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鍵盤と兄と彼と3

幼馴染の年の離れた妹。
自分にとっても妹のような存在だった。
それなのに、彼女はどうにも年下に思えなかった。

達観していて、自分より人を優先する。
いつも笑顔で、でも何を考えているのか分からない。

「助けたかっただけだから。
ただの私のわがまま」

7年前も、

「ちゃんと自衛して!危険なのは分かってるんでしょ!?」

3年半前も、

「分かってて見殺しには、
もうしたくないの」

3年前も、

「っ…てて…セーフセーフ!」

1年前も、

彼女は命を助けた。

俺が彼女を妹に見えなくなったのは、果たしていつだったろうか。

「ゼロさぁ、美織が好きだろ」

「っはぁ?何言ってんだよ」

「わっかりやすいなーお前」

「いや…大体10も下ってありえないだろ…
下手をすればロリコンとすらも言われる…」

「ふぅん…まあそれなら好都合だ」

にっこりと笑う幼馴染に顔を歪める。
こいつはこいつで厄介な上シスコンだ。

数年前までは認めるわけにいかなかったが、冷静に考えれば彼女が年下とは思えない。
好きだと自分で認めたのは既にアタックを始めたあとだった。

「今度どこか行かないか?」

「忙しいくせに休みくらいはゆっくり休んでよ」

「休みくらいは美織といたいんだ」

「…何考えてるの?
安室さんとして?それとも零くんとして?」

「勿論、降谷零としてだ」

その答えに彼女は目を逸らした。
あぁ、かわいい。

「じゃあ俺も行こうかな」

「…ヒロ…」

「ほら」

ヒロが彼女に渡したのは遊園地のチケット、3枚。

「えっこれどうしたの?」

「貰ったんだ。
俺と、美織とゼロの3人で行かないか?」

「行きたい!」

「よーしゼロ、当日迎え頼むな」

「…あぁ」

勝ち誇った幼馴染の笑顔と屈託ない彼女の笑顔と対するは俺の引き攣った笑顔だろう。
なんとか2人になれればどうにかしてヒロを撒いてやる。
そう思って俺はしっかりと頭で計画を立てる。
ゼロをナメるなよ。公安部。


*

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