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異次元の狙撃手6

「失礼します」

「電話は大丈夫?」

中へ入ればホワイトボードには男の写真が3枚貼られている。

「ええ。特に大切な用じゃなかったようなので。
続きお願いします」

「OK」

と男達のことを話すジョディ先生。

1枚目金髪の男、ジャック・ウォルツ。45歳。
ハンターの交戦規定違反を告発した元陸軍大尉。

確かに狙われる可能性は実に高い。

現在はサンディエゴで軍装備品の製造会社を経営。

次に眼鏡をかけた黒人男性、ビル・マーフィー。
35歳。
ハンターの部下で交戦規定違反の証人となった元陸軍3等軍曹。除隊後、先のウォルツの会社に入社。
秘書となる。

そこに口をゆるめた小五郎くんが

「サンディエゴじゃ殺害は無理だなぁ」

と言うも

「いいえ」

とジェイムズさんがその言葉を否定した。

「この二人は今日本に来ています」

「!」

「なに!?」

「…マジか」

私も思わず口に出す。
会議室に緊張が走る。

ウォルツは家族と2日前から京都に、マーフィーは日光に滞在している。
滞在予定はあと8日。1週間以上は警護等しようも守りきる期間が長すぎる。

「そして、最後にもう1人
森山仁、34歳。妹の自殺の原因となった婚約破棄の相手です」
彼は元々のシアトル在住の商社マンだったが、4年前に退職。現在は消息不明。

3人のうち2人は日本にいることは確実。
残り1人も、きっと日本にいるだろう。

なぜ「映画」はこうも頭が痛くなるのか…。

目暮警部の指示で、京都府警栃木県警に注意喚起、ハンター自身は重要参考人として緊急手配が決定された。

京都府警といえば、綾小路警部か。
あの人映画結構でるなぁ…

さて、私はどう動こうか。
特に覚えている事柄は赤井さんが出張って2000ヤードかなんかそんなくらいのえげつない狙撃をしたってことしか正直他に覚えてることはない。

話題になったしねぇ…いい声での「了解」ってやつ。
あ〜〜〜〜〜〜イケメン!

外へ出れば日が傾きすっかり夕方となっていた。

「元シールズの狙撃兵か」

小五郎くんを筆頭に雑談がなされる。

「奴らとは無関係、と見ていいんだよな?」

彼らの1mほどから後ろを新一と並び歩くとこちらを見上げ話しかけてきた。

「そうね。
組織ならこんなわかりやすいエージェントも、鉄砲玉も流さないわ。
哀ちゃんっぽく言えば『彼らは証拠は残さない。存在しなかったかのようにターゲットだけを消し去るわ』…なんてね?」

「確かに…」

ふっと笑った新一に、私たちが離れていることを蘭ちゃんが気づいた。

「どうしたんですか?美織さん、コナンくんそんなに離れて」

「なんでもなーい!」

「それにしても、」

足を止めて話し出したのは私たちのさらに後ろを歩いていた真純ちゃん。

「どうして6年たった今復讐を始めたんだろう…
あのハンターって人…」

「確かに…」
「言われてみればそうね…」

と、蘭ちゃん、園子ちゃんが同意する。

「たまたまに決まってんだろうが
そんなことより探偵ごっこはこれでおしまいにしろよ
もーうちょっとで死ぬとこだったんだからな」

「そうね。
探偵といえどあなた達はまだ子供なんだから、無理はダメ。
少しは自分自身も労りなさい」

小五郎くんの小言に続いて流石に目に余った新一のあとから聞いた携帯を落とした経緯と、追跡法に呆れた。
全く…スケボーでも新一のスケボーはエンジン付きなんだから車やバイクと同じ程度の速度が出て事故れば生身で放り出される危険極まりないものなのだから。

「犯人が近くにいないかも確認せずに音を立ててバイクを降りるなんてここにいますって言ってるようなものよ?
先がドン突きって分かってるなら多少離れたところにバイクを止めて徒歩でメットを被って近づくのが「ちょちょちょっと待て美織!」なぁによ小五郎くん!今大事な話をねぇ」

「ちっげぇよ!そういうこと言ってんじゃねぇ!
ガキはガキらしく探偵の真似事しねぇで大人しくしてろって話してんだよ!」

「あぁら!
それなら真純ちゃんの疑問を簡単に突っぱねない事ね!
探偵ならばあらゆる可能性を考え、あらゆる面から捜査するべきではなくって?
疑問点を見つけることは有能への第一歩だと思うわよ?その疑問が手掛かりになることだって、『なぜ』という言葉は魔法の言葉なのだから」

あ、これ小五郎くんへの説教になったな。
すまんてへぺろ。

「んぐぐ」

「も、もう…
世良さんも怪我がなくてよかったけど…もう二度とコナンくんを危険な目に遭わせないで…
美織さんだってついてるっていっても常に一緒にいられないし…」

「大丈夫だよ
心配しなくてもコナンくんは僕が守るからね
それに、今のところコナンくんの心臓に弾は当たらないよ。勿論、君の心臓にもね!」

は〜〜〜〜〜流石イケメンの妹〜〜〜〜〜
流石にそうなるわ。ミーハーが火を噴くわ。

「じゃ、僕のバイクあっちだから」

と唖然としてる私たちを置いて真純ちゃんは別れた。

「あ、私も車…」

「お前の車ならここにあるぞ」

う、うわぁ〜〜〜〜〜〜

「あ、松田さんに萩原さん!」

「な、何しに来たのよ研二さんに陣平さん…」

確か仕事だったはずだし車通勤だったはず…

「ぐーぜん今日は同僚が車貸してくれって言ってきてな〜それも俺と陣平ちゃんのを」

「いやそういうしょうもない嘘いいから!」

「うん。じゃあ俺達が何言いたいか分かるよな?
ほら、乗って?それとも扉開けてエスコートしてあげようか?」

パチリとウインクをひとつしてこちらに手を伸ばす研二さんに、運転席側に肘を着く陣平さん。
逃げられないことを悟った私は素直に手をとるのだった。

「お前もしっかり怒られてこい」

と、鼻で笑う小五郎くんはムカつくから脛を蹴っておいたけど、後ろで手を取り合って「キャー!!お迎えよ蘭!!しかもこのあとお仕置きですって!」
「すっごーい!!美織さん愛されてるー!!」と女子高生はキャッキャウフフだしマジで勘弁して。

「じゃ、みんなまたね…」

引き攣る口角を無理矢理上げ車に乗り込むほかなかった。

*

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