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笑った仮面に魅せられて



誕生日を迎え私は10歳になりました。

小4には変わりないけどね!
ついでに新一も5月には5歳になってました。
ちなみに新一、蘭ちゃんはいま年中です。
5歳離れてるから小学校一年しか被らないのは寂しいわね。

とうとう5年後のあの日、博士に作ってもらった電波遮断機が日の目を見る。

と、意気込んでいたところ、

「おじょーちゃん」

と声を掛けられ、振り返る。

「……!?!?」

思わず目を見開いた。
知っている姿よりは幾分若く、高校生の姿をした見間違えるわけのない姿。

萩原研二が立っていたのだから。

「あー驚かせちゃった?
ごめんごめん! おにーさん実はさー迷っちゃって。
道案内頼まれてくんない?」

と人の良さそうな笑顔で笑う。

えーーーーめっちゃイケメンくない?
やべーーーよ!!!!!!!!!!!!!
秒で原作ってかアニメ見てて消えた時わりとショックだったからね!? だってイケメンだもん!!! 好き!!

なんて、顔には出せないから。

「……いいけど、どこに……?」
出来てる?無表情ちゃんと出来てる?

「ありがとー!
米花デパートってわかるかな?」

「分かるよ。
着いてきて」

「おっ頼もしいねー」

────────

その子に声をかけたのは偶然だった。
ほんとにたまたま、米花デパートに用事があって、でも米花町の方はあまり来ないし詳しくないしで迷ったところを一人で歩く女の子を見つけて道を聞こうと声をかけた。

すると振り返ると目を見開きあからさまに驚いた少女に最初は不審者に見えたのかと思った。

すると、着いてきてと手を引くから、不審者とは思われてないのだと思いたい。
ってか俺まだ高校生だし。

「ねー、知らない人に声かけられてそんなことしちゃダメだよ?」

と苦笑して俺が言える立場ではないが注意してみた。
これでも警察官を目指してる人間だから。

「おにーさん高校生でしょ?
その制服知ってるし、ほんとに不審者に見える知らない人だったら無視してるから」

……わりとしっかりした辛辣なおじょーさんのようで……

ハハハと思わず乾いた笑いが漏れた。

「着いたよ」

と足を止めて振り返る少女に言われ前を見ると間違いなく米花デパートだ。

「おっ
ありがとな。そうだ、お礼になにかご馳走するよ。
なにがいい?」

せっかく連れてきてもらったしお礼でも、と声をかけるも

「今から用事があるから遠慮するよ
ごめんね」

と断られてしまった。

「え、うーん、じゃあ……」

何もお礼をしないのは忍びないし申し訳ない。
年上の面子も無くなってしまう。

コツとポケットに硬い感触がある。
取り出すと朝買った飴が一つだけ残っていた。

「こんなんで悪いけど、お礼な」

頭を撫でながら少女の手のひらに置く。

「……ありがと」

「こっちこそ、じゃあね」

と手を振り中へ入ろうとすると

「5年後、マンションで気をつけてね」

と言われた。

何のことかと振り返ると、先までの純粋な笑顔でなく貼り付けたような固い笑みでこちらを見ていた。

「────君は……」

クスクスと笑うピエロのようで顔は笑っているのに、目は泣きそうで、その零れていない涙を拭うために、抱きしめてあげたくて

「……名前は何かな?」

思わず尋ねていた。

「いつか分かるよ」

そう言ってかけていった。

笑顔の仮面に魅せられて

仮面のような笑顔に見とれて暫くその場を動けなかった。
いやいや、相手は小学生だぞ。
いくら綺麗な顔をしていたとはいえ。

───────
言ってしまった。

どうせ助けるにしても彼自身が信じて、気をつけてくれれば助けられる確率は上がる。

言っていいのか悪いのか分からず、うまく笑えなかったから、私に女優の才は皆無ってことかな

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