに私のパーカーを掴んでジッパーを首あたりまで引き上げる。

「アアッこら何するんじゃ!」
「ウッセ! ジロジロ見てんじゃねェ!」

なんでだろうとパーカーの中を思い出す。あぁなるほど、そういえば中はキャミソール1枚だった。

「なまえチャンも無防備すぎんだヨ!!」
「ごめんなさい…」

さすがにこれは… うん、荒北ありがとう。感謝と反省の意を込めて小さく謝罪した。





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