異次元の狙撃手3
案内された従業員用の階段を駆け降り、駐車場直通のエレベーターに乗り込む。
今日は車で来ていて正解だった。
たまたま誘ってみたメンバーは全員仕事で外せなかった為、自身で運転してきたのだ。
「よろしくねぇ〜」
と車のエンジンをかけた。
アクセルを踏み込み降谷零&赤井秀一仕込みの道交法ほぼ違反ギリギリセーフの運転をかます。
ただ、まだATしか免許はとっていない。
全員にATでいいって声を揃えて言われたからなんだが、ミッションも取るべきかなぁ…
新一はきっと最短距離で行くだろうから、こっちは路地裏も込みで向かおう。
「うわっ!?あっぶねぇ!!」
「なんだ撮影か!?」
あはは〜すまん!
免停にならないことを祈っておこう。
捜査協力の一環としてお咎め無しになってくれるはず!
「見つけた…!
し…コナン!」
あっぶねぇ!他に知り合いはいないけどどこで聞かれてるかわかんないのに今新一って呼び掛けたわ。
「!みお姉!」
渋滞の為近づけず4、5m程前にいる新一はメガネで周囲を見回していたがこちらを振り向いた。
脇に一時車を停め、降りて近づく。
「見つけた!?」
「いいや…だがこの渋滞を避けるには徒歩か…」
「「バイク」」
と同時に二人で前方を見ればここから背中とそこにバッグを背負ったバイクがそこにいた。
「新一、行って。
私は車で小回り効かないから回り道して大通りの正面に出る。動き連絡頼んでいい?」
「…あ、わり…携帯さっきぶっ飛ばしたんだった…」
「はぁ!?…じゃあ探偵バッチでいいや…
通信機のみのやつ貰ったから位置だけ連絡して」
了解、と返事を返されると信号が変わり、新一がスケボーで進んだ。
私は少し戻り車に乗りこんでギリギリ車の通れる路地に入って予備にもらっていた探偵バッチを起動した。
暫くして『灰原!灰原!』と哀ちゃんを呼ぶ新一の声。
あぁ、混線してるのか、と聞き流すと『左折した!』
と言う位置情報にカーナビを起動させ、現在地から範囲を広げる。
左折は思ったよりすぐだったのを確認してこちらもそっち側へ向かってハンドルを切った。
『みお姉聞こえるか?』
「なに?」
『灰原とはバッチじゃ通信距離が限界だ。
今言問橋で隅田川を渡ってる』
「おっけー!なら、先に回り込める。」
『は、おいなにする気だ?』
アクセルをさらに踏み込む。
路地裏から飛び出し車をギリギリで避け、目的地へのルートを頭に描いた。
「随時口に出して」
『っ…ぶねぇ!!』
「なに!?大丈夫なの!?」
『っああ!…一通を逆走…?』
「…気づかれたわね」
『ああ!』
まずいな…。
見失うかもしれない…。
「しゃっ!先回り成功!」
『うわ!?っちくそ!』
最短ルートでバイクが出る道の先に出れば、通信の先でパンパンっと破裂音が聞こえる。
『発砲だ!くそっ…の野郎ハンドガンも持ち合わせてやがる…!?』
ギキキキッ
「!?」
高いタイヤの擦れる音が聞こえたと思えばブウンッとエンジン音が響いた。
「し…どうしたの?」
『どうして…世良の姉ちゃんがここに?』
「…なるほどね…」
バイクならバイクで向かった方がいいかも。
それに、警察も動き出した。
数分待てば、バイクはこちらへ向かって来た。
「大捕物頂ければ楽なんだけどなぁ…!」
後ろには多くのパトカーを付けて、威嚇射撃を上にしている。
「本来威嚇射撃は真上にしたら危険なんだけど進んでるからいいのか…?
まぁでも、止らせればこっちのもん!」
多分ダメだろう、映画通りに進むだろう、という諦めを持ちつつも尽力してみよう。
が、キィっと国道6号線を私の前で左折した。
「うっわさいあっく!
バレてんのかな」
この先は蔵前橋…
「…流石にここからは手だしできないかな」
警察はほぼルートを包囲しており、車の私は勿論、バイクの犯人も抜けにくいだろう。
ため息を吐いて追跡を終わらせる。脇道に車を停車し、パトカーの動きを見た。
その時、バイクが何かを後に投げた。
あれは、丸い…
「マジかよ!?」
手榴弾。
ドカンッと煙と炎をあげてパトカーを巻き込み橋が爆発。その手前には新一と真純ちゃんのバイクが停車するのが見えた。
ウィリーでパトカーの残骸を乗り越え、犯人は真純ちゃんと新一とすれ違って逃走した。
「コナン!真純ちゃん!」
「!美織さんだ!
なんだ美織さんも居たのか」
「ええ、コナン。犯人に発信機つけたでしょ」
「あぁ、すぐに行き先ならわかるぜ」
「…なら、私ここから先の追跡車じゃ厳しそうだから真純ちゃんとコナンに任せていいかしら?
先に警察に行っておくわ………免停されないようにお許しも貰わなきゃだし…」
ははは、と新一が呆れたように笑った。
ムカついたのでスパンっと1発だけ殴っておいた。
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