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全くどんな思考をしているのか












敦と谷崎、ナオミを社に送り届けると彼らを与謝野に預けその日の業務は終了と運びになった。

アリスに関しては応急措置をした際に血で汚れたのもあり、早めの帰宅を許され、太宰はそれについて行っただけだったのだが…

「ねぇ、いい加減褒めてあげなさいよ」

「何のことだい?」

「龍之介のことよ。貴方に認められるためだけにあんなにも頑張って───「私と居るというのに他の男の名を出すなんて、矢張りアリスは罪深いねぇ」ちょっ、ま……!?」

その夜の事は、二人の秘め事にしておこう。

そして翌日。
太宰は昼前にアリスを連れて探偵社を出ていた。

「ちょっと太宰」

「……」

声をかけてもただ手を引いて道を進むだけ。

「ねぇってば!」

ついた先は川に架かった橋。

「アリス。どう思う?」

「どうって?」

「敦君に懸賞金をかけたやつさ。
道楽にしては七十億は掛けすぎだとは思わないかい?」

「……確かにねどこの誰が掛けたかわからないけれど…」

ふと、アリスは嫌な予感がした。

「ねぇ、その話、どうして私を外に連れ出してまでしたの?」

こんな話をするだけならば社内で事足りる。
それこそ、会議室ならばだれも立ち入らぬようすることなど他愛もない。
太宰はその問いにただ笑うだけだった。

「……太宰。もしかして……」

「さぁ、どうだろう。
平気さ。探偵社の実力はアリスだって分かっているだろう?」

「それはそうだけど……」

「ところで、私は気づいたのだよ」

「は?」

「一人で自殺なんて古いよね。
矢張り、心中に限る」

ぐいっと太宰が、アリスの腕を引いた。
そして柵の外に体重を移動させる。

「ちょっ……!? 私に自殺嗜癖(マニアの気はな────」

ドボンっ

水しぶきを立てて二人は川へ落下した。
ゴボゴボと肺から酸素が上昇する。しかし太宰にしっかりと抱き締められており、上昇できない。
見上げた太宰の顔は柔らかく微笑んでおり、それに彼女は苦い顔をする。のだが、意識が飛ぶ前にゆっくりと二人の体は上昇した。

「あれ?」

「あー……もうさいっあく……」

「おかしいなぁ……」

「あのね、服って割と浮くのよ。
もー……川岸、遠いじゃない……」

ため息をついてバラバラにならぬようアリスが太宰に掴まる。

「……まぁ、これはこれでいいかなぁ……」

「なにがよ莫迦! 本当に有り得ない!
死ぬなら一人で──「私死んでほしいのかい?」っ……ムカつく! ムカつくムカつく!」

ケラケラと笑う太宰に胸を殴った。

*

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