×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




鍵盤と兄と彼と2

「えっと…お兄ちゃん達と零くんと松田さん、伊達さん萩原さん…の、6枚だよ

ねぇ、バルコニー席でいい?」

『えぇ問題ありませんよ。
ただ、私と景光達は離れた席にしてください。
彼らと一緒だと騒がしくてならない…』

「えぇ〜!久々に会えるのに!」

『今はもう自由に会えるでしょう?』

「はいはい…じゃあ反対側のバルコニーにしとくね」

『楽しみにしてますよ』

「ふふ、ヒロ兄ちゃんが『高明兄ちゃんの為にも続けろ』って言ってたからね」

『それはそれは…正しい判断だ』

────上の兄が苦笑してるのが手に取るようにわかる。
そんな話をしながら見るのはタブレットの画面。
タブレットは壁から出たコードに繋がれている物。

ピリリリリッと仕事用の携帯が着信を告げる。

『仕事用だね。
それでは切ります。当日は楽しみにしてる』

「ごめんね。じゃあ当日」

電話を切りもうひとつの携帯の画面を見れば『零くん』の文字。

「…もしもし?」

『美織?』

「なんでこっちに…」

『ずっと話し中だったからな。
チケットありがとう。さっき受け取ったよ』

「いえいえわざわざありがとう
みんな来るでしょ?」

『あぁ恐らくは…なぁ、始まる前に楽屋に行っていいか?』

「え?別にいいけど…」

いつも終演後来てくれるはずだが、と思えば思考を読んだのか『全員でじゃない』と言う。

『俺だけだ』

「っ…わかった待って「ダメに決まってるだろゼロ」ヒロ兄ちゃん!」

後ろから携帯を奪って零くんと話す兄は私から離れていく。
返してくれないと困るんだけど。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

いいペースだと思ったのにとんだ邪魔が入った、と舌打ちを漏らした。

「さっさと妹離れしてはくれませんか?義兄さん」

『ははは義兄さんって呼ばれる筋合いはないよゼロ』

「余計なことを…」

『余計?可愛い妹をそう易々と渡すわけないだろ?いくらお前でも』

脳裏ににっこりと貼り付けた笑顔を見せる幼馴染の顔が浮かんだ。
恐らくは電話口での表情だろう。

「…いつもいつもお前は…」


*

[ 31/37 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]